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エモい、懐かしい、なんかスキ。「レトロ」の魅力ってなんだろう

今、10代の女の子達が注目しているトレンド、それは「レトロ」!昭和や平成の歌やファッション、流行ったあのグッズなど、懐かしいアレコレに胸キュンしている女子も多いのでは。
だけどレトロな時代を生きてきた世代からすると、当時とはちょっと違う形で流行っているみたい?

そこで今回は、国際情報学部 国際情報学科の都築徹教授と、都築ゼミに所属する大学3年生の中嶋綾子さん、窪田帆香さんに協力いただき、昭和生まれ×平成生まれによる「レトロ座談会」を開催!
すると…なんでレトロが好き?という話から発展して、「好き」を軸にした広告づくりや「好き」を仕事にする良さなど、興味深い話もたくさん聞けました!

(中央)国際情報学部 国際情報学科 都築徹教授
(右)国際情報学部 国際情報学科 3年生 中嶋綾子さん
(左)国際情報学部 国際情報学科 3年生 窪田帆香さん

みんなが夢中・・・レトロなモノ談義!

☆思わず気になっちゃう!懐かしのあの名曲、あのグルメ…

記者:今回はよろしくお願いします!早速ですが、今若い子達の間でレトロが人気ということですが、中嶋さんと窪田さんにとって、レトロだと感じるものはありますか?
 
中嶋:私は昭和のアイドルソングが好きで、とくに山口百恵さんの「プレイバック Part 2」はよく聴いています!昔のアイドルだけど、顔もかわいいし歌声もクールで素敵だな、と感じちゃう。
 
窪田:懐メロいいよね~。私は昭和アイドルだと中森明菜さんや松田聖子さんが好きです!
 
都築:昭和70年・80年代のアイドル、懐かしいですね~。私もよく聴いていましたよ。
 
窪田:カラオケでもよく歌いますね。友達も知っていたら、一緒に歌って盛り上がったりするかな。
 
記者:音楽は時代を超えるんですね!飲食系ではどうでしょう?レトロに感じるモノはありますか?
 
中嶋:飲食系だと、クリームソーダはレトロっぽいなと思って、喫茶店でよく注文しますね。
 
記者:同じ飲み物でもオレンジジュースは違うんですか?
 
中嶋:ぜんぜん違いますよ!レトロな喫茶店に行った時、クリームソーダを頼むとよりレトロっぽさが増すように感じていて。色も緑色でかわいいから、ついオーダーしちゃいます。
 
都築:レモンスカッシュはどう?私達の世代だと「レスカ」と呼んでよく飲んでいたけれど。
 
窪田・中嶋:(同時に)ええっ!ぜんぜん知らなかったです!
 
都築:本当?当時の喫茶店では看板商品といえるくらい人気でしたよ。家ではなかなか飲めないし、みんな注文していましたね。そんな中で、現代にクリームソーダが残ったのはびっくりです。
 
記者:クリームソーダの派手な緑色が写真に映えるから人気なのかもしれませんね。

☆プリクラやプロフィール帳は平成生まれにドンピシャ!

記者:「平成レトロ」と呼ばれるジャンルも注目されていると聞きました。例えばルーズソックス、ガラケー、プリクラが人気だとか?
 
中嶋:プリクラで写真はよく撮りますよ!でもレトロとは少し違うかも。カメラアプリと違ってすごく”盛れる”ので、周りにも愛用している子はたくさんいますね。盛れた写真はスマホに送って、SNSのプロフィール画像に使ったりします。
 
窪田:でも小学生だった頃とは楽しみ方が変化しているかも。あの頃は、その後の落書きのほうが楽しみで…。日付を入れたり、「○○わず」「4649」のような造語を描いたりしていました。
 
記者:プリクラが出始めた時に学生だった私達との世代とも違いますね。当時は、撮ったプリクラを「プリクラ帳」に入れて保存していました。友達と写真の交換をして、枚数が多いほどすごい!みたいな謎の概念がありましたね。
 
中嶋:そうだったんですね!私達が小学生の頃も「プリクラ帳」はありましたが、単にアルバムのように保存する目的だったと思います…。使い方の違いにびっくりですね。
 
都築:二人が小学生だった頃と今では流行も変わっているということだよね。小学生の頃にほかに流行っていたものはあるの?
 
