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「スクリーンの中の私」 女性に響くCinema

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登場人物や監督、原作者など映画に関わるさまざまな女性の姿。あなたとどこか重なる部分や、違うからこその気づきがあるはず。名古屋の映画館がおすすめする、女性に注目したい映画をご紹介し…
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#学ぶ

心に残る、忘れられない映画と出会いませんか。

ドラマやドキュメンタリー、アニメーションなどさまざまなジャンルの映画を気軽に楽しむことができる現代。 独自の文化や歴史が色濃く感じられる、世界各国の作品にふれられる機会も少なくありません。 ストーリーがもたらす感動や高揚感、出演者の巧みな演技、好奇心を満たす映像体験など、1本の映画にはさまざまな魅力が詰まっています。      たくさんの映画の中には、楽しめる、感動するといったシンプルな娯楽作品だけでなく、作品に描かれた出来事や人物から何かを感じたり、自分に置き換えて考え

憎しみの連鎖を断ち切り、和平を実現することはできるのか

私たちが何者かから酷い仕打ちを受けた時、”悲しい””つらい”という思いとともに、そんな目に遭わせた相手を憎む気持ちを抱いてしまうかもしれません。とても耐えられない悲惨な出来事の当事者となった時には、相手に復讐したいとさえ考えてしまう可能性も…。 そんな悲しみや憎しみがあふれているであろう紛争地帯にあって、相手を赦し和平や共存への望みを捨てない人がいます。その人はどんな人生を生きてきて、今どのような思いでいるのか―。 今まさに観ておきたいドキュメンタリー映画があります。

日本中が注目した事件の再検証を通して、物事の見方を再考してみる

“きっと○○に違いない”。 確かな証拠はなくても、なんとなくそう思い込んでしまうことはないでしょうか。 それがちょっとした行き違いなら、話し合いなどで誤解を解いて解決できそうです。でも、それが重大な事件をめぐる判断だとしたら、取り返しのつかないことになってしまいます。そんなこと、ありえないのでは?と決めつけず、自分なりに確かめてみようとする姿勢があってもいいかもしれません。 ■『Mommy マミー』事件について当事者の家族も語る 1998年7月に起きた、和歌山毒物カレー

女性の権利のために立ち上がるヒロインたちの実話に勇気づけられる

1973年、アメリカ連邦最高裁が女性の人工妊娠中絶の権利を合法とした歴史的な判決を下しました。 それまで非合法とされてきた人工妊娠中絶を女性の権利として勝ち取った背景にあったのは、名もなき女性たちの活動です。私たちが今、無意識に手にしている自由や権利は、勇気を持って立ち上がった人たちによるものだったことを伝える作品があります。作品を通して歴史を知るだけでなく、私にもできる!と力をもらえるかもしれません。 ■『コール・ジェーン ― 女性たちの秘密の電話 ―』人工妊娠中絶を必

当事者として政治や選挙を考えたくなるドキュメンタリー映画

日本各地で時折行われている地方選挙や、国政選挙。ニュースで見かけることはあっても、自分に関係のある出来事としてとらえている人は少ないかもしれません。 もしかして、自分が住んでいる自治体の選挙にも無関心という人はいませんか? 女性候補者が現職を破って当選した東京都の区長選挙を追ったドキュメンタリー映画を通して、日々の暮らしや未来に大きく関わるものとして選挙を考えてみませんか。   ■『映画 ◯月◯日、区長になる女。』区長選に立候補した女性と支援者に密着 2022年に東京都

異国で懸命に生きる家族の姿を見つめ、多様な人々を思いやる

世界各国から集まった人々が多様な文化を織りなす街、ニューヨーク。活気があふれ華やかに映る街の片隅に目を向けると、理想にはほど遠い暮らしを懸命に生きる人たちの姿も見えてきます。そんな街でたくましく前向きに生きる移民の家族を描いた映画は、多様な人々の背景に思いをはせるきっかけにもなりそうです。  ■『ニューヨーク・オールド・アパートメント』ある家族を通してアメリカの移民問題を描く 安定した生活を夢見て、祖国ペルーからニューヨークへやってきた不法移民の一家。母はウェイトレス、二

ある事情を背負って生きる女性の闇と、かすかな光に心揺さぶられる衝撃作

世界の多くの国と比べると恵まれているように見える日本の社会。 しかしそこにも、さまざまな闇が存在しています。そして、日常の中でその闇はなかなか見えづらく、気づくことが難しいもの。過酷な状況に置かれている人たちの存在に思いをはせるきっかけとなるのは、事件報道にかぎらず映画や小説などの作品ということもあるかもしれません。 ■『市子』徐々に浮き彫りになる市子という人物 恋人の長谷川からプロポーズを受けた翌日に、突然失踪した女性、市子。 彼女の行方を探すうちに、長谷川は市子に関す

