子どもの好き嫌いをなくす方法|苦手を克服するための食育のコツは?
子どもの好き嫌いをなくすことは、多くの親にとって大きな課題です。
この記事では、子どもが好き嫌いする原因とその克服方法について詳しく解説します。
味覚や色味、見た目や食感、過去のトラウマなど、さまざまな要因が好き嫌いに影響しますが、工夫次第で改善が可能です。
調理方法や見た目の工夫、一緒に調理や食材選びを行うことで、子どもは自然といろんな食材に親しみ、食事を楽しむことができるようになります。
今回は、克服において避けるべきNG対応もご紹介!
食育を通じて、子どもの健やかな食習慣を育むために、この記事を参考にしてみてください。
■ 子どもが好き嫌いする原因
子どもの好き嫌いは、通常1歳半から2歳頃から始まることが多いです。自我が芽生え始める時期で、自分の意思を主張したくなる年頃でもあります。
好き嫌いの主な原因としては、以下が挙げられます。
味覚や色味に関する本能
見た目や食感への抵抗感
食べる工程への抵抗感
過去のトラウマによるもの
友達や周囲の大人からの影響
気分や状況によるもの
以降では、それぞれについて解説します。
味覚や色味に関する本能
人間には、生まれつき毒のある食べ物を避ける本能があります。
毒は苦味や酸味が強いことが多いため、子どもは本能的にそれらの味を嫌う傾向にあります。特に野菜の「苦み」や果物の「酸味」を敬遠しがちです。
一方、甘味や旨味のある食べ物は好む傾向があります。また、子どもは色味が悪い食材も避ける傾向があり、茶色や黒っぽい食材は「腐っている」と本能が警告を発しているのかもしれません。
見た目や食感への抵抗感
味だけでなく、見た目や食感も子どもの好き嫌いに影響します。
例えばオクラのネバネバ、納豆のネバネバ、もずくのプルプルなど、大人でも食べにくいと感じる食感のものは子どもも敬遠しがちです。
また、見た目が気持ち悪い、苦手なものに似ているなど、食べる前から抵抗感を抱く食材もあります。
食べる工程への抵抗感
食材そのものではなく、食べる工程に面倒くささを感じることで好き嫌いにつながるケースもあります。
例えば魚の小骨を取るのが面倒、果物の皮をむくのが億劫、貝の殻を剥くのが大変など、食べるまでに一手間かかるものは敬遠されやすい傾向にあります。
過去のトラウマ
嫌いな食べ物を食べた時の嫌な体験が、トラウマとなって好き嫌いを引き起こすこともよくあります。例えば、熱すぎて口を火傷した、酸っぱすぎて眉をしかめた、苦くて吐き出してしまった、固くて詰まらせそうになったなどの経験が、その食べ物自体を嫌いになるきっかけになります。
友達や周囲の大人からの影響
幼稚園や保育園に通い始めると、友達の言動に影響を受けやすくなります。例えば仲の良い友達が「ピーマン嫌い」と言えば、それに同調して自分も「ピーマン嫌い」と言い出すことがあります。
また、親が「うちの子は野菜嫌いで」などと言っていると、子どもはそれを言い訳にして野菜を食べなくなることも。周りの影響力は侮れません。
気分や状況によるもの
その日の気分や体調、その時の状況によっても、子どもの食べ物の好き嫌いは変わります。例えば、疲れている時や眠い時は食欲がわかず、好きなものも食べない、気分が乗らないなどということがあります。行事食やイベント食など、普段と違う状況だと好き嫌いが激しくなる傾向もあります。
■ 子どもの好き嫌いをなくす方法
子どもの好き嫌いをなくす方法として、以下などが効果的です。
調理方法を工夫する
見た目を工夫する
一緒に調理をする
一緒に食材を選ぶ
一緒に野菜を栽培する
食事を楽しい時間にする
それぞれの具体的なアプローチ方法を見ていきましょう。
調理方法を工夫する
苦手な食材でも、調理方法を変えることで子どもが食べやすくなる場合があります。例えば固い食感が苦手なら、細かく刻んだり、スープやシチューに入れて柔らかく煮込んだりすると良いでしょう。味付けを濃いめにするのも、苦味や青臭さを和らげるのに効果的です。
【調理方法の工夫例】