窪田「プロフィール帳」はみんな持っていました!好きなものや今ハマっているものなどを友達に書いてもらってファイリングするんです。住所や電話番号を記入する欄なんかもありましたね。
 
中嶋:現代の感覚だと、個人情報が出回ってしまうことに少し心配になりますよね(笑)。最初のページは必ず自分のプロフィール用紙だったり、一度書いてもらった友達でも年齢が上がるたびに書いてもらったりなど、当時の暗黙のルールも今思うと面白いですね。
 
記者:今はプロフィールを聞くことはあまりないですよね。たった10年でもスタンダードって結構変わるんですね。

☆みんな一度は見たことある…?「アデリアレトロ」の世界

窪田:私が一番ハマっているのは「アデリアレトロ」です。

記者:アデリアレトロ、恥ずかしながら初めて耳にしました。都築先生はご存知ですか?
 
都築:いや、私も初めて聞きました。
 
窪田:アデリアレトロは、昭和の家庭でよく使われていた花や動物モチーフの食器を現代風にリメイクしたものです。レトロなデザインがかわいくて、今だとポーチやシールとして販売されていたりするんですよ。(都築先生と記者に写真を見せる)
 
都築:(写真を見ながら)これか!確かにこういった柄の食器やポットが実家に置いてありましたね、懐かしいなぁ。でも、どんなきっかけで興味を持ったの?
 
窪田:おばあちゃんの家で見つけたのがきっかけです。小さい頃にすごくかわいいなと思って、お皿やコップをもらって使ったりしていました。
 
都築:これはすごいレトロだね。また好きになったのはブームが起きている最近?
 
窪田:雑貨屋さんなどで見かけて、懐かしさとかわいさを改めて感じちゃって。気になってアデリアレトロを調べたらハマってしまいましたね。もしかしたらおばあちゃんとの懐かしい記憶も好きになった理由の一つなのかも。

流行は繰り返す!「レトロ」がZ世代に人気なワケ

☆みんながレトロを好きになるきっかけは?

記者:そもそも、皆さんはどんなところで昭和や平成のモノについて知ったのですか?
 
中嶋:テレビの懐かしいモノ特集だったり、お父さんやお母さんが好きだったから知ったものが多いです。
 
窪田:私も歌やドラマ、雑貨など、両親が好きだったモノに影響を受けて好きになったんだと思います。
 
都築親からの影響が大きいんだ。一緒にいる時間が多いからこそ知る機会も増えるのかもしれませんね。
 
記者:なるほど!では、今だとどんなところからレトロの情報を入手するのでしょう?
 
中嶋:SNSがほとんどですね。インスタグラムやTikTokで気になるモノを見つけて、インターネットで調べてみたりしています。SNSでは自分の知らなかった情報に出合うことが多いかな。
 
窪田:私はSNSで自分の気になる情報を発信しているアカウントをフォローして、情報を入手しています。
 
記者:やはりSNSがメインなんですね!昭和や平成だと雑誌や新聞などのマスメディアが情報の主流だったので、時代の変化に驚きです。
 
都築:現代は気になったことはすぐにインターネットで調べることが当たり前の時代ですよね。情報の集め方がSNS中心に変わったことで、トレンドの広がり方にも変化が出てきていますよ。
 
中嶋:そうなんですか!?一体どんな違いがあるのですか?
 
都築:昔はテレビやラジオ、新聞など家族みんなが同じものを見たり聞いたりするのが当たり前だったので、流行りモノは子どもからお年寄りまで共通の感覚を持っているのが普通でした。
人気が高い人に対し「国民的○○」という表現を使っていたのも、こうした背景があっての言葉といえるでしょう。
 
記者:今だとよほどのニュースにならない限りは「国民的有名人」になるのは難しいということでしょうか。
 
都築:なかなか難しいかもしれません。現代はインターネットが気軽に使えるようになり、自分の興味のあることだけを調べられる環境が整っています。そのため、世代を超えると流行りの人やモノが違うという状態になっているのです。
 
中嶋:確かに、大学に入って一人暮らしを始めてから、テレビはほとんど見なくなりましたね。それよりもスマホを見る時間のほうが圧倒的に多いです。
 
記者:テレビを見ることは、もはや当たり前じゃなくなってきているんですね。スマホ以外から情報収集をすることはあるのでしょうか?
 
窪田:私はカーラジオを聴くことが多いです。車の中だとスマホが使いづらいため、耳だけで楽しめるラジオがちょうどいいなと思います。
 
都築:ラジオを聴いているんだ!私も昔、スキーに行く時なんかは車の中に娯楽がなかったので、ずっと聴いていましたね。
 
記者:世代が違っても共通点が!もしかしたら、テレビよりラジオのほうが今後もずっと生き残っていくのかもしれませんね。

☆私達がレトロに魅力を感じるのはなんで?