独自の姿勢を貫くフリーランスライターを通して、日本の政治と選挙を考える

ジェンダー平等を目指して前向きな取り組みが進んでいますが、世界に比べると大きく遅れている日本。 男女格差の現状を各国のデータをもとに評価した「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)の2023年版では、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中125位でした。順位は2006年の公表開始以来最低で、分野別にみると政治は138位とのこと。 男女格差を含め、さまざまな問題を抱えている日本の政治や選挙について、長年取材するライターの視点を通して考え

わずか1%の出産を選んだ女性と、それをサポートする助産師の記録

「あなたのお母さんは、あなたをどこで産みましたか?」と聞かれたら、ほとんどの人が病院と答えるでしょう。現代の日本では病院で出産する人が圧倒的に多いですが、病院以外でも出産できることを知っていますか? 今では珍しくなってしまった出産の風景について、ドキュメンタリー映画を通して理解を深めてみませんか。 ■ 『1%の風景』助産所での出産を経験した女性が監督 99%の出産が病院やクリニックといった医療施設で行われている日本。残りの1%は助産所や自宅での出産です。助産所とは助産師

自由な発想を生み、心を通わせる 想像力の大切さ

学校とはどんな場所で、先生はどんな役割を果たすべき? 恋人同士はどうやって出会うもの? 私たちの周りには、知らず知らずのうちに常識や当たり前として受け入れたり、決めつけたりしていることがありそうです。想像力を発揮してもっと自由な発想をしてみたら、これまで気付かなかった可能性が見えてくるかもしれません。   そんな気付きをもたらしてくれる映画。名古屋市内のミニシアターで今月上映される、2本の作品をご紹介します。 ■ 夢みる校長先生子どもファーストな学校を作る校長先生 20

ショートストーリーで紡ぐ、国を超えて共感が広がる女性たちの声

世界のさまざまな国や地域で、悩んだり迷ったりしながらも前向きに生きる女性たち。その姿を見つめると、置かれている環境の違いに驚きながらも、同じような悩みを抱えていると気づくことがあります。 物語や映画の登場人物であっても、リアルに描かれていればいるほど、その姿に共感して勇気をもらえたり刺激を受けて自分を見つめ直したりすることが多くなりそうです。   ■『私たちの声』巧みな構成も楽しめるオムニバス形式 女性のエンパワーメントやジェンダーの多様性が叫ばれ、寛容な心が求められる

それぞれの国の歴史や文化が見える、学びの場や児童書の誕生ストーリー

世界各国で制作される映画には、舞台となった国や制作者のバックグラウンドを色濃く感じさせるものが少なくありません。 作品の中にさまざまな形で投影される歴史や文化などが見る人の好奇心をかきたて、より深く知りたいと思わせることも多いでしょう。 今月、名古屋市内のミニシアターで公開される作品から、ヨーロッパを舞台にした2本の作品をご紹介します。   ■ 『ぼくたちの哲学教室』生き方や考え方、新しい価値観を学ぶ 『ぼくたちの哲学教室』は、北アイルランド・ベルファストにあるカトリッ

母と娘をつなぐ強い絆と、多くの人を魅了する書の魅力に迫る

一番身近な同性である母と娘。 血のつながった密接な関係の二人だからこそ、強く共感したり反発したり、そのつながりは多種多様で時に複雑です。 真実ならではの強い力があり、見る人の心に迫るドキュメンタリー映画で、強い絆で苦難を乗り越えてきた母娘の軌跡を見つめてみませんか。   ■『共に生きる 書家金澤翔子』母の書道教室から始まった書の道 世界的に活躍する書家の金澤翔子さん。 生まれてすぐにダウン症と診断された彼女が才能を開花させるまでには、母・泰子さんと共に重ねてきた努力や挑

生きづらさを感じている女性を救うものとは

家族や友人などたくさんの人と関わっていても、孤独を感じてしまう時があるかもしれません。 そんな思いを乗り越えて前に進むことができるのか、悩みを抱えて心を閉ざしてしまうのか。生きづらさを感じたさまざまな女性の姿を知ることで、その違いを探る手がかりが見つかりそうです。 今月、名古屋市内のミニシアターで公開される作品の中から、女性を主人公にした2本の作品をご紹介します。    ■『私、オルガ・ヘプナロヴァー』追い詰められていく女性を客観的に見つめる 1975年、22歳の若さで