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コミュニケーションのモヤモヤ解消!みんなと私のグッドな関係

友だちや親、そして大好きなはずの恋人とささいなやりとりでギクシャクしてしまった…。そんなモヤモヤを抱えたことはありませんか?「もっとうまく話したいのに…」「親とぶつかってばかり…」。そんなお悩みを解決するため、心理学のスペシャリストである人間科学部 多元心理学科の加藤大樹教授と二村彩准教授が登場!ちょっと難しそうな心理学だけど、実はとても身近な存在なんです。この記事を読めば、コミュニケーションのコツをつかめること間違いなし!


人間科学部 多元心理学科の二村彩准教授(左)と加藤大樹教授(右)

コミュニケーションのカギは「聞いて」「想像」することにあり!

☆人が発信したことをどう受け止めるかが大切

記者:今回はよろしくお願いします。実は私、自分から話すことや、SNSの投稿が苦手で…。みんなのやりとりに取り残されてしまっているような気がするんです。SNSを使いこなす人が多くなった今、中高生たちが取っているコミュニケーションについて、心理学のプロであるお2人はどう感じていますか?やっぱり、友だちづくりのためにはSNSの使い方が上手じゃないとやっていけないんでしょうか…。

加藤:今はTwitterやInstagramを使った発信や、セルフプロデュースが上手な人が多いですよね。でも、うまく発信することが得意でなくても自信をなくさないでほしいです。コミュニケーションでは“伝える”ことも大切ですが、それはほんの一部。私たちは、人が発信したことを“どう受け止めるか”も大事だと思っています。

二村:例えば、新学期になると「友だちを作らなきゃ」「うまく話せるかな」と緊張感を持つ人もいると思います。でも、いい関係を作るには「話し上手」になるよりも「聞き上手」になってみるのもおすすめです。「自分の話をすごく聞いてくれる子」って、なんだか好印象だと思いませんか?

加藤:自分の話を聞いてもらえるとみんな嬉しいもの。僕も、授業で学生たちが楽しく聞いてくれると、やっぱり嬉しいです。それに、今度は「自分もそういうふうに聞いてみよう」と思いながら聞く側に立てる。お互いの反応から気づきを得ることが大切なんです。

記者:なるほど。でも、聞き上手になるのって、ちょっと難しそう…。

二村:聞き上手な人は、聞いている内容について想像してから返事や相づちをしています。だから、発信が苦手だと感じていても、相手についてちゃんと想像することができれば大丈夫ですよ。

☆誰からも好かれる「聞き上手」になるコツ、教えちゃいます

記者:相手の話している内容について想像して寄り添うことが、聞き上手になるために大切なんですね。それなら、話すことが苦手な私にもできそうかも。
 
加藤:聞き上手になるために必要な想像力を、心理学では「共感」という言葉で表すことがあります。心理学における共感は、相手と同じように感じることだけではなく「今、この人はこういうふうに思っているんだな」と想像して理解することを指しています。
 
仮に、あなたと友人が同じ映画を見に行った際に、2人の感想が異なるものだったとしましょう。その時、「この人はこの映画にこういう感想を抱いたんだ」と丁寧に受け止めることが大事です。これが、心理学で言う共感なんです。そして、相手にちゃんと共感できる力が、コミュニケーションを円滑にしてくれます
 
記者:SNSのフォロワー数やいいねの数、再生数=共感だと思い込んでしまっていたかも…。話をしっかり聞いて、相手のことを想像するのがコミュニケーションの基本なんですね。

ケンカしたくないのに…思春期に親とギクシャクしてしまうのはなぜ?

☆親の顔を見てムカッ!思春期のなぜ?に答えます

記者:聞く力がとても大切なのはよく分かりました。でも、話をしっかり聞くって簡単なようでなかなかできない時もあって…。特に親と話している時に理由もなく「イラッ」としてしまうことがあるんです。どうしたらいいんでしょうか?

加藤思春期のイライラは自分のアイデンティティが定まらないことが原因なのかもしれないですね。

記者:アイデンティティってよく聞くけど、どんな意味なのかいまひとつ理解できていません…。

加藤:「自分らしさ」や「自分とは何か」「自分は何をしたいのか」ということを心理学では「アイデンティティ」と呼んでいます。中高生ぐらいが一番アイデンティティと向き合う時期と言われています。

中高生になると、だんだんと進路のことを考えなくてはいけなくなったり、自分の個性について悩んだりすることが増え始めますよね。その中で自分のアイデンティティと向き合わざるを得なくなるので、葛藤が生まれやすくなり、思春期に入っていくと言われています。

記者:なるほど。私みたいに中学、高校で思春期になる人が多い理由が分かった気がします!でも、どうして親との関係がうまくいかなくなってしまうんですか?

加藤思春期に親に反発してしまう人が多いのは事実です。親は子どもにとって自分に影響を与え続けている存在で、似ているところがたくさんある。だから、自分の鏡を見ているような気持ちになってしまって、イライラしたり反発してしまうんだと思います。

二村:思春期の子どもにとっては親との距離や話し方の折り合いのつけどころを探っている時期でもあるのではないでしょうか。自分のアイデンティティを理解して思春期が終わると、同じ状況でも言動や行動、考え方が変わってくるもの。そうして成長・成熟していくことで、自然と反抗期も収まっていきます。

☆思春期も成熟に必要な過程なんです

記者:悩んでばかりの思春期にも、ちゃんと意味があったなんて!ということは、人間の成長には思春期以外にもいろんな段階があるんですか?
 
