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午後の授業も終わり、少しホッと一息つける時間帯。 研究室の窓を開けると、清々しい空気が部屋の中に流れてくる。 学生たちと一緒にゼミをするための机の上には、学術雑誌やレジュメが雑多に積み上がっている。 私は、「よし」と腕まくりをすると、その山を一つずつ整理して書棚に片づけていく。 時計を見ると、約束の時間までにまだ少し時間がある。 掃除機くらいはかけられそうだ。 掃除を終えてハンディタイプの掃除機を壁に立てかけると、コツコツと扉をノックする音が聞こえる。 私は、 「どうぞ」
夕方の混み合った時間帯、栄町の駅で地下鉄の黄色い電車に乗り込む。 疲れた体で何とか席に座ると、自然にふうっとため息が漏れる。 膝の上にバッグを置いて、教科書を取り出す。今日の四時間目の製図の授業のものだ。課題の期限まであと一週間。なかなかアイデアがまとまらず、課題は思うように進んでいない。私は、眉間に皺を寄せて車内で教科書とにらめっこをする。 途中の駅で、何人かの人が降りると、春色のスプリングコートが似合う女性がするりと乗車してきた。大きめのレザーのバッグを肩からかけて、反
文芸作品と金城学院大学のことが大好きな金城学院大学教職員が集まり、クラブを結成しました。 文芸倶楽部 「ことばの樹」 部員達がオリジナリティ溢れる感性で掌編小説を執筆します。 四季折々で表情を変える美しいキャンパスやいきいきとした学生達の雰囲気など、さまざまな情景が思い浮かぶ作品を紹介します。
やりたいことは何? なりたいものは何? そう尋ねられるたび、いつも答えに困る。 先生に勧められてやってきたオープンキャンパス。 駅からの坂道を一人登っていくと、緑の木々の中に煉瓦造りの講堂が見えてくる。 青空に映える緑色の屋根の先端から、美しい鐘の音が心地よく耳に届く。 キャンパスのゲートをくぐる時には、モヤモヤした気分は今日の青空のようにすっかり晴れやかになっていた。 ピンク色のポロシャツを着た先輩が優しい笑顔で迎えてくれる。 ドラマで見たような広い教室。 ステンドグラ