野菜をみじん切りにしてハンバーグやミートボールに混ぜ込む
苦手な野菜をスープやカレーに入れて、馴染みのある味付けにする
繊維の固い野菜は、よく火を通して柔らかくする
おかずと一緒に炒めたり、卵とじにしたりして食べやすくする
和え物にしたり、ドレッシングをかけたりして味に変化をつける
ポイントは、あくまで自然な形で苦手な食材を食事に取り入れること。完全に隠してしまうのではなく、少しずつ食べる機会を増やし、食材本来の味に徐々に慣れさせていくことが大切です。
見た目を工夫する
食材の色合いや盛り付けを、子どもの興味を引くように工夫するのも効果的です。オムライスに顔を描いたり、ブロッコリーを木に見立てて飾り付けしたりと、ちょっとしたひと手間で子どもが食べたくなるような、楽しい見た目に変身させられます。
【見た目の工夫例】
星型やハート型などの抜き型で野菜を形作る
野菜で動物や乗り物などのキャラクター作りをする
料理にお絵かきをして物語性を出す(オムライスに顔を描くなど)
苦手な食材を細かくカットし、ごはんと混ぜて「○○ごはん」にする
食材やおかずの配色を鮮やかにし、彩りよく盛り付ける
大人が見本となって、「わぁ、かわいい!おいしそう!」と食材の魅力を伝えることも大切です。あまりごちゃごちゃと凝りすぎず、飽きずに続けられるような簡単な工夫を心がけましょう。
一緒に調理をする
子どもと一緒に料理を作ることで、食材への関心や料理への意欲が高まります。「包丁、上手に使えたね」「きれいに盛り付けできたね」など、作る過程での子どもの頑張りを褒めることで達成感が生まれ、料理や食事がより楽しいものになるでしょう。
具体的な調理の例としては、野菜の皮むきやちぎる作業、だしを取る、味見をするなど、子どもの年齢や成長に合わせて手伝いを頼むと良いです。包丁は子ども用のものを用意し、くし刺しにする、薄切りにするなどの調理体験を積ませましょう。
火の側は危ないので大人が責任を持って見守ることが必須ですが、おたまを使って味噌汁をよそったり、盛り付けたりするのは子どもでもできる作業です。自分で作った料理は、より愛着が湧いて食べやすくなるものです。
一緒に食材を選ぶ
スーパーなどに行ったとき、子どもにも食材選びを手伝ってもらいましょう。「これとこれ、どっちが新鮮だと思う?」「今日のメインのおかずに合いそうなお野菜はどれかな?」など、食材について考え、意見を言う機会を作ります。
このとき、できるだけ子どもの意見を取り入れ、子どもが選んだ食材を使うようにしてあげましょう。そうすることで、自分で選んだ食材への興味や愛着が湧き、料理を楽しみにする気持ちが芽生えます。
店頭POPやレシピを活用して、旬の食材や料理のバリエーションを広げる提案をしてあげるのもおすすめです。ただし、子どもが飽きてしまわないよう、強制にならないよう気をつけましょう。
一緒に野菜を栽培する
プランターでも構いませんので、子どもと一緒に野菜を育ててみるのもよい方法です。種まきや苗の植え付け、水やり、収穫など、育てる過程を通じて野菜への愛着が芽生え、食べてみたいという気持ちが自然と湧いてきます。
ミニトマトやピーマン、きゅうり、なすなどは、比較的育てやすい野菜です。子どもの成長に合わせて、最初は種まきから、そのうち苗の植え付けからなど、徐々にステップアップしていくと良いでしょう。
野菜への関心だけではなく、生命の尊さや食べ物への感謝の気持ちも育むことができますので、ぜひ体験させてあげたい活動です。さらに親子でコミュニケーションを取る良い機会にもなります。
食事を楽しい時間にする
食事中に怖い顔をしたり、強制的に食べさせようとしたりするのは逆効果です。むしろ、食事の時間がコミュニケーションの場となり、みんなで食卓を囲むことが楽しみになるような雰囲気づくりを心がけましょう。
【食事を楽しい時間にする工夫例】
食材の話をしたり、料理の感想を言い合ったりする
子どもが好きなキャラクターの食器を使う
BGMを流したり、ランチョンマットや花を飾ったりしてカフェ風にする
