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国籍や言葉、文化が異なる人々が互いの違いを尊重しあい、ともに生きる社会へ。

65限目 見守りネットワーク
『牛乳配達で地域を守る?』
人間科学部 コミュニティ福祉学科

2014年8月掲載「車内の金城学院大学」

私たちの便利な生活は、「外国人」に支えられている。

現在、日本で生活している在留外国人は296万1,969人(2022年6月:入管白書)で、都道府県別に見ると、愛知県は東京都に次いで2番目に多く(280,912人)の在留外国人が住んでいます。

では、なぜ多くの外国ルーツの人々が愛知県で暮らしているのでしょうか。

たとえばコンビニに行くと、ベトナムや中国ルーツの店員さんを見かけたり、早朝から店頭に並ぶコンビニ弁当の工場では、ベトナムやタイ、ブラジルなどの多様な国籍の人々が深夜も働いています。

また、日本の基幹産業である自動車関連企業が多い愛知県では、1980年代後半以降、ブラジルやペルー、ベトナムなど、多くの外国ルーツの人々が働いています。

私たちの便利な生活は、低賃金で長時間、過酷な環境のなかで働く「外国人」によって支えられているのです

ただ日本社会では、こうした外国ルーツの人々を「外国人労働者」として位置づける傾向にあり、彼/彼女たちの市民権(労働、教育、福祉、医療など)が適切に保障されていないという現実があります。
 

コロナ禍で顕在化した外国ルーツの人々への差別と貧困。

特に昨今のコロナ禍においては、日本で働く「外国人労働者」の多くが職を失い、母国に帰ることもできずに、厳しい状況に直面しました。

生活福祉資金特例貸付も、当初、その対象は永住者に限られ、その後、外国人への適切な運用が通知されましたが、多言語情報や相談は不十分なまま。

生存権の要である生活保護は外国人に対しては準用となっており、相談窓口での不適切な対応も深刻です。

また、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻によって、多くのウクライナ難民が生まれています。

日本政府はウクライナ「避難民」の受け入れを表明し、「特定活動(1年)」という就労可能な在留資格を与えたものの、日本の難民認定率は1%に満たない状況が続いています。

では、こうした課題をどのように解決したらいいのでしょうか?

市民参加による支援活動や協働の活動に、そのヒントがありそうです。
 

誰もが集える「居場所」で紡がれる支援の輪。

外国人労働者が集住している地域では、当初、ゴミ出しや騒音などのトラブルが発生していました。

しかし、それらのトラブルは、地域で日本語や生活習慣などを学びあう機会や場をつくっていくことによって、少しずつ改善・解決されつつあります。

たとえば、愛知県で最も外国籍住民比率が高い保見団地では、日本語教室やポルトガル語教室、さらには多文化のケアセンター、障がい児童デイサービスなど、多様な活動や事業に取り組まれています。

そのなかで、フェジョン(ブラジルの豆料理)を食べたり、サンバを踊ったりするなど、お互いの文化や言語、生活習慣を学び、多様な生き方が尊重される多文化共生のまちづくりが展開されつつあります。

また、ブラジルやペルー、フィリピン国籍の人々が多く住む愛知県瀬戸市で活動するNPO法人エム・トウ・エムは、コロナ禍を機に生活困窮者たちへの食糧支援(どうぞフード)と子ども食堂(どうぞランチ)を開始しました。

この活動・事業には、通訳や翻訳を担当したり、子ども食堂で料理教室を開催するなど、瀬戸市近辺の複数の大学の学生たちも楽しそうに参加し続けています。

金城学院大学の学生も、「どうぞランチ」の活動や、市民フェスタ・クリスマス会の準備、瀬戸市の「外国籍住民アンケート」、「日本語会話学習」などを行っています。
 

誰もが生きやすい、寛容な社会へ。

豊田市や瀬戸市の事例で見られるように、地域の誰もが気軽に立ち寄る場、居場所があることで、多様な人々の課題が顕在化し、その課題を解決しようという実践が生まれてきます。

コミュニティに多様な居場所をつくり、そこで情報提供やコミュニケーション、相談、支援などの活動が広がっていくことが、実は誰もが生きやすい、寛容性のあるコミュニティをつくることにつながります。

グローバル化のなかで、格差の拡大、気候危機、戦争まで発生し、私たちは困難で不確実な時代を生きています。

だからこそ、国籍や言語、文化が異なる人々が、互いの違いを認め、尊重しあい、ともに支えあって暮らせる、寛容な社会を創り出すことが必要です。

市民参加による支援活動や協働の活動は、そんな多文化共生のコミュニティづくりを推進する大きな原動力になります。

地域と人をつなぎ、優しい社会をつくる。
それが人間科学部 コミュニティ福祉学科

 


2023年2月に開催された「東海交流フォーラムー『協同』が生まれる地域社会づくり」では、本学コミュニティ福祉学科の学生が朝倉ゼミで継続して行っている食料支援と外国籍住民の生活実態調査の取組みについて報告しました。

発表に使用したスライド

月に1回、ペルー国籍の人たちとペルー料理を一緒に準備し、終了後は一緒に食事もします。
 

< 参考 >
世界幸福度調査では、日本は47位(2023年)で先進国のなかでは際立って低い。なかでも「社会的自由度」と「寛容度」を示す数値が他の先進国と比較すると顕著に低い。

*「社会的自由度」
①働く環境の自由(EU加盟国はすべての企業・社員に対して、最低4週間の休暇取得が法律で義務付けられているなど)、②「言論の自由」や「報道の自由」(伝統とビジネス上の利益のために報道の自由度が低下しているとの指摘):(国境なき記者団による「報道の自由度ランキングでは、世界180カ国中67位、先進国では最下位:2021年度)*寛容度は、ボランティアや慈善活動の多さや貢献度などで評価される。日本人のボランティアの少なさが幸福度を下げている。
 


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