これを読んだら行きたくなる!奥深き「サウナ本」
今年は暖冬になる可能性が高いと言われているものの、ぐっと冷え込む日もあります。体を温めるものが恋しくなったら「サウナ本」はいかがでしょう。
ここ数年のブームを機に、施設も楽しみ方も日々進化している様子。幅広い世代に愛好家が増えています。
おすすめの2冊を紹介してくれるのは、岐阜県多治見市にある「ひらく書店東文堂本店」の店長、木野村直美さん。
ご自身もブーム以前にサウナ通いをしていたという木野村さんが、ビギナーにも楽しめる2冊の本を紹介します。
■『ちょっとサウナ行ってきます』
愛好家の著者が実体験を交えて綴った、サウナの教科書
サウナの基礎知識や楽しみ方、よくある疑問など、体験する前に知っておきたい情報をはじめ、サウナが体に及ぼす作用や女性の体とサウナの関係など、学術的な知識も抑えた読み応えのある1冊。
サウナを愛する著名人や施設を運営するスタッフへのアンケートなど、サウナへの熱い思いが綴られた章もあり、奥深いサウナの魅力を知ることができます。
― 今年もサウナのブームは右肩上がりでした。関連書籍も増えているのでしょうか。
木野村:本の世界では、2011年に発行されたタナカカツキさんのコミック「サ道」がドラマ化されて注目を集めたのをきっかけに、サウナに関連する書籍も続々と刊行されている印象です。教科書的な内容の書籍をはじめ、サウナ施設のガイドブック、世界のサウナを写真に収めたビジュアルブック、エッセイなど、ジャンルも様々です。
女性ならではの視点で、楽しみ方を丁寧に指南
― 『ちょっとサウナに行ってきます』には、女性が共感できるテーマや内容が充実しているのが魅力ですね。
木野村:著者自身が女性であることが、この本の大きな特徴になっていますよね。「わたしのサウナの入り方」は、とくに女性の参考になるでしょうし、美容や健康、癒しに関心のある方にも響く内容です。岩田さんが、第一章「はじめての人へ」の冒頭に掲げている「サウナはよい生き方を知る場所」という言葉。結婚や出産、キャリアアップなど、多くのターニングポイントが待ち受けている女性にとって、この言葉には刺さるものがあるのではないでしょうか。そして「サウナって本当に体にいいの?」「女性の体とサウナのこと」など、女性が気になるリアルな疑問にも触れているのが、この本の素晴らしいところ。実際に医師に意見を求め、的確な情報や知識がまとめられています。
心と体をリセットして、自分の人生と向き合う
― 「サウナは、よい生き方を知る場所」という著者の言葉はとても新鮮に感じました。
木野村:本書には、テレビや舞台で活躍する俳優さんやスポーツ選手など、著名人がサウナ愛を語るページもあります。それぞれのサウナとの付き合いに、その人の人生観が投影されているような気がしますよね。
― 木野村さん流のサウナの楽しみ方もぜひ聞かせてください。
木野村:私もサウナが好きで、一時期はよく通っていました。体が温まると頭の中までぽかぽかとして、いつしか「無」の状態に。ふわふわとした気持ちのまま、外気にあたるとスーッと心地よい風を感じるのです。その瞬間に、心も体もリセットされて、いわゆる「ととのう」という境地に達するのです。本書にも著者の「ととのう」にまつわるエピソードが綴られています。これがまた面白いので、ぜひ読んでいただきたいです。
書籍データ:『ちょっとサウナ行ってきます』
■『サウナ語辞典』
収録数は500語以上!マニアックな世界観に引き込まれる
サウナに関する様々な事象や愛好家ならではの言動、世界各国のサウナ事情、施設特有の言い回しなど、500を越えるサウナ語を紹介。サウナ好きでなくとも知っている一般的な用語はもちろん、学術的な用語も収録されています。イラストも豊富に添えられていて分かりやすい解説がとても親切。「あ」から順番に読み進めていくのがおすすめです。
― ブームと同時にサウナにまつわる言葉にも、注目が集まっていますね。
木野村: 2021年の「ユーキャン新語・流行語大賞」で、先ほどの「ととのう」という言葉がノミネートされましたよね。本書から意味を引用すると、「ととのう」とは「入浴時や温冷交代浴を行った際に発生する、恍惚とした状態のこと」。熱々のサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させる「ロウリュ」や、サウナ室内でタオルをあおぎ熱波を起こすパフォーマンスの「アウフグース」という言葉も、ここ数年で一気に認知されるようになりました。
「体験してみたい!」「見てみたい!」と思うこと必至
― 木野村さんが気になった言葉はありますか。
木野村:いつか経験してみたいと思っていた「ウィスキング」や「うかせし」です。サウナ発祥の地フィンランドではお馴染みの入浴法で、植物の束を使って全身を叩いて心身を整えるもの。本書を読んでさらに興味が湧きました。
― サウナ愛好家たちの表現のセンスを感じさせる、ユニークな言葉にも目が留まりました。
木野村:サウナ室で起きる出来事や、利用客の姿を表現した用語には、同じサウナ愛好家である著者たちの愛を感じますよね。サウナ室で最も熱を感じられる場所は「玉座」というのも、巧みな表現。シャワーやかけ湯で汗を流さず水風呂に入るというマナー違反をする「かけずこぞう」は、実際に見たことがあり思わず笑ってしまいました。
― ちょっとサウナに行きたくなってきました(笑)
木野村:私も久しぶりにサウナへ行きたくなりました。専用の道具が必要なわけでもなく、思い立ったらすぐ始められるのがサウナのよさ。最近では、湖や川の近くでテントサウナを楽しんだり、サウナを自作する人もいるようですよ。自分に合ったサウナの楽しみ方を、本の中に探してみるのもいいですね。
書籍データ:『サウナ語辞典』
岐阜県多治見市にある
「ひらく本屋 東文堂本店」の情報はこちら
ひらく本屋 東文堂本店
創業120余年の歴史を有し、学校図書の販売も手掛ける地域密着の老舗書店。現在は、JR多治見駅から徒歩5分のながせ商店街にあるレトロな複合施設「ヒラクビル」内に本店を構える。本の持ち込みOKのカフェ「喫茶わに」も併設され、こだわりの珈琲とスイーツを楽しみながら読書を楽しむこともできる。
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