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女性リーダーが日本で少ない理由とは?今の活躍状況や育成するメリットを解説

女性の社会進出は徐々に進んではいるものの、日本では女性リーダーはまだまだ少ない状況です。

では、なぜ外国と比較して女性リーダーの育成が遅れているのでしょうか。

本記事では、日本における女性リーダーの活躍状況や、女性リーダーが日本で少ない理由について解説します。

企業が女性リーダーを育成するメリットと育成のポイントについても解説するので、女性リーダーの育成を検討している方はぜひ参考にしてください。
 


日本における女性リーダーの活躍状況

厚生労働省が発表した「令和4年度雇用均等基本調査」によると、課長相当職以上の、管理職に占める女性の割合は12.7%です。年々上昇傾向にあり、前年度の調査よりも0.4ポイント上昇しています。

以下のグラフに、役職別の女性の割合をまとめました。役員を除いた、部長・課長・係長相当職に注目すると、上位の役職ほど女性割合が低いことがわかります。

引用:厚生労働省|「令和4年度雇用均等基本調査

なお、令和4年に内閣府男女共同参画局が発表した「女性活躍に関する基礎データ」によると、就業者に占める女性の割合は、外国と比較して大きな差はありません。

しかし、管理的職業従事者に占める女性の割合は、多くの国が30%以上であるのに対し、日本では10%台にとどまっています。

そのため、日本の女性リーダーの活躍状況は、世界的に見るとまだまだ低い水準であることがわかります。

参考:厚生労働省|令和4年度雇用均等基本調査
厚生労働省|女性活躍に関する基礎データ

女性リーダーが日本で少ない理由

女性リーダーが日本で少ない理由として考えられるものを3つ紹介します。 

  • ワークライフバランスの実現が難しい

  • リーダー・管理職になりたい人が少ない

  • ロールモデルになる人が少ない

 

ワークライフバランスの実現が難しい

日本における女性リーダーの数が少ない理由のひとつに、ワークライフバランスの実現の難しさが挙げられます。

出産を機に休職する女性が多いですが、問題は復職後の環境です。

多くの企業では復職後に再びキャリアアップするための支援体制が不十分であり、キャリアの再構築が難しくなっています。 

一方、ワークライフバランスが進んでいるオランダでは、仕事と育児・介護の両立を支援するため、フレキシブルワークなど多様な休暇制度が導入されています。

数年間は労働時間を短縮した後、フルタイムに戻ることも可能であり、出産や育児が落ち着いた女性が職場復帰しやすいのです。

このように、日本は外国と比較しても、女性にとってワークライフバランスを実現しやすい環境とは言い難い状況です。

たとえ女性がキャリアアップしたいと考えていても、キャリアアップの機会を逃してしまい、リーダーとしての地位に到達することが難しくなっています。
 

リーダー・管理職になりたい人が少ない

独立行政法人国立女性教育会館が実施した5年間のパネル調査「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査研究」の調査結果では、管理職を志望する女性の割合は、男性に比べて顕著に少ないことが明らかになりました。

5年目の調査で管理職を志望した割合(目指したい、またはどちらかというと目指したいと回答)は、女性が37.6%であるのに対し、男性は87.9%です。

5年目の調査結果では、管理職を目指さないことを選んだ女性の多くが、「仕事と家庭の両立が困難になるから」という理由を挙げました。

これより、ワークライフバランスの両立が難しいことが原因で、リーダーや管理職を目指さない人が多いことがわかります。

管理職を志向しない理由(複数回答可)

参考:独立行政法人国立女性教育会館|男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査研究
独立行政法人国立女性教育会館|男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査 ~入社5年で何が変わったのか~
 

ロールモデルになる人が少ない

ロールモデルになる女性が少ないことも、日本における女性リーダーの数が少ない理由に挙げられます。

身近にロールモデルとなる女性リーダーがいない場合、自分がリーダーになるイメージを持つことが難しく、女性リーダーを目指す意欲も育ちにくい傾向にあります。

先ほども紹介した5年間のパネル調査「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査研究」の調査結果によると、5年目の調査では、管理職を目指さないことを選んだ女性のうち18.2%が「周りに同性の管理職がいない」ことを理由に挙げ、管理職を志向しないと回答しました。
  

