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【Kinjo Spirit】 金城学院中学校 後藤 英一 教諭

 この記事は、2022年度金城学院報with Dignity vol.41に掲載された記事です。

後藤 英一 教諭
金城学院中学校
担当教科 社会(歴史・地理・公民)
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1987年、名古屋大学文学部史学科西洋史学研究室を修了後、他の私立高校での勤務を経て、2003年、金城学院中学校社会科教員として赴任。
金城学院中学校 演劇部顧問も務める。

そもそも、私たちはなぜ歴史を学ぶのでしょうか。

それは、いま私たちが生きている世界はどのようにしてできたのか、未来に向かって世界はどう動いていくかを考える力を養うため。

過去を学ぶことは、現在と未来の、人と社会のあり方を考えること。奥深い歴史の世界に向き合い、たゆまぬ対話を続けることで、いま、この時代を自分はどう生きるか、その答えが見つかるかもしれません。
 


ひたすら原書・原典に取り組んだ大学時代。

大学では文学部の西洋史学研究室に籍を置き、ドイツ近現代史を専攻しました。

ドイツと同様に、ファシズム・軍国主義の道を辿った近代日本との比較を念頭に、ひたすら原書・原典に取り組み、歴史の論理を自分なりに追究しました。西洋史の研究には、英語、ドイツ語、フランス語はもとより、古典語のギリシャ語やラテン語の習得が不可欠です。

外国語の古書や文献を読み込み、みずからの新しい歴史像を描き出すのは大変ですが、著者と対話しながら読み進めていくうちに、それまで頭の中で描いていた風景ががらっと変わり、過去と現在と未来がつながる瞬間がある。それが歴史研究の醍醐味でもあります。

今でも授業や教材研究を行う際の座右の銘は、「歴史は現在と過去の対話である」(E.H. カー) 「全ての歴史は現代史である」(クローチェ)であり、いずれも大学時代に出会った著名な歴史家の言葉です。
 

常に現在を生きる自分に引き寄せて歴史を考える。

歴史は覚えるものではなく、考えるもの。
常に自分が生きている現在の問題意識を持って歴史に向き合うこと。
そして、歴史の流れや因果関連を捉え、現在、そして未来へのつながりの中で考えること。
生徒にはこうしたことを日々の授業の中で繰り返し伝えています。

たとえば、withコロナのいま意識しているのが、スペインかぜ。
約100年前、全世界で猛威をふるったインフルエンザのパンデミックで、数字は諸説ありますが、世界で約5,000万人、日本でも約40万人が亡くなったといわれています。このスペインかぜを学ぶことで導き出される教訓があります。そのひとつが、感染症の拡大を防ぐためには、人の移動や密集をある程度減らさなければならないこと。

スペインかぜが発生した1918年は第一次世界大戦のさなかで、国境をこえた大規模な兵士や労働者の移動があり、感染の拡大に拍車をかけました。

さらに、当時の人たちの感染症対策とその結果を検証することで、今後も起こるであろう感染症に対する対策が講じられます。

また、生徒たちの関心のある問題として、たとえばジェンダーの視点で歴史を振り返ると、男女間のさまざまな社会的格差、女性の地位や役割の変化、女性に対する束縛や抑圧、それに対する女性たちの戦いの歴史が見えてきます。これは今を生きる自分たちの問題でもあり、将来の進路や生き方を考えることにもつながっていきます。
 

勉強が「できる」より「好きな」生徒を育てたい。

中学3年生の社会科の公民では 政治経済の仕組みを学びます。

しかし教科書に書いてあるのはごく一般的なことで、実際の社会で起きている生々しい現実とは時間的にも内容的にもズレがあります。
その橋渡しとして、新聞は効果的な学習教材であり、「第二の教科書」と位置づけています。たとえば、裁判員裁判を扱う授業をすると、生徒たちは自分も将来、人を裁く立場になるかもしれないと中学生なりに意識します。そこで新聞を活用します。
死刑場が初めて公開された時、裁判員が初の死刑判決を出した時、少年に死刑判決を出した時、死刑の求刑に無罪判決を出した時の4つの記事を提示するだけでも、生徒たちは強い関心を示し、裁判員たちが苦渋の選択で判決を出したことを読み取ります。

教師の仕事に就いて36年。その間、ずっと変わらぬ思いは、「中学を卒業する時には、歴史も含めて、勉強ができるよりも、勉強が好きな生徒になって高校へ進学してほしい」ということ。

好きであることが学びに向かう最大のモチベーションであり、 これからの自分の生き方にも関わってくると思うからです。勉強が好きな生徒をどれだけ育てられるか。これは教師の大事な役割のひとつであり、永遠のテーマでもあります。
 

【教えて先生!My Favorite】

趣味は乗り鉄。JRはほぼ全線乗車しました。仕事の合間を縫っては青春18きっぷを使って全国各地のローカル線巡りをしています。旅先で撮った写真やお土産品は地理の授業の実物教材として活用し、なかなか好評です。

日本最南端の駅、JR指宿枕崎線の西大山駅(鹿児島県)のホームにて。

無人駅ですが、秘境駅・絶景駅として知られています。
 

後藤英一先生の活動アルバム

中学3年生の公民の授業では毎年「模擬裁判」を行っています。

公民の授業で、生徒たちに「私が考える夢の日本国憲法前文」と題して理想の憲法前文を書かせたところ、それが1冊の本になり出版されました。その中の一つに曲がつき、CD にもなりました。

演劇部の顧問をしています。私自身は演劇は全くの素人です。(2023年2月の公演に出演した中学3年生/現高校1年生と)

Q. 後藤 英一先生ってどんな人?

後藤先生のおかげで社会科が大好きに!

3人とも演劇部ですが、コロナ禍で活動ができず、中3の恵愛祭でやっと舞台に立てました。観客の皆さんから盛大な拍手をもらった時は感動しました。ずっと支えてくれた後藤先生に感謝です。授業でも「歴史は覚えるものではなく、考えるもの」ということを身を以て教えてくれた先生。社会の見方、歴史の見方が変わりました。

後藤先生に出会えてよかった!

演劇部の活動ではつまずいたり悩んだりしますが、先生はいつも親身になって話を聞いてくれます。地理や歴史の授業でも、地域の暮らしや風景、人々の思いなどを交えて話をしてくれるので、学んだことが情景として記憶に残る。知識が点と点ではなく、つながっていく面白さもあり、毎回授業が楽しみです。
 


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