記者:お二人はレトロのどんな部分に魅力を感じますか?
 
窪田:やはりどこか懐かしさを感じて心惹かれる部分が大きいかな?
 
記者:なるほど!ですが、そもそも知らない時代にもかかわらず、懐かしいという感情はどうして芽生えるのでしょう?
 
都築:やはり、親からの影響が強いと感じますね。知らないのになぜか懐かしいという感覚には「集合的記憶」と呼ばれる現象が関係しています。
両親の話やテレビの映像で「懐かしいモノ」として発信されると、子どもの中に「これは懐かしいモノ」という認識が芽生えます。懐かしいモノのすり込みが何度も行われることで、自分の世代ではないモノにも懐かしいと愛着を感じるようになるといえるでしょう。
 
記者:そのように考えると、やはり両親の影響というのは大きいのかもしれませんね。

ブームに乗る?乗らない?「好き」を人生の味方に

☆ブームとの付き合い方はどうすればいいの?

記者:レトロブームはどの時代にも定期的に起きていると思いますが、そういったブームを活用した広告や商品なども多いのでしょうか?
 
都築:ブームを狙って作る広告や商品も、もちろん多いです。でも私の専門分野であるメディアにおいては、ブームに左右されない企画を考えることが一番大事だと思いますね。
 
窪田:ええっ!?ブームに乗らない方がいいんですか?
 
都築:結果的に流行りに乗っかったような場合はいいですが、流行りを狙って広告を作るのはあまりおすすめしませんね。
 
中嶋:ブームの波に乗って広告を作れば多くの人に見てもらえるのではないのですか?
 
都築: ブームになって人がすでに魅力があると感じているものは、広告を制作した際に世間の感覚とポイントがズレていると、注目度が下がってしまうのです。
 
窪田:「思っているのと違う」という認識を与えてしまう恐れがあるということなんですね…。
 
都築:でも、本当にレトロが好き!という強い思いがあれば、人の心に伝わる広告が作れると思いますよ。逆に言えば、自分が本当にいいと思った企画でないと、どんな広告でも世の中に通用しないと考えています。
 
中嶋:それは一体なぜですか?
 
都築:自分が心から面白いと思っていないと、その気持ちが広告に表れてしまいます。それらしく整えても意味がないんです。
自分達なりの考えを示して、伝えたい思いをもって作成していけば、自然と多くの人の心に刺さる広告になるでしょう。

☆仕事も生活も、好きという気持ちが大切!

記者: 学生の皆さんにとって広告を作る楽しさは一体どういうところですか?
 
中嶋:自分の考えていることが形になる点が一番楽しいです!
 
窪田:私は学んでいく中で、世間の人が気になっていることに自分の気持ちを乗せて伝える楽しさを感じるようになりました。
 
記者:やっぱり「好き」という気持ちは、広告において大切な部分になるんですね。
 
都築:広告だけでなく、どんな仕事や物事でも「好き」をキーワードにするのは大切だと思いますよ。
好きという気持ちは、自分を前向きに動かす起因になりますし、魅力が分かるからこそアイデアをどんどん足していくことができます。
 
記者:「好き」を仕事に!確かに、働く上で好循環となりそうですね。
 
都築:ただ気をつけなければいけないのは、「好き」にこだわりすぎると視野が狭くなってしまいがちだということ。実は苦手だと思っていたものの中にも、やってみたら好きだと分かったり、意外と得意だったりすることが眠っている場合も大いにあり得るのです。
例えば私だと、昔は商品のネーミングを考えるのが苦手だと感じていて。でもやってみたら、意外に好きだったことに気づけました。
 
中嶋:なんでもまずはやってみることが大切なんですね!
 
都築:最初から無理だと決めつけず、好きになれる可能性を探ったり、一度挑戦してみたりするといいです。経験することで、自分の「好き」の幅もどんどん広がっていきます。
 
窪田:苦手も「好き」へと変わる可能性があるんですね。
 
都築:好きなことを仕事やこれからの人生で発揮していける方法を見つけられるといいですね。メディアの分野では、自分の好きという思いが誰かの「好き」のきっかけになるような仕事ができます。トレンドに敏感な人はそれだけ好きなことが多いと言えるので、学んでみると面白いかもしれませんよ。

取材日:2022年11月28日
編集者:鈴木
記者:広瀬
カメラマン:高木

☆国際情報学部 国際情報学科

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