子どもの好きなメニューを取り入れる日を作る
たまにはお弁当にしてピクニックに行く
ただ、あまり大人が張り切りすぎるのは禁物です。自然体で臨み、子どもの様子を見ながら雰囲気づくりをしていきましょう。食事が楽しい時間だと感じられれば、苦手な食べ物も「挑戦してみよう」という気持ちになれるはずです。
■ 子どもの苦手なものの克服でNGな対応
子どもの好き嫌いは、成長の過程で自然に現れる傾向にあります。親としては、栄養バランスが偏ることを心配して、つい強硬な態度で接してしまいがちですが、そういった対応は逆効果になることも。
ここでは、子どもの苦手なものを克服させるためにしてはいけないNGな対応を見ていきましょう。
叱ったり無理やり食べさせたりする
子どもが嫌いなものを食べないからといって、強い口調で叱ったり、泣いているのに無理やり口に運んだりするのはNGです。そうすることで、子どもは食事そのものが恐怖や苦痛と結びつき、さらに食べなくなってしまうリスクがあります。
特に、嘔吐(おうと)反射が起こるほど無理矢理食べさせると、その食べ物へのトラウマになりかねません。また、親に対する不信感や反発心を招き、健全な親子関係を築くことの妨げにもなりかねません。
適切な対応としては、嫌いな食べ物を完食できなくても叱らず、少しでも食べられたら褒める、食べられなくても気にしないなど、あくまで肯定的に接することが大切です。食事の場が安心できる空間だと、子どもも新しいものに挑戦しやすくなります。
子どもの好き嫌いを決めつける
「うちの子は野菜が嫌いなんです」「あの子は肉しか食べないんですよ」など、子どもの前で好き嫌いを決めつけて言うのはよくありません。親の言葉を真に受けて、子ども自身が「自分は野菜が嫌いなんだ」と思い込んでしまい、それが固定観念になってしまうリスクがあります。
また、好き嫌いの激しい時期は一時的なものであることが多く、子どもの成長に伴って口に入れられる食べ物の幅は広がっていくもの。ところが、「うちの子は卵焼きが嫌い」などとレッテルを貼ると、その食べ物への挑戦を諦めてしまい、好みの幅を広げるチャンスを逃してしまいます。
子どもの苦手意識を決めつけるのではなく、「今は苦手かもしれないけど、きっといつか食べられるようになるよ」など、前向きな言葉かけをするようにしましょう。メニューに取り入れる頻度を下げるなどの配慮をしつつ、「食べられたね」と成長を一緒に喜ぶのが望ましい対応です。
好きなものやおやつだけ与える
子どもの食が偏ることを恐れるあまり、好物ばかりを与えたり、おやつを食べさせ過ぎたりする親御さんもいるようですが、これは栄養バランスを大きく欠く原因となります。また、おやつの食べ過ぎは、お腹が膨れて食事の時間に食欲がわかない状態を作ってしまいます。
さらに、好きなものだけを食べる習慣が身についてしまうと、将来の肥満やメタボリックシンドロームのリスクを高めることにもつながりかねません。
たとえ嫌いなものがあったとしても、主食・主菜・副菜のそろった食事を心がけ、間食は1日の摂取カロリーの1割程度に抑えるのが理想的です。おやつの内容も、市販のお菓子だけでなく、果物や牛乳、ヨーグルトなどを組み合わせ、栄養価の高いものを選びたいですね。食事もおやつも、時間を決めて規則正しくとる習慣をつけることが大切です。
■ まとめ
子どもの好き嫌いは、味覚や食感、過去の経験など、様々な要因が複雑に絡み合って形成されます。親が正しい知識を持ち、適切な方法で働きかけることが、好き嫌いを克服するための鍵となります。調理方法や見た目の工夫、食材選びや調理への参加など、子どもが食べ物に興味を持てる環境を整えましょう。一方で、無理強いは逆効果です。子どもの気持ちに寄り添い、楽しい食事の時間を共有することが何より大切。
子どもが、好き嫌いのない豊かな食生活を送ることができるように、今日から実践してみませんか。
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