女性リーダーの特徴

リーダーとして活躍している女性に共通する特徴は、以下の通りです。 

  • 主体性を持っている

  • 傾聴力が高い

  • コーチングスキルがある

  • セルフマネジメント能力が高い 

主体性は何をすべきか決まっていない状況で、自分の判断で行動するスキルであり、チームやプロジェクトを率いるうえで不可欠です。リーダーとしての自分の意見を明確にし、決断を下すことで、目標達成への道を切り開きます。

また、目標達成にはメンバーの協力も必要不可欠です。

尊重して相手の話を聴くことで、メンバーから意見を話してもらいやすく、信頼関係を構築できます。そのため、傾聴力も女性リーダーに必要なスキルのひとつです。

その他にも、チームメンバーの能力を開発するコーチングスキルや、自分の感情や行動などを管理するセルフマネジメント能力もリーダーに求められます。

れから女性リーダーを育成したいのであれば、これらの能力を優先して伸ばしましょう。
 

企業が女性リーダーを育成するメリット

人材の育成には手間がかかるものの、育成には多くのメリットがあります。ここでは、企業が女性リーダーを育成するメリットについて解説します。

  • 組織の意識改革

  • 優秀な人材の確保

 

組織の意識改革

女性リーダーを育成すると、他の女性従業員にとって目標となるロールモデルが生まれます。身近にロールモデルとなる女性リーダーがいることで、女性従業員のキャリア意識を高めて、リーダーを目指す動機付けになります。

また、女性従業員が向上心を持って職務に取り組む姿は、男性社員にも刺激を与え、モチベーション向上にも寄与するでしょう。結果として、組織全体の意識改革につながり、組織の持続的な成長や競争力の向上を期待できます。
 

優秀な人材の確保

女性リーダーを積極的に育成していることを社外にアピールすると、「多様性を重視し、社員に平等な機会を提供する組織」としてブランディングできます。

このような企業文化は、優秀な人材にとって魅力的であり、キャリアを積む場として優秀な人材に選ばれやすくなるのです。

労働人口が減少している今、優秀な人材の確保が難しくなっています。そのため、優秀な人材を確保できることは、女性リーダー育成のメリットといえます。
  

女性リーダーを育成するには

「女性リーダーを育成するメリットはわかったけれど、どのように育成すればよいのかわからない」という方もいるでしょう。

ここでは、女性リーダーを育成するためのポイントについて説明します。
 

働きやすい環境を整える

女性リーダーを育成するには、まず女性にとって働きやすい環境を整えることが重要です。そのためには、企業は社内風土や制度の見直しを行う必要があります。

具体的には、業務内容や勤務時間が、育児や介護をしやすいものとなっているか確認します。社内風土や制度の見直しで働きやすい環境を整備できれば、女性従業員のリーダーとしてのキャリアを積む意欲を高められるでしょう。
 

研修を通じて教育する

研修を通じて女性従業員の意識やスキルを高めることは、女性リーダーの育成に役立ちます。そのためには、まず女性リーダーを育成する担当者を選ぶことが必要です。 

担当者は、女性リーダーに求められるスキルや資質について深く理解していなければなりません。担当者が決まれば、担当者はどのような研修内容であれば女性リーダーを育成できるのか検討します。

研修を実施した後は受講者にキャリアプランを作成・共有してもらうことも重要です。また、責任のある業務を担当してもらう、新しいプロジェクトにアサインするなどして、活躍できる場を提供するのも効果があります。
 

フォロー体制を充実させる

女性リーダーを目指す中で、従業員はキャリアに関する悩みを抱えることがあるでしょう。

これらの悩みを解消し、女性リーダーとして活躍できるように、フォロー体制を充実させることも女性リーダーの育成において重要です。

例えば、相談窓口を設置したり、女性リーダーのネットワークを強化したりすることで、従業員が孤立しなくなります。
 

まとめ

女性の社会進出は徐々に進んではいますが、ワークライフバランスの実現の難しさやロールモデルの少なさなどの理由から、日本では女性リーダーがまだまだ少ない状況です。
 
女性リーダーを育成することは多様性を重視した組織作りにつながり、ダイバーシティ推進の足がかりとなります。今の時代、ダイバーシティが重要視されていることもあり、結果として、女性リーダーの育成は企業イメージ向上につながる可能性があります。それ以外でも、女性リーダーを育成するメリットは複数あるため、これを機に女性リーダーの育成を始めてみてはいかがでしょうか。
 
女性リーダーを育成するためには、働きやすい環境を整備することが重要です。また、研修を実施したり、フォロー体制を充実させたりして、女性従業員がキャリアアップを目指せる環境を提供しましょう。
 

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