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#6 “妊娠に適齢期はあるの?”

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今回のコラムは、妊娠適齢期、つまり妊娠するのに適切な時期はあるのか?ということについて考えたいと思います。

2021年の平均初婚年齢は、
男性は31.0歳、女性は29.5歳でした。

そして、第1子出生時の母の平均年齢は30.9歳で、2015年に30歳を超えてからやや上昇しています。婚姻年齢の上昇は、すなわち出産年齢の上昇につながることになります。

妊孕性について

妊孕性にんようせいとは“妊娠する(させる)力”のことをいいます。

女性の妊孕力は、
32歳を過ぎると低下し始め、
37歳を過ぎると急激に低下するといわれています(※1)。

また、第1妊娠の流死産率は女性が20代の場合は10%を下回りますが、30代になると1割を超え、38歳以降では大きく上昇します(※2)。

以前は不妊のカップルは10組に1組といわれていましたが、現在は不妊を心配した夫婦は3組に1組以上おり、不妊の検査や治療経験がある夫婦は4.4組に1組に増加しています(※2)。

このことは加齢とともに、妊孕性が低下する、つまり“妊娠しにくくなる”ことを示しています。

卵子は、原則として1回の月経周期で1個だけ成熟し排卵する仕組みになっています。

ヒトの卵巣内の卵子は、
妊娠20週頃の女性の胎児には 600~700万個 ありますが、
出生時には 100~200万個
そして思春期では 30~50万個 に減少します。

さらに37歳頃には25,000個に減少します(※1)。

卵子は女性が胎児である時に作られ、その後、成長に伴い減っていきます。また、年齢とともに卵子の質も低下し、35歳を過ぎると染色体異常の割合が上昇します。

一方、精子は、卵子とは対照的に毎日作られています。しかし、女性ほど顕著ではありませんが、男性も加齢とともに妊孕力が低下することが明らかになっています(※3)。

年齢が上昇するにつれ妊孕性は低下していくことが分かっており、妊娠するためには適齢期が存在することが明らかです。
 

まとめ

現代では晩婚と不妊により出産年齢が上昇しています。

20代の結婚では子どもを持てないことはほとんどありませんが、30代後半の結婚では持てない可能性が上がります。

見た目は若々しくても、卵巣や子宮、女性ホルモンなどの体や機能、すなわち“妊孕性”にはリミットがあります。

女性の社会進出が進んでいますが、妊娠にはリミットがあることを考え、妊娠や子育ては一個人のこととしないで、社会全体で女性と家族を支援することが大切だと思います。

「妊娠に適齢期があるなんて知らなかった!」
「すぐに妊娠できると思っていたのに!」と後悔しないように、

自分の体のことを知ってください。そして、学生の頃から妊娠には適齢期があることを意識して、将来の人生設計をしてほしいと思います。

※1 Female age-related fertility decline. Committee Opinion No. 589. Fertility and Sterility. 2014, 101(3), 633-634.

※2 国立社会保障・人口問題研究所. 現代日本の結婚と出産-第16回出生動向基本調査(独身者調査ならびに夫婦調査)報告書. 第Ⅱ部夫婦調査の結果. 調査研究報告資料第40号. 2023, 78-82.

※3 David B. D. et al. Changes with age in the level and duration of fertility in the menstrual cycle. Human Reproduction. 2002, 17(5), 1399-1403.

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