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女性の権利のために立ち上がるヒロインたちの実話に勇気づけられる

1973年、アメリカ連邦最高裁が女性の人工妊娠中絶の権利を合法とした歴史的な判決を下しました。

それまで非合法とされてきた人工妊娠中絶を女性の権利として勝ち取った背景にあったのは、名もなき女性たちの活動です。私たちが今、無意識に手にしている自由や権利は、勇気を持って立ち上がった人たちによるものだったことを伝える作品があります。作品を通して歴史を知るだけでなく、私にもできる!と力をもらえるかもしれません。


■『コール・ジェーン ― 女性たちの秘密の電話 ―』

人工妊娠中絶を必要とする女性がたどりついたのは

©2022 Vintage Park, Inc. All rights reserved

1968年、アメリカのシカゴで裕福な家庭の主婦として暮らす女性、ジョイ。2人目の子どもを妊娠しますが、それによって心臓の病気が悪化。治療には中絶しか方法がないと診断されますが、人工妊娠中絶が法律で許されていない時代のため、病院では手術を拒否されてしまいます。そんな時、ジョイは街で偶然〝妊娠?助けが必要?ジェーンに電話を〟という張り紙を見つけて―。

『コール・ジェーン―女性たちの秘密の電話―』は、女性の選択の権利としての人工妊娠中絶がアメリカで合法とされるまでを、実話をもとに描いた映画です。
ミッドランドシネマ 名古屋空港の支配人、森さんに見どころを伺いました。
 
― 1970年代初頭までは、病気の治療のために必要な中絶もアメリカでは認められていなかったんですね。

森:必要かどうかを検討する審査会のようなものが病院内で開かれますが認められず、困った彼女は、違法だけれど安全な中絶手術を提供するアンダーグラウンドな団体「ジェーン」に頼ることになります。手術を受けて健康を取り戻した彼女が団体の活動に関わるようになるところからが、物語の中心です。「ジェーン」は実際にあった団体で、1960年代後半から70年代初頭にかけて、推定12,000人の女性の中絶を手助けしたと言われています。
  

共感を原動力に、悩める女性を救う活動に加わって

©2022 Vintage Park, Inc. All rights reserved

― 救ってもらったとはいえ〝ジェーン〟は非合法の団体ですが、彼女が活動に参加しようと思ったのはなぜでしょうか。

森:当時はベトナム戦争の反戦デモが盛んに行われていて、街中でデモを見かけた彼女は「自分にも何かできることがあるんじゃないか」と心に湧き上がるものがあったようです。何不自由ない暮らしをしていた彼女ですが、満ち足りていない部分があったのかもしれませんね。
 
〝ジェーン〟についても、女性スタッフが迎えに来てくれたり、手術が終わった女性たちを別室に集めて薬の飲み方を指導したり、パスタを出してくれたりといった、きめ細かくあたたかいケアに安心し、信頼できると感じたんでしょう。「毎週木曜日のミーティングに来てみない?」と誘われて、何気なく参加するようになります。
 
― 〝ジェーン〟の活動が中心に描かれるようですが、印象に残った点はありましたか。

森:たくさんの女性から問い合わせがありますが、手術できる人数は限られている。誰を選ぶか協議するのですが、一律に線引きするのではなく、それぞれの事情を思いやりながら時間をかけて議論をする。その姿勢がいいなと思いましたね。
できるだけ多くの女性を救いたいと考えたジョイが、大胆な発想でさらに踏み込んだ行動に出るので、そこにも注目してほしいです。
 
― 歴史を変えた一般女性の活躍を伝える作品はこれまでにもありますが、その活動の原動力として共通するものはあるでしょうか。

森:人に寄り添う力があるかもしれませんね。特に今回のテーマは女性の身体に関わることなので、余計にそうですよね。主人公は自身が体験しているわけですし、一層共感する気持ちが強かったのでは、と思います。
  

60~70年代のアメリカンテイストも見どころ

©2022 Vintage Park, Inc. All rights reserved

― ジョイの活動は家族にも理解されていたんでしょうか。

森:非合法の活動なので、やはりしばらくは秘密にしていましたね。彼女には15歳くらいの娘がいるので、母と娘の関係を通しての家族の理解というのも物語の展開に関わってきます。
 
― 予告編では、70年代頃のアメリカのファッションやライフスタイルも感じられます。

森:女性たちの髪型や服装、全編に流れる音楽からも当時の流行が伝わってきます。テーマは社会派ですが硬さや重苦しさはなくビジュアルもポップですし、能動的に変わっていく主人公に勇気をもらえる前向きな内容です。
現在アメリカでは人工妊娠中絶を再び違法とする動きも出ていますので、歴史を振り返るだけにとどまらないタイムリーな作品だと思います。
 

『コール・ジェーン―女性たちの秘密の電話―』はミッドランドスクエアシネマほかにて、3月22日から上映予定。

『コール・ジェーン―女性たちの秘密の電話―』予告編はこちら

 ミッドランドスクエア シネマ 劇場情報

名古屋駅前に14スクリーン、全席ソフトレザー張りの2,205席を備える都市型シネマコンプレックス。メジャー作品はもちろん、アートレーベルやアニメレーベルも設けて、コアなファン向けの作品もカバーする。

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映画紹介マガジン「スクリーンの中の私」

 


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