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独自の姿勢を貫くフリーランスライターを通して、日本の政治と選挙を考える

ジェンダー平等を目指して前向きな取り組みが進んでいますが、世界に比べると大きく遅れている日本。

男女格差の現状を各国のデータをもとに評価した「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)の2023年版では、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中125位でした。順位は2006年の公表開始以来最低で、分野別にみると政治は138位とのこと。

男女格差を含め、さまざまな問題を抱えている日本の政治や選挙について、長年取材するライターの視点を通して考えてみませんか。

■ 『NO 選挙, NO LIFE』

どんな候補者も分け隔てなく平等に取材する

©ネツゲン

25年以上にわたって選挙の取材を続けるフリーランスライター、畠山理仁さん。テレビや新聞では決してやらない〝候補者全員取材〟が彼の信条です。
平均睡眠時間2時間で、さまざまな候補者の街宣を分刻みで取材する畠山さん。
『NO 選挙, NO LIFE』は、まるで選挙に憑りつかれたかのような彼に密着したドキュメンタリー映画です。

ひとつのテーマを追い続ける仕事人の情熱に圧倒されながら、日本の選挙についてあらためて考えたくなる作品。こちらを上映するシネマスコーレの支配人・坪井さんに、映画の見どころを伺いました。
 

©ネツゲン

― 候補者を全員取材しないと記事にしない、全国どこにでも駆け付けるなど、畠山さんの取材はかなり特色がありますね。

坪井:畠山さんのすごいところは、世間では〝泡沫候補ほうまつこうほ〟と称されるような異色の候補者に対しても、他の候補者と変わらず平等にきちんと取材する姿勢だと思います。決して、ネタとして扱ったりはしません。「私は超能力者です」と言う候補者に対しても決して茶化したりせず、誠実に向き合っています。
 
― とても貴重な取材スタイルだと思いますが、畠山さんの取材だからこそ見えてくるものはありますか。

坪井:変わった党名や公約を掲げる候補者たちも、ふざけているわけではなく、みんな真剣なんだということが伝わってきます。個性的な恰好は他の候補者に負けないようにアピールとしてやっているだけで、国や政治について考え、変えたいと思っている人たちに見えてきますね。それは、畠山さんの取材力のおかげだと思いますし、ほかの人たちがきちんと取材していないからでは?とも感じます。
  

コスパやタイパにとらわれず我が道を行く

©ネツゲン

― 作品のキャッチコピーに〝コスパ、タイパ無視〟とありますが、畠山さんの仕事ぶりはまさにそんな印象ですね。コスパやタイパを重視する傾向が強くなっている最近では、珍しい存在ではないかと。

坪井:そうですね、まさに選挙取材に人生をかけているという印象があります。効率や採算を度外視して信念を貫く姿勢は、注目されなくても立候補し続ける候補者とどこか似ているように思いました。畠山さんが作品の中で、候補者のことを「あの人たち、超人ですよ」と話す場面がありますが、観客からすると「畠山さん、あなたこそ超人でしょ」と突っ込みたくなります。どちらもバイタリティがすごいんですよね。
 
― そういう見方をすると、坪井さんも映画に憑りつかれた超人なのでは?と感じますが、共感する点がありましたか?

坪井:
観る前は気づきませんでしたが、そうかもしれません。観終わった後になんだか熱いものを感じるなと思いました(笑)。選挙と映画、それぞれ追いかけているテーマは違いますが、通じるものがありそうです。知られていない候補者に光を当てるのが畠山さん、映画を紹介するのが私、でしょうか。
 

政治や選挙を新たな切り口でとらえた作品

©ネツゲン

― この作品のプロデューサーは、大島渚監督の息子さん、大島新さんですね。

坪井:大島さんは、これまでも『なぜ君は総理大臣になれないのか』『香川1区』といった政治や選挙に関する映画を監督しています。この作品ではプロデューサーに回り、『なぜ君は~』でプロデューサーだった前田亜紀さんが監督をしています。前田さんは、大島さんとは違った切り口でアプローチしていて、畠山さんの密着にどこかバディのような雰囲気も出ているのが面白いなと感じました。12月9日の初日にはお二人の舞台挨拶があるので、制作にまつわる興味深い話が聞けると思います。
 
何かを一心に追いかけている人の姿は、やはり見ごたえがあります。政治や選挙に興味がない人でも見やすい作品になっていますので、ぜひお見逃しなく。
 

『NO選挙,NO LIFE』シネマスコーレにて、12月9日から上映予定。

『NO選挙,NO LIFE』の予告編はこちら

 

シネマスコーレ劇場情報

シネマスコーレ
映画監督の若松孝二氏が1983年に立ち上げた、名古屋駅西口にあるミニシアター。2023年に開館40周年を迎えた。アジア映画、日本映画、インディーズ作品などを中心とした多彩なプログラムに加えて、作品を盛り上げるイベントにも力を入れている。


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