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母と娘をつなぐ強い絆と、多くの人を魅了する書の魅力に迫る

一番身近な同性である母と娘。
血のつながった密接な関係の二人だからこそ、強く共感したり反発したり、そのつながりは多種多様で時に複雑です。

真実ならではの強い力があり、見る人の心に迫るドキュメンタリー映画で、強い絆で苦難を乗り越えてきた母娘の軌跡を見つめてみませんか。
 


■『共に生きる 書家金澤翔子』

©︎マスターワークス

母の書道教室から始まった書の道

世界的に活躍する書家の金澤翔子さん。
生まれてすぐにダウン症と診断された彼女が才能を開花させるまでには、母・泰子さんと共に重ねてきた努力や挑戦がありました。

『共に生きる 書家金澤翔子』は、二人の日々に密着しながら翔子さんの作品が持つ魅力や母娘の絆に迫る、ドキュメンタリー映画です。
作品を上映するミッドランドシネマ 名古屋空港の支配人、森さんに見どころを伺いました。
 

©︎マスターワークス

― 彼女が書を始めたきっかけは?

森:母の泰子さんが書道教室を開いていて、翔子さんにも筆を持たせてみたら結構筋がよかったというところから始まったようです。特に印象的なエピソードがあって、あることがきっかけで泰子さんが苦悩して引きこもりのような状態になり、翔子さんも学校にしばらく行けなくなるんです。その時に、意味もよくわかっていない小学生の翔子さんに般若心経を書かせるんですよ。当時を振り返って、泰子さんは「自分の苛立ちを抑えるために書かせた」と言いますが、翔子さんは「落ち込んでいるお母さんを救うために書いた」と答えます。二人と書の深い結びつきはここから始まったのかなと感じましたね。
 
― 名刹に作品が納められたりもしている翔子さんの書には、どんな魅力があるのでしょうか。

森:圧倒的な生命力にあふれていて、まさにアートだなと感じました。印象的な余白の取り方がすごいと評価されている書家の先生のコメントもあって、たしかにそうだなと。書には正解がないし、書かされているのではなく、書きたいものを書いているからいいんだという声もありました。
  

将来を見据え、子どもを信じて自立を促す

©︎マスターワークス

― ダウン症の子を持つ母として、泰子さんには苦悩があったようですね。

森:翔子さんは1985年生まれで、その当時はダウン症についての知識や理解がまだ少なかったこともあり、絶望するような時期もあったようです。また、泰子さんの夫(翔子さんの父親)も早くに亡くなったので、周りの助けがないと感じる苦しさもあったかもしれません。
 
― 泰子さんの子育てには何か特徴が感じられましたか。

森:親である自分が先立った後に翔子さんが一人残されることを考えて、彼女を自立させなくてはという意識が強かったようです。過保護にせず、小さいころから一人で行き帰りをさせるなど、子どもを信じて自立を促すという接し方が印象的でした。周りからは「万が一のことがあったら」なんて言われたりもしたようですが、こういう子だからこそという思いがあったようで、翔子さんもそれに応えてきた。二人の信頼関係があったからこそ今があるのでは、と思いますね。
 
― 翔子さんが世に出ることになったきっかけには、お父さんも関連があるとか。

森:お父さんが生前に「翔子さんの個展を開いてみたら?」と言っていたそうです。それを思い出して翔子さんが20歳の時に開いた個展が、書家として注目されるきっかけになったとか。当時すでにお父さんは亡くなっていましたが、家族のつながりを感じますね。
 

持ち前の明るさや純粋さで周りを笑顔に

©︎マスターワークス

― 映画の中には翔子さんが一人暮らしを始めた様子も出てくるそうですね。

森:1階に自分のギャラリーを構えたマンションで暮らしていて自分で買い物にも行きますが、スーパーではなく地元の商店に出かけていくんです。彼女はすごく明るくてお店の人たちにも愛されているので、周りの人が何かと気遣ってくれる、守ってくれているみたいでした。自分で生きる知恵を身に着けているかのようにも見えましたね。
ダウン症の子どもとふれあう様子などを見ていると、翔子さんは接する人の心を穏やかにしてくれる存在なのかなとも感じました。
 
― 彼女の持つ明るさや純粋さなどが、書を通しても伝わってくるのかもしれないですね。

森:そうかもしれません。そんな今の彼女を育てたのはお母さんですから、まさに二人三脚で歩んできたという印象ですね。「書を書く原動力は?」と尋ねられた翔子さんの答えにすべてが込められているようで、思わずぐっときますよ。エンディングでは森山直太朗さんの曲が流れるので、それもまた感動を高めてくれますね。
母と娘、ダウン症の人、周りの人たちが〝共に生きる〟ことについて深く考えさせられ、さまざまな気づきを得られる作品だと思います。
 

『共に生きる 書家金澤翔子』ミッドランドスクエアシネマミッドランドシネマ 名古屋空港ほかにて、6月2日から上映予定。

『共に生きる 書家金澤翔子』の予告編は、こちら

  

ミッドランドスクエアシネマ 劇場情報

名古屋駅前に14スクリーン、全席ソフトレザー張りの2,205席を備える都市型シネマコンプレックス。メジャー作品はもちろん、アートレーベルやアニメレーベルも設けて、コアなファン向けの作品もカバーする。

ミッドランドシネマ 名古屋空港 劇場情報

県営名古屋空港に隣接する、エアポートウォーク名古屋内のシネマコンプレックス。ソフトレザーシートを配した12スクリーンを備え、バラエティに富んだ作品ラインナップとスタッフ手作りのPOPも魅力。


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