マガジンのカバー画像

働く女性の心理学 【キャリア編】

12
悩んでばかりいるのはエネルギーの浪費、そのエネルギーを仕事にそそぎましょう このマガジンでは、働く女性のパワーアップを目指し、キャリア心理学の内容を紹介していきます。
運営しているクリエイター

記事一覧

#1 働く女性のキャリア心理学

悩んでばかりいるのはエネルギーの浪費、そのエネルギーを仕事にそそぎましょう 今回のシリーズでは、働く女性のパワーアップを目指し、キャリア心理学の内容を紹介していきます。  仕事に悩みはつきものですが、悩むという行為は人のエネルギーを消耗させ、人をひどく疲れさせます。 ですから、できるだけ省エネで “悩むべきときにだけ悩む” ことをおすすめします。 では、“悩むべきとき”とは、いつでしょう。 それは、“キャリアの節目”、たとえばキャリア選択やキャリアチェンジの前にあた

#2 働く女性のキャリア心理学

相手の行動パターンを予測し、対応を準備しよう​ “人間関係”は、多くの職場で悩みやストレスの第1位です。 なぜでしょう? 1つには、多くの人が職場での人間関係に過剰な期待をもつからです。 女性は、特にこの傾向があります。 “尊敬できる上司や気の合う仲間と一緒に働きたい”と思うのは当然ですが、実際にはどの職場にも“気難しい先輩や上司”がたくさんいます。 また、気の合わない人ともうまく仕事をすすめなくてはなりません。 友達や仲間は“ピアグループ”(仲良し集団)ですが

#3 働く女性のキャリア心理学

迷わずに悩まずに、まずは目の前の仕事に集中しましょう​ 5月といえば、学校でも職場でも、5月病の季節です。 4月から働き始めた人はとくに、疲ればたまってやる気がでない、仕事を辞めてしまいたいといった“プチうつ状態”になりやすいのがこのころ。 なぜかといえば、就職と同時に多くの人が経験する環境変化、その“変化”がストレスの元になるからです。 しかも、職場の現実は思っていた以上に厳しい! これを“リアリティーショック”(現実ショック)といいますが、新入社員の誰もがのりこ

#4 働く女性のキャリア心理学

なぜ入社3年目に会社を辞めたくなるのか? “753現象”をご存知でしょうか。 中卒者の7割、高卒者の5割、大卒者の3割が、入社3年以内に最初の職場を辞めてしまうことを表します。 この現象を組織コミットメント(会社への一体感、仕事への自己関与)という点から考えてみましょう。 多くの人は入社時には、新鮮な気持ちで会社の一員として頑張ろうと思うものですが、仕事ができるようになるにつれて、逆にコミットメントが低下し始め、3年目ごろには最低レベルになるというデータもあります。

#5 働く女性のキャリア心理学

やる気のモトは、給料、やりがい、それとも人間関係? 今回は、ワークモチベーション(仕事のやる気)に関する古典的な研究を紹介します。 ハーツバーグという米国の学者は、働く人への聞き取り調査から 「やる気を起こす要因と、やる気をなくす要因とは異なる」という 「動機づけの2要因理論」を提唱しました。 調査結果によると、仕事そのものの面白さ、達成感、承認、責任などによって、人はやる気を起こすようです。 逆に、会社の政策や経営、管理・監督のあり方、上司との関係、作業条件などが悪

#6 働く女性のキャリア心理学

仕事への満足感は、比較的安定した個人の特性といわれています 今年の春に職場を変わった知り合いの例です。 新しい職場は誰もがうらやむ知名度の高い会社で、本人も希望して転出しました。 しかし彼女は、「前より給料が悪いのよ…」とグチをこぼしています。 そういえば彼女、以前からいつも不満な点ばかりを挙げていたことを思い出しました。 最近のキャリア心理学の研究によれば、「職務満足感は比較的安定した個人の特性である」といわれています。 個人の職務満足の変化を長期にわたって、職

#7 働く女性のキャリア心理学

ロールモデルを探してステキな将来像をつくりましょう 最近では多くの職場で、メンター制度やブラザーシスター制度が導入されています。 メンターとは“人生経験が豊かな人、指導者、助言者、教育者、支援者”を意味します。 先輩が後輩に仕事を教えたり心理的なサポートをすることで、新入社員を早く一人前に育てようとするわけです。 働く人がキャリアを発達させるうえで、上司からの働きかけも重要ですが先輩の役割も、とても影響力があります。 専門的スキルをはじめ、対人関係スキル、問題解決ス

#8 働く女性のキャリア心理学

チャンスがなければ職業人としての成長は難しい あるとき、キャリア心理学を指導してくださった恩師が、なぞなぞのような質問をしました。 「キャリア開発の鍵は、能力、意欲、チャンスのどれだと思う?」 私はとっさに、 「意欲でしょうか」と答えたのですが、 先生は 「正解はチャンスだよ。チャンスがなければ能力も意欲も低下してしまうからね。女性のキャリア開発が難しいのは、チャンスが少ないからであって、能力や意欲の問題ではない」 とおっしゃいました。 確かに、挑戦的な仕事が

#9 働く女性のキャリア心理学

悪いところが過剰に目立つのはマイノリティー集団の宿命です Y子さんはかなり仕事のできる女性ですが、時々勢いあまって口調が強くなるのが欠点です。 男性陣はそんなY子さんに、 「だから女性は困るんだよ。女性はホントに感情的になりやすいなー」 などと陰口を言います。 こんなふうに、ある特定の女性の欠点が、女性に対するステレオタイプに当てはめられ、『女性一般の欠点』として認知されることはよくあることです。 社会心理学で明らかにされていますが、このような現象は人種的にマイノ

#10 働く女性のキャリア心理学

゛女性は…、男性は…″という思い込みに惑わされない サンドラ・ベムという女性の心理学者が「ジェンダーのレンズ」という本を書いています。 彼女は、ジェンダーにかかわる思い込みを抱いて社会をみると、いろいろな現象がゆがんでみえると警告します。 まるで度に合っていない眼鏡(レンズ)をかけて景色をみているように。 例えば、「女性はリーダーに向いていない」という先入観があると、リーダーにふさわしくない女性に会ったとき「やっぱりそうなんだ」と納得し、優れた女性リーダーのことは見逃

#11 働く女性のキャリア心理学

キャリアを妨害するバリアはあなたの心の中に 職業上の成長を妨げる要因を “キャリアバリア” (キャリアの障害)といいます。 能力不足、適正の欠如、経験や訓練の不足、性差別、家族の協力がないこと、家事や育児の負担などがキャリアバリアの例です。 ジェーン・スワンソンというキャリア心理学者の研究によると、女性は男性より多様なバリアがあると感じ、より強く妨げられると感じているようです。 確かに、女性が働き続け、キャリアアップするためには、職場にも家庭にも社会にもバリアがたくさ

#12 働く女性のキャリア心理学

こんな時代だからこそ“夢見ることを大切に 連載コラムが今回で終了します。 読者の皆さまありがとうございました。 コラムの前半は「ポジティブ心理学」、 後半は「キャリア心理学」でしたので、 最後に2つをリンクさせたいと思います。 キャリア心理学者のハリー・ジェラットは、 不確実な時代だからこそ「未来をポジティブにイメージすることが重要」 と言っています。 私の教え子のRさんは今、米国の大学院で照明の勉強をしています。 大学時代の彼女はいわゆる落ちこぼれぎみの学生で、