一人ひとりの声が重なり合って、美しいハーモニーが生まれる瞬間は格別です。
金城学院高校グリークラブは、第91回NHK全国学校音楽コンクール・東海北陸ブロックで銀賞を受賞。第77回中部合唱コンクール(高等 A部門)で はみごと金賞を受賞しました。
コンクールに向けてひたすら練習を重ね、素晴らしい成果を残したあの日々をふりかえって今思うこと、そして大切な仲間たちに寄せる思いは・・・。
部長、副部長としてグリークラブのメンバーをまとめ、引っ張ってきた中島万結さんと小島花菜さんに話を聞きました。
✽ 第91回NHK全国学校音楽コンクール(東海北陸ブロック) ✽
銀賞
✽ 合唱連盟主催第64回愛知県合唱コンクール ✽
金賞 (高等学校部門Aグループ)
✽ 第77回中部合唱コンクール ✽
金賞 (高等学校部門Aグループ)
歌うことが大好きな仲間が集まって、毎日楽しく活動しています。
ー ふたりは、いつ、どんなきっかけでグリークラブに入部したのですか。
小島:私は中学2年の春です。中1の時に仲の良かった友だちがグリークラブですごく楽しそうに活動しているのをみて、私も入りたいなと思いました。
中島:私は小学校2年生の頃から合唱団に入って歌を歌っていたのですが、その時に金城グリークラブの定期演奏会に行ってその歌声にすごく惹かれ、自分もこのクラブに入って歌いたい、コンクールにも出てみたい、と思いました。金城中学を受験したのもグリークラブに入るためで、小1の時からの夢が叶いました。
ー 普段はどんな練習をしているのですか。
中島:現在、部員は1年生13人、2年生1人、3年生6人の計20人。金城学院の先輩でもある宮木令子先生の指導のもとで、週5回、平日は2時間、土曜日は3時間ほど練習しています。
ー 毎日練習で大変ではありませんか。
中島:歌うことが大好きなので、まったく苦になりません。
小島:そう、楽しいから大変だと思ったことがありません。夏休み中も、ほとんどの子が皆勤賞でした。
8年ぶりに出場したNコンのブロック大会で堂々の2位。
ー そうした地道なトレーニングの積み重ねが、コンクールの結果にも表れましたね。
中島:毎年、合唱に取り組む人たちがめざす大きなコンクールが2つあります。ひとつは「NHK全国学校音楽コンクール(以下Nコン)」で、もうひとつが「全日本合唱コンクール」。特にNコンは、全国大会に出場できるのは地区予選、県コンクール、ブロックコンクールを勝ち抜いた11校だけ、という狭き門。私たちは、まずは愛知県代表になって東海北陸ブロックコンクールに出場することを第一目標に掲げて練習に取り組んできたので、愛知県コンクールで金賞を受賞し、ブロックコンクールへの出場が決まった時は本当に嬉しかったです。
小島:全国大会まであと一歩、というところだったので、悔しい気持ちはもちろんありました。でも、金城のグリークラブが東海北陸ブロックまで進めたのは8年ぶりのこと。一つの目標を叶えたという達成感はあります。
中島:そう。金賞は逃したけれど、銀賞で2位。悔しさの一方で、嬉しい気持ちと誇らしい気持ちがありました。
ー Nコンではどんな曲を演奏したのですか。
小島:課題曲は俵万智作詞、松下耕作曲の『明日のノート』。自由曲は山村暮鳥作詞、信長貴富作曲の無伴奏女声合唱曲集『種子はさへづる』から2曲を歌いました。課題曲の『明日のノート』は、テストの平均点とか、友だちに勝ったり負けたりとか、まさに高3の今だからわかる歌詞が散りばめられていて、気持ちが入りました。
中島:イライラしたり、ネガティブな感情を表現するときは、自分の経験と重ね合わせて、その気持ちを素直にぶつけて歌い、「そこから始まる明日のノート」という歌詞に切り替わってからは、自分たちの明るい未来を思い描きながら歌いました。
小島:同じ曲でも、男声合唱、混声合唱、女性合唱では、曲の雰囲気や表現方法が違ってきます。たとえば課題曲の『明日のノート』に「愛は勝つ」というフレーズがあるのですが、ここは、男声合唱ならパワフルに歌うかもしれませんが、私たちは、女性だからこその大人感、というか色っぽさを出そうと思って歌いました。
