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女性の食生活デザイン

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私たちは食生活について、小中学校での保健体育や家庭科等を通じて、食や栄養、健康について学び、食生活をデザインする力を習得しているはずです。このマガジンでは、食生活をデザインする力… もっと読む
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記事一覧

#1 妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」が改定されました

妊産婦さん向けの指針の内容が変更になり、厚生労働省から2021年3月31日に通知されました。 今回の改定では、名称が「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~」となり、副題もつきました。 変更の理由は、若い女性の早産や低出生体重児等のリスクが高まっているためです。 今回の改定では、妊婦の体重増加については「令和3年3月8日 日本産婦人科学会「妊娠中の体重増加指導の目安」を参考にし、体格分類は「日本肥満学会の肥満度分類」に準ずるなど複

#2 食事の簡便化と食品ロス

日本人の食事は簡便化していると感じている方は多いと思います。 1960年に即席ラーメンが、1964年にだしの素が発売され、家庭内の調理において簡便化が進みました。 外食に目を向けると、1963年には大衆食堂に替わるファミリーレストランが、1971年にはファストフード店が開店し、若者や家族がカジュアルに利用できる外食市場を形成しました。 また1973年にコンビニエンス・ストアが開店し、調理品を24時間入手できる食環境となりました。 現代の日本では、私たちは簡単に食べたい

#3 冷凍食品のことを知っていますか

「女性の食生活デザイン」 わが国では普段の食事・間食等で冷凍食品が多く利用されています。 冷凍食品の定義は、一般社団法人日本冷凍食品協会では、 前処理している 急速凍結している 適切に包装している 品温(食品の温度)を-18℃以下で保管している としています。 そして冷凍された食品の種類によって、水産冷凍食品・農産冷凍食品・調理冷凍食品・冷凍食肉製品などに区分されます。 新型コロナウイルスの影響で外食が減り、家庭内での食事が増加したことは、冷凍食品の生産量や

#4 地産地消で食生活をデザインする

日本の食料自給率は、カロリーベースでみると、昭和40年に73%であったものが昭和50年には54%に、そして2007年8月10日に公表された食糧需給表によると、平成18年の概算では39%になり、40%を下回りました。 さらに2018年度の日本の食料自給率は、37%(カロリーベースによる試算)と過去最低でした。 2019年度には38%に上昇しましたが、62%は海外からの輸入に頼っているという数字です。 現状の日本の自給率は、国民1人・1日当たり供給熱量を用いて算出すると、

#5 新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言下での生活習慣の変化

新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言下(2020年4、5月)において国民の生活習慣や体重に変化がみられたことが、国民健康・栄養調査対象者の疫学研究NIPPON DATA2010の追跡調査により明らかになりました。 今回のコラムでは、この調査報告の中から生活習慣や体重の変化を取り上げます。 この調査では、対象者は2010年国民健康・栄養調査に参加した20歳以上の男女のうち、2020年時点でNIPPON DATA2010追跡調査に参加している2,244人を対象としています。

#6 新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言下での食生活の変化

今月のコラムも先月に引き続き国民健康・栄養調査対象者の疫学研究NIPPON DATA2010の追跡調査の結果をもとに、2020年4~5月の新型コロナウイルス感染症の第一波流行中(主に緊急事態宣言発令中)の食生活について、コロナ流行前との違いを概説します。 間食する頻度や量が増加した女性は18.3%で、男性の8.7%よりその割合は高かったです。 また年代別では、間食する頻度や量が増加した者は65歳未満で18.6%であり、65歳以上より高い割合でした。 自粛生活は、女性と6

#7 食欲の秋に解消したい鉄不足

女性に多い栄養欠乏症状のひとつに貧血があります。 日常の食事からの鉄摂取が少ないと、鉄欠乏性貧血になり、閉経前の成人女性の5人に1人が鉄欠乏性貧血といわれています。 自分には貧血という自覚も症状もないと思う、という人は多いです。 女性では男性の2倍程度と言われているレストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)は鉄不足が原因の一つです。 疲労感が取れないという症状があり、検査で血清鉄を調べたら貧血だった、という症例も報告されています。 鉄不足は体だけでなくメンタルヘル

#8 年末に見直したい健康にかかわる食生活

12月にはクリスマス、年越し、そしてお正月と食べることを伴う楽しいイベントが目白押しです。 食事の内容が偏りがちで、さらに(アルコール以外の)飲み物を口にする量が減少する時期ではないでしょうか。 受験生は追い込みの期間ですので、胃に優しい夜食を食べながらずっと座っているという方も多いでしょう。 年末にこそ見直したい食生活、それは便秘予防の食生活です。 女性の便秘有訴者率は2016年度国民生活基礎調査によると、男性(2.45%)よりも女性(4.57%)に高い傾向で、また

#9 加齢による女性の腸内環境の変化

1人のヒトの腸内には、約3万種類、1,000兆個の腸内細菌が存在すると言われています。 菌数と細菌の種類が多い多様性がある状態が良い腸内環境です。 たとえば機能性便秘症患者の腸内細菌叢は、健常の人と比較して多様性に欠けていることがわかっています。 女性ホルモンであるエストロゲンは、腸管内の炎症を抑えることが研究で報告されています。 またエストロゲンベータレセプターは大腸に多く存在し、植物性エストロゲンを摂取することで炎症性腸疾患等のリスクを低減することや、腸内細菌叢の

#10 コロナ禍における女性の暮らしのふたつの側面

新型コロナウイルス感染ではオミクロン株の波にのまれている2022年2月のコラムです。 ウイルスに気をつける暮らしはまだまだ続きそうです。 女性へのコロナ禍における暮らしには、ふたつの側面があった、とレディースクリニックの臨床現場から医師が報告しています。 良い面として、 在宅での仕事は、自分と他人との仕事の区分をはっきりさせた 仕事を中断させられる横やりがはいらない 会社における人間関係によるストレスから解放された 通勤時間が自分の時間になった 外食・中食が多

#11 食生活をデザインするのは自分

私たちの食生活は、海に囲まれた恵まれた地域性による豊富な食材、多国籍の料理を受け入れてきた柔軟な食嗜好、日本型食生活といわれる健康の維持増進に適している食事パターン、そして自然やならわしを大事にする食文化を有しています。 現代ではみな忙しく、時短が流行っています。 食文化を考える時間も余裕もない食生活は、食事リズムがおかしい、食欲にムラがある、味がよくわからず食塩を摂りすぎる、伝統的日本食材を使用しないことによる摂取食材の偏りなどの現代の食の課題の原因になっているように思