気持ちを入れ替えてスタートした新年、思った通りに進んでいますか？
うまくいかないときや壁にぶつかったとき、そのまま進むか方向転換するか、悩むことがありますよね。

思い切った選択をし、さまざまな葛藤を超えて進む映画のヒロインの姿に、自分を投影してみませんか。

■『ぬけろ、メビウス！！』

　24歳から大学を目指す!? 遅咲き青春映画

建築会社の契約社員として働く24歳の優子は、通称〝5年ルール〟によって雇い止めを宣告されてしまいます。
それをきっかけに、かつてあきらめた教員になる夢を叶えようと、母親の反対を押し切って大学進学に向かって走りだしますが－。

「敷かれたレールを歩いている途中で、そこから降りることの難しさ」をテーマにした遅咲き青春映画です。

作品を上映するシネマスコーレの坪井さんに見どころを伺いました。
 
―　主人公は契約社員として働いていたのに、解雇されてしまう？

坪井：そうなんですよね。彼女は契約社員として働いて、やがて正社員になろうと思っていた。でも、通称〝5年ルール〟で雇い止めになる。気の毒な状況ではありますが、短大は卒業しているし、彼氏もいる。職場に親友もいて、そこまでどん底という状況ではない気もします。

 
―　大学を目指すという選択をした女性が明るく奮闘する展開ですか？

坪井：彼女は短大卒という経歴にコンプレックスを抱いています。そこには、実は4年制大学に行きたかったんだ、でも進学の時にお母さんが…というわだかまりも潜んでいます。だから、今度こそ自分で決めて大学を目指す！と決意します。でも、そこから頑張って順調に進むのかというとそうでもない。単純な展開ではなくて意外とシビア。そこが面白いところかなと思います。
 

　裏か表か？メビウスの輪のように変わる見え方

―　予告編ではお母さんと言い争うシーンもありますね。

坪井：仕事がなくなる彼女に対して、お母さんはじゃあ彼氏と結婚したら？と言って、結婚式場まで勝手に決めたりする。最初はすごくおせっかいな人に見えて、彼女が反抗するのも仕方ないと思えますが、映画が進むうちにだんだん見え方が変わってきます。あれ、本当は彼女の方が自分勝手でよくないんじゃないかな？って。
 
―　そう思わせる展開なんですね。

坪井：親友や彼氏とももめごとになって、もしかしたらうまくいかない状況を招いているのは、彼女自身なのでは…と、私には見えてきました。親友も主人公と同じ短大卒ですが、そこに劣等感を感じていません。資格を取って正社員を目指そうとしています。ですが、主人公は「短大卒だからこんなところで…」なんて言い方をしてしまう。周りのせいにしているだけなのかも、と思ったりもしますね。
 
―　タイトルの〝メビウス〟は、メビウスの輪から来ていますよね。どちらが表とも裏ともいえない、その状況が繰り返されるという意味が込められているのでしょうか？

坪井：うーん、そうかもしれないですね。監督にお会いしたら聞いてみたいです。映画の中にも、メビウスの輪を作って真ん中で切ってみてと言われて、主人公が作るシーンがあります。それがどんな形になるかが映画のテーマとつながるのかなと私は感じました。
　

　「人生なめてて、すみません。」

―　主人公と近い年齢の人は共感しそうですか？

坪井：年齢や置かれている環境が近い人には、刺さる部分が多いでしょうね。ただ、どう受け取るかは価値観やこれまでの人生経験などによって違ってくると思います。彼女は幸せなのか、これはハッピーエンドなのか？見る人によって意見が分かれそうで、〝人生リトマス試験紙〟といえる作品かもしれません。
 
―　人生はそんなに簡単にいかないよということでしょうか？

坪井：作品のキャッチコピー「人生なめてて、すみません。」がしっくりきますね（笑）。ラストも結構驚きますし、さらにその後にワンカットありますので、最後まで見てもらいたい。監督に試されているような気がしますね。坂ノ上茜さんという今後楽しみな女優さんが、単なる等身大の女性でなく演技力が求められる役をいきいきと演じていますので、そこにも注目してくださいね。
 

『ぬけろ、メビウス！！』の予告編はこちら

シネマスコーレ　劇場情報

映画監督の若松孝二氏が1983年に立ち上げた、名古屋駅西口にあるミニシアター。2023年2月19日に開館40周年を迎える。アジア映画、日本映画、インディーズ作品などを中心とした多彩なプログラムに加えて、作品を盛り上げるイベントにも力を入れている。

【News】　金城学院大学公式Twitter始めました！！

主に公式サイト＆公式SNSでお知らせした情報を発信しています。
フォローとリツイート、いいねよろしくお願い致します！