塩分を取り過ぎたときの対処法|塩分を排出する食べ物や飲み物を紹介
塩分は人間の身体にとって必要不可欠な成分ですが、塩分の摂りすぎは健康に悪影響を与えます。世界的にも人は塩分を摂りすぎている傾向があり、塩分過剰摂取への意識的な取り組みが大切です。
この記事では、日本人が推奨される塩分の摂取量の目安や、塩分を摂りすぎてしまった時の対策、減塩するための工夫などを紹介します。
■ 1日に摂取してもよい塩分の量
塩分の摂りすぎは、高血圧のリスクを高め、脳血管疾患・心疾患、腎臓病といった病気の原因になります。
日本の高血圧性疾患の患者数は1,000万人、世界では毎年推定189万人のひとが塩分過剰摂取に関連した病気によって命を落としています。
塩分の過剰摂取への対策は健康を保つうえで大きな役割があるといるでしょう。
厚生労働省が推奨する1日あたりの食塩摂取量目安は、
成人男性が7.5g未満、成人女性が6.5g未満です。
また、高血圧学会では6.0g未満、WHO(世界保健機関)では5.0g未満が推奨されています。
世界的に、日本食はヘルシーだといわれているからと安心してはいけません。実は日本を代表する出汁や味噌などの調味料には塩分が多く含まれています。
令和元年の厚生労働省によれば、日本人男性10.9g/日、女性9.3g/日の塩分を摂取しています。これは推奨目安を大きく上回っており、日本人すべての人が他人事ではないことがわかるでしょう。
このような背景もあり、食塩摂取基準は改定の度に引き下げられています。2010年時点での食塩摂取目安は、男性9g未満、女性7.5g未満でした。
少しずつ無理のない範囲で塩分摂取目安量を引き下げていますが、国民の減塩への意識がまだ十分とはいえないことがわかります。
参考:消費者庁|「減塩社会への道」
厚生労働省|「日本人の食事摂取基準」
厚生労働省令和元年|「国民健康・栄養調査」
WHO|「Sodium reduction」
■ 塩分をとりすぎた時の対処法
意識して生活していても、毎日完璧に推奨値以内で抑えられない日もあるでしょう。会社の接待などで外食すれば、簡単に基準値を超えてしまいます。翌日の喉の渇きや体のむくみ具合で気が付く場合もあるかもしれません。
そのようなときには、以下のことを意識するといいでしょう。
【塩分を摂りすぎた時の対処法】
カリウムを摂取する
こまめに水を飲む
コーヒーを飲む
運動や入浴で汗をかく
カルシウムを摂取する
カリウムを摂取する
カリウムは、主に野菜や果物に多く含まれる成分です。
カリウムには利尿作用があるため、尿と一緒にカリウムと同量のナトリウム(塩分)を体外に排出する働きがあります。また高血圧の人には、血管を拡張させて血圧を下げる効果があることも証明されており、積極的に摂取するといいでしょう。
ただし、腎臓機能に障害がある場合は、カリウムを排出できない可能性があるため、主治医に相談するようにしてください。
【カリウムが多く含まれる食材】
ほうれん草
にんじん
バナナ
芋類
大豆
昆布
ひじき
カリウムは水溶性であるため、茹でると7割近くもカリウムが失われるともいわれます。効率よくカリウムを吸収するためには、調理方法に注意が必要です。
【おすすめの調理法】
丸ごと茹でる
焼く
蒸す
レンジで加熱する
茹でる際も、皮を剥かず丸ごと茹でれば、カリウムが溶け出すことを防止できるでしょう。
参考:厚生労働省|「e-ヘルスネット」
こまめに水を飲む
味の濃い食事をするとのどが渇くことがあります。これは、摂り過ぎた塩分により体内の塩分濃度が高くなり、塩分濃度を再調整するために身体が大量の水を必要とするからです。
摂取した塩分は尿として体外に出されますが、水を飲むことで排尿を促進することができます。
ただし、多量の水を一気に飲むと余分な水により身体がむくんだり、体内にあるナトリウムの濃度が低下して「低ナトリウム血症」を引き起こしたりする恐れがあります。そのため、水は少しずつ回数を分けて摂取することがポイントです。
コーヒーを飲む
コーヒーに含まれるカフェインには利尿作用があり、摂り過ぎた塩分を尿として排出する助けになります。
また、コーヒーに含まれるポリフェノールには抗酸化作用があり、がんや生活習慣病を予防する効果も期待できます。
ただし、コーヒーを過剰に摂取すると利尿作用が強くなりすぎて頻尿や脱水状態をひきおこす可能性があり、注意が必要です。また、カフェインの作用により眠れなくなるともいわれており、コーヒーの飲みすぎには注意が必要です。
