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糖質を上手に摂って、最高のパフォーマンスを発揮しよう!

94限目 脳のエネルギー源
『試験の朝、必ずすべきこと!?』
生活環境学部 食環境栄養学科

2017年1月掲載「車内の金城学院大学」

糖質+食物繊維=炭水化物。

米やパン、麺類に多く含まれる「炭水化物」は、「たんぱく質」、「脂質」と並ぶ三大栄養素のひとつで、私たちが生きていく上で欠かせない、重要な栄養素です。
 
炭水化物はよく糖質と同一視されますが、実はそうではなく、炭水化物は、「エネルギーをつくる糖質」と「エネルギーをつくらない食物繊維」を合わせたもの。
 
したがって、おそらく皆さんがイメージする炭水化物は、炭水化物から食物繊維を除いた「糖質」ということになります。
 

糖質はからだの主要なエネルギー源。

糖質はいくつかの種類に分けられ、最小単位であるブドウ糖(グルコース)や果糖を「単糖類」と呼び、この単糖が2個結合したものを「二糖類」、3個以上結合したものを「オリゴ糖」、単糖類が多数結合したものを「多糖類」と呼んでいます。

 ブドウ糖や果糖などの単糖は、体内に入ると速やかに吸収されてエネルギーをつくり出せますが、すぐに消費されてしまいます。

 一方、ご飯やパン、麺などに多く含まれる糖質はブドウ糖が多数連結している「デンプン」で、消化が必要なことから、ゆっくりと糖質が吸収されていきます。
 
腸から吸収された糖質は血液中に入り、血液の流れに乗って全身の細胞に運ばれ、細胞内でエネルギーをつくります。
 
よく耳にする「血糖値」とは、こうして血液中に入ったブドウ糖の量のことで、通常であれば食前の値は約70~100mg/dlの範囲内。食後は誰でも一時的に血糖値が高くなりますが(70~140mg/dl)、インスリンの働きによって、食後約2時間以内には食事前の血糖値に戻ります。
 

脳のエネルギーになるのは、唯一ブドウ糖だけ。

長期間の血糖値の増加は糖尿病につながる恐れがあることから、血糖値の上昇に注目しがちですが、私たちの脳は、飢餓のような特殊な状況を除いて、ブドウ糖を唯一のエネルギー源としています。
 
また、脳は血液脳関門と呼ばれる特殊なバリアを持っており、エネルギー源としてブドウ糖しか脳内に入れない仕組みになっています。
 
しかも 脳はブドウ糖をほとんど貯蔵できないため、常にブドウ糖を供給する必要があります。
 
もし、脳へのブドウ糖の供給が減ると脳が正常に機能しなくなるため、集中力や記憶力の低下、さらには動悸や目のちらつき、イライラ、倦怠感、吐き気、眠気など、心身に不調が出てくることがあります。
 
また、食事からのエネルギーを多く必要とする若者が無理な糖質制限ダイエット(糖質を取り入れないような食事)を続けると血糖値の低下を招き、かえって健康を害してしまうことがあるので、適切な摂取を心がけましょう。
 

- 『 血液脳関門 』 についての記事はこちら

 

脳のエネルギー補給に、朝食は必要不可欠。

脳は、1日24時間、寝ている間も休みなく働き続け、絶えずエネルギーを消費しています。
 
また、食事から摂取した糖質は3~4時間で使い果たしてしまうため、朝・昼・夕の3度の食事が重要です。
 
特に、夕食の後から朝食を食べるまではかなりの時間(10~12時間)が空くため、朝の脳はエネルギーが不足しています。
 
昼食まで食事をしないと、さらに4〜5時間は欠乏状態が続くことになります。
 
脳は、「五感」や「記憶」、「感情」、「内臓の運動」、「筋肉の運動」、「平衡感覚」などの制御を行っている司令塔。
 
エネルギーが欠乏し、司令塔が機能しない状態では、自身の持つ最大の能力を発揮することもできません。
 
朝食をしっかり食べて脳にエネルギーを補給し、元気に一日をスタートさせましょう。

 脳のパフォーマンスを高めるカギは、
栄養・運動・休養のバランスにある。

さて、もうひとつ糖質からエネルギーをつくり出すための重要な栄養素に、「ビタミンB1」があります。
 
ビタミンB1を多く含む食品に玄米がありますが、精白されたお米にはほとんど含まれていません。
 
そのため、精白米を食べる際には、ビタミンB1を多く含む豚肉や魚、卵、豆類などを一緒に食べることで、より効率的に必要なエネルギーをつくり出すことができます
 
私たちの体は、食品から摂取した栄養素によって構成され、動いています。
 
脳を活性化し、心身の働きを高めるためには、今回ご紹介した糖質やビタミンB1だけでなく、いろいろな食材をバランスよく取り入れた食事を摂ることが大切です。
 
あわせて、運動と休養のバランスにも注意して、「毎日最高のパフォーマンスを発揮」できるようにしましょう。
 
身体と栄養の関係を知り、活力ある毎日をつくる。
それが生活環境学部 食環境栄養学科
 


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