二村:以前は「人間が成長するのは児童期から青年期まで」と言われていたこともあったのですが、今は「人間は生まれてから死ぬまでの長いスパンで発達・成長していく」という考え方に変わってきています。そして、この成長を学んでいくのが発達心理学なんです。
 
例えば、同じ推理アニメを見ていたとしても、見ている人の年齢によって感じ方に違いがありますよね。小学校低学年だと「キャラクターがかわいいから好き」。でも、高学年になってくるとその時画面に映っていない伏線にも気がつくようになります。これが発達の1つです。
 
記者:確かに…。同じ本でも、子どものころと今では読んだ感想が全然違うことがあります。不思議な感覚だなと思っていましたが、これも発達心理学で説明ができちゃうんですね!

心理学はアナタの日常にとって身近な存在なんです

☆「におわせ行動」「あざとさ」も研究対象になる

記者:心理学にちょっとずつ興味が出てきました!だけど、心理学を学ぶのって、やっぱり難しいんですか?正直、イメージが湧きません…。

二村:確かに、中学・高校時代に心理学の授業は採用されていないので、心理学に対するイメージが湧きにくいのも仕方ないことかもしれません。でも、身近なテーマはとても多いんですよ。最近は「キャラ」という中高生の皆さんにもなじみのあるテーマで研究している学生もいましたよ。

記者:私も「キャラ」という言葉は使います!「学校では明るいキャラでいこう」とか、「バイト先ではおとなしめなキャラでいこう」とか…。

加藤:それは、その場に合わせて自分でなりたい「キャラ」を目指していくということですか?心理学ではその人が持つブレない本質のようなものを「パーソナリティ」と呼びますが、僕はキャラとパーソナリティは少し別のものなのかなと感じています。自身のアイデンティティやパーソナリティと関係ない「キャラ」を作る人もいますし…。

二村:他人に見られるものを前提として作るのが「キャラ」なのかもしれませんね。こんなふうに、心理学は身近なところに研究材料があるものなんです。

加藤:学生たちが取り組もうとするテーマは、今まで心理学的に研究されてなかったようなことも多いのですが、それが意外に面白いんです。最近だと、「におわせ行動」「あざとさ」とか。学生の若い感覚だからこそ気づくいいテーマもたくさんありますし、やってみたら大事なことだったりもする。心理学は本当に面白いですよ。

記者:勉強すればするほど、相手のことも自分のことも理解できそうですね。苦手なコミュニケーションにも自信が持てるかも!

☆いろんな人と関わって、自分を知ることが“オトナ”なコミュニケーションへの第一歩!?

記者:「聞き手になること」「共感すること」…。今日はコミュニケーションに大切なことをたくさん教えてもらいました。最後に、相手に気持ちよく話してもらうための究極のコツを教えてもらえませんか?
 
加藤:相手が大事な話をしようとしているときは、こちらも「真剣な気持ちで聞こう」とか、相手が緊張していたら「リラックスした感じで聞いてみよう」とか、聞き手の側になる自分の姿勢を意識してみてください。聞き手の対応で話し手の意識も変わります。それって、コミュニケーションが相互作用でできているからだと思うんです。なので、聞く姿勢を相手に合わせることは大切です。
 
あとは、うなずいたり、相づちを打つことも大事です。カウンセリングを専門にしていて、人の話を聞く機会が多い僕でさえ、気をつけていても知らず知らずのうちに自分の聞き方の傾向が出て、同じパターンの相づちを繰り返してしまうこともあって…。でも、そういう自分の傾向をちゃんと理解した上で、人の話に寄り添えるかどうかが、会話がうまくいくコツなのかなと思います。
 
記者:ええっ!先生にもクセがあるんですね。でも、会話をしているときの自分のクセに気づくのは難しそう…。
 
加藤:人とたくさん関わることで、だんだん見えてくると思います。いろんな人と話しているうちに、自分自身のことにも気づくことができるんです。
 
二村:自分のクセに気づくためには、自分を客観的かつ俯瞰的に見る必要がありますが、そのことが長所・短所を発見することにつながります。中高生の皆さんも、コミュニケーションの取り方を少し見直すだけで、今よりもぐっと大人に近づくかもしれませんね。

☆心理学とは、「相手を知ろうとする・理解しようとすること」

加藤:多元心理学科の新入生には、「相手を知ろうとする・理解しようとすることが心理学だよ」とよく話すようにしています。もし、こころのことが全て分かってしまったら、心理学を学ぶ意味もなくなってしまいますよね。分からないからこそ、「どうやったら分かるのか」を考え続けるのがこの学問の面白いところなんです。
 
二村:社会に出た卒業生たちが「この学科で当たり前に身についていた考え方とか感じ方が貴重だったことに気づいた」と話してくれることが多いですね。中高生の皆さんにも身近な学問なので、ぜひ、興味を持ってもらいたいです。

取材日:2023年3月6日
編集者:鈴木
記者:広瀬
カメラマン:高木

☆人間科学部 多元心理学科

☆金城学院大学公式サイト


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