中島:元気よく、というよりは、色気を出して、という感じ。音の精度を高め、男性にはない繊細さを表現することで、この曲の魅力を表現しようと思いました。一方、自由曲に選んだ「種子はさへづる」はアカペラなので、特に詩を大事にして歌いました。
小島:歌詞に込められた思いや情景を、メンバーみんなで何度も話し合って、読み解いて。最終的にみんなの思いをひとつに、聴く人の心にまっすぐ届けることができたと思います。
これまでで最高の舞台がつくれた中部合唱コンクール。
ー 中部合唱コンクールでは、全国大会出場こそ逃したものの、高校A部門でみごと金賞を受賞。ここではどんな曲を歌ったのですか。
中島:課題曲は、ヴィクトリア作曲の『O vos omnes』というラテン語の曲。自由曲は『種子はさへずる』から3曲を演奏しました。
小島:このコンクールでは、私たちが今まで演奏してきた中で一番いい演奏ができました。全国大会に行けなかったことは悔しかったですが、これまでの人生の中で一番と言っていいほどみんなで頑張ったし、最高の舞台がつくれたので、泣きそうになるくらい幸せでした。
中島:中部合唱コンクールは、私たちにとっては最後のコンクール。3年間の総仕上げとして悔いのない演奏ができたことは、最高の喜びでした。
ー ふたりにとって合唱の魅力とは?
中島:合唱って、みんなで歌うもので、ひとりで歌うものじゃないんです。一人ひとりの苦手な部分や弱みも、みんなでカバーしながら歌えるし、みんなで歌うことで、嬉しい時も、悲しい時も一緒に分かち合える。そういうところが好きです。
小島:私はアルトなので、ソプラノのように主旋律を歌うことは少ないですが、各パートの歌声や全体の歌声をよく聞いて、お互いに支え合いながら歌うことで、なんとも言えず美しいハーモニーが生まれる。それが素敵だなって、いつも思います。
みんなの仲の良さがいちばんの自慢。
強い結びつきがあるから、さらなる高みをめざせる。
ー 金城グリークラブの持ち味、強みはどこにあると思いますか。
中島:一番は、みんなの仲が良く、結束力があること。技術的なことで言えば、「発声がきれい」とよく言われます。
小島:それは宮木令子先生の指導の賜物。たとえばアルトだと、低い音になってくると、ワッという声を出したくなるのですが、先生はいつも、「ちゃんと響かせて」と注意してくれるので、低い音でもきれいに響かせられるよう、練習を積み重ねてきました。
中島:部員が20人という少人数だからこそ、意見も言い合えるし、一致団結できる。それも金城グリーの強みだと思います。改善点とかも、受け身じゃなくて、自分たちから主体的に、しっかり話し合って、自分たちの合唱を創り上げてきました。
小島:特に今年は意見交換の機会を多く持つことができ、話し合いを重ねた分、良いものができたと思います。歌詞の解釈をする時も、先輩だけが意見を言うのではなく、後輩からも、「私はこう思います」という発言がどんどんあって、「おー、なるほど」と思ったり、微妙に音が合わない時も、後輩たちから「ちょっとここが合わないんですけど」ということをちゃんと言ってもらえて、それは感謝しています。
ー 部長、副部長として心がけていることは?
小島:みんな歌うことが大好きと言っても、やりたくないことや、乗り気じゃない時もあります。そんな時は、私が率先して動いて、自然にみんなを引っ張っていくということをいつも心がけています。
中島:私は、部長ではあるけれど、みんなで一緒に頑張るということを大事にしています。みんなを引っ張ることも時には大事だと思うし、実際、引っ張ることもあるけれども、まずは横一列で、みんなで進んでいきたいな、といつも思っています。そういう意味では、小島副部長にも本当に助けられたし、みんなで頑張って、最高のチームワークができたと思っています。
ー 最後に、グリークラブの仲間たちにメッセージを。
中島:これまで支えてくれてありがとう。みんな、ほんとうに大好きです。後輩たちには、これからも頑張って、金城グリーの魅力、良さを次につなげていってほしいなと思っています。
小島:副部長としてみんなの思い通りにならなかったこともあるかもしれないけれど、私もほんとうにみんなことが大好きだし、一緒に頑張ってくれて、助けてもらって、心から感謝しています。ありがとう!
■ 過去の金城学院報 with Dignity はこちら
・・・