1日当たりのコーヒー摂取量の目安は、
健康な成人で400㎎(マグカップ3杯分まで)とされています。
コーヒーの摂取量の目安を上回らないように注意しましょう。
運動や入浴で汗をかく
塩分を摂り過ぎた時にはじんわり汗をかく程度に運動や入浴をすることがオススメです。ゆっくりと汗をかくことで、体内の塩分を排出することができます。
ただし、一気に大量の汗をかくと体内のナトリウムが過剰に失われ、「低ナトリウム血症」の状態になるおそれがあるので、適度に行うことが大切です。
例えば、運動は他の人と会話をする余裕があるレベルのウォーキングやランニング、筋肉トレーニングがおすすめです。
運動習慣がない方はお風呂にゆっくり入って汗を流すようにするといいでしょう。
また、汗をたくさんかくためには半身浴よりも全身浴がいいとされていますが、心臓への負担なども考えると半身浴が安全です。半身浴は40度くらいのぬるめのお湯に10分ほど入浴すれば十分だといわれています。
カルシウムを摂取する
カルシウムといえば骨を育てるイメージが強く、塩分の関係はあまり聞きなれないかもしれません。
塩分をとりすぎるとカルシウムが体外へ排出されてしまうため、骨からカルシウムを補填する仕組みになっています。
カルシウムが不足すると、骨から補填されることで逆に血中のカルシウム濃度が濃くなり、血管系疾患のリスクを高めるとされているのです。
塩分を摂りすぎたときには、体内のカルシウムが少なくなっている可能性が高いため、意識的に摂取するといいでしょう。
【カルシウムを多く含む食材】
牛乳やヨーグルトなどの乳製品
大豆製品
海藻類
魚類
小松菜やモロヘイヤなどの野菜類
参考:厚生労働省|「e-ヘルスネット」
Re-Bone.jp|「食品別カルシウム一覧表」
■ 塩分をとりすぎないためのポイント
調理法に工夫することで、塩分を控えながらもしっかりとした味の料理をつくることができます。塩分をとりすぎないポイントは以下の3点です。
【塩分をとりすぎないためのポイント】
食べる直前に味付けをする
風味をアップさせる
加工食品を控える
食べる直前に味付けをする
調理には塩を使うものが多いため、調理が終わってから味付けをすることで塩分の量をおさえることができるでしょう。
例えば、煮物だと、具材に火を通してからしょうゆを入れると、少量のしょうゆでもしっかりと味がつきます。
また、和え物は和えてから時間が過ぎると水分が出て味が薄くなるため、食べる直前に味付けするとおいしく食べられるでしょう。
複数の品のうち、メインの料理をしっかりと味をつけ、副菜の塩分を控えめにすることで、味に飽きがこない1食分の料理を作ることができます。
調理中に塩を使う時には、計量スプーンなどで計ると塩分量をおさえることができますので、試してみてください。
風味をアップさせる
香味野菜や香辛料などを使って、味や香りを工夫することにより、塩味の薄さが気にならなく美味しく調理することができます。
例えば、次のように調理すると塩分を気にすることなくしっかりと味付けすることができます。
ハーブやスパイスを使う
減塩調味料(減塩しょうゆ・減塩みそ・減塩ソース・減塩ケチャップ)
香味野菜(しょうが・ネギ・シソの葉)
香辛料(カレー粉・こしょう)
調味料(七味唐辛子・わさび・からし)
加工食品を控える
加工食品は味を良くするためや保存のため、塩分のほかにも食品添加物を多く使っているものがあります。それらを控えることで塩分摂取量を抑えることにつながります。
加工食品は例えば以下のようなものが挙げられます。
ハム
ウインナー
練り物
チーズ
小魚
干物
これらの加工食品を日常的に食べている人は、控えるだけで効果的でしょう。
■ まとめ
塩分は生きるうえで必須ですが、摂り過ぎは健康を害するおそれがあります。
近年、人は塩分を摂りすぎているといわれています。
塩分は味付けをするうえで欠かせない存在になりがちですが、意識的に工夫することで摂り過ぎを防ぐことができるでしょう。
ここで紹介したように、塩分を減らすための対策や塩分を摂りすぎた時の対策を実践しながら、積極的に取り組み健康維持を目指しましょう。
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