子どもがゲームをやりすぎるとどうなる?悪影響だけでなく良い影響も
最近では、スマホやタブレットで子どもたちが気軽にゲームや動画を楽しめるようになりました。ゲーム機でも動画が見られるので、子どもが画面を見ているとき、「ゲーム?それとも動画?」と親にはちょっと分かりにくいこともありますよね。
ついつい長時間画面を見てしまう子どもたちを見ると、心配になることもあるでしょう。でも、ゲームを適度に楽しむことで得られる良い面もあるんです。
この記事では、ゲームが子どもに与える影響や、上手な付き合い方について、子育て中のみなさんに役立つ情報をお伝えします。一緒に、楽しく健やかな子育てについて考えていきましょう。
子どものゲームのやりすぎによる悪影響
現代の子どもにとって、ゲームは身近な娯楽となっています。しかし、やりすぎは様々な悪影響を及ぼす可能性があります。多くの子どもたちは、ゲームに飽きると動画を見て、動画に飽きるとまたゲームをするという無限ループに陥りがちです。
このような状況が続くと、健康面、精神面、学習面、社会性など、子どもの成長に関わる様々な面で悪影響が出る可能性があります。以下、具体的にどのような影響があるのか見ていきましょう。
健康面への影響
ゲームのやりすぎは、子どもの健康に深刻な影響を与える可能性があります。長時間画面を見続けることによる視力低下や、ブルーライトの影響による睡眠障害が起こりやすくなります。また、屋内でゲームをする時間が増えることで運動不足になり、体力低下や肥満のリスクが高まります。
さらに、同じ姿勢で長時間ゲームをすることで、姿勢の悪化や肩こり、頭痛などの身体的な不調を引き起こす可能性もあります。日本小児科学会の調査によると、ゲーム依存の子どもは睡眠時間が短く、体調不良を訴える割合が高いことが報告されています。
精神面への影響
ゲームのやりすぎは、子どもの精神面にも様々な影響を与えます。長時間のゲームプレイにより、集中力の低下や情緒不安定になるリスクが高まります。特に、暴力的なゲームを長時間プレイすることで、表情認知や攻撃性に影響を及ぼす可能性があるという研究結果もあります。
さらに深刻なのは、ゲーム依存症のリスクです。世界保健機関(WHO)は2018年に「ゲーム障害」を新たな疾患として認定しました。ゲーム依存症になると、ゲーム以外の活動に興味を失い、日常生活に支障をきたす可能性があります。
国立病院機構久里浜医療センターの調査によると、日本の中高生の約14%がゲーム依存の傾向にあるとされています。
参考:独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター「ゲーム障害について」
学習面への影響
ゲームのやりすぎは、子どもの学習面にも悪影響を及ぼす可能性があります。ゲームに多くの時間を費やすことで、勉強時間が減少し、学力低下につながる可能性があります。また、ゲームの即時的な報酬系に慣れてしまうことで、学習意欲の低下や集中力の低下が起こりやすくなります。
文部科学省の調査によると、平日のゲーム時間が長い児童・生徒ほど、学力テストの平均点が低い傾向にあることが報告されています。さらに、ゲームの過度な使用により、創造性や問題解決能力の発達が阻害される可能性もあります。
社会性への影響
ゲームのやりすぎは、子どもの社会性の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。オンラインゲームを通じて他者とコミュニケーションを取ることはできても、それだけでは十分とは言えません。実際の対面でのコミュニケーション能力が低下し、リアルな友人関係を築くことが難しくなる恐れも考えられます。
さらに、ゲーム内での人間関係のトラブルが現実世界に波及するケースもあり、家族とのコミュニケーションが減少することで、家庭内の関係にも影響を与えることが懸念されます。
プレイ時間の上限は、平日2時間、休日3時間
ゲームのやりすぎの目安について、長崎大学が行った調査が参考になります。この調査によると、ゲーム依存の傾向がある子どもは「休日は6時間以上」ゲームをプレイしている子が最も多いことが明らかになりました。この結果を踏まえ、専門家はゲームのプレイ時間の上限として、平日2時間、休日3時間を推奨しています。
ただし、プレイ時間だけでなく、以下のようなサインにも注意が必要です。
【ゲームのやりすぎのサイン】
ゲームをしていないときも常にゲームのことを考えている
ゲームをやめるよう言われると激しく怒る
ゲームのために食事や睡眠を削る
学校の成績が急に下がる
友達や家族との時間よりもゲームを優先する
ゲームをしないと落ち着かない、イライラする
ゲームにかける時間や頻度について嘘をつく
子どものゲームのやりすぎを防ぐには、プレイ時間や上記のサインを含め、親が注意深く見守ることが重要です。子どもの変化に気づき、適切な対応をすることで、健全なゲームとの付き合い方を見つけることができるでしょう。
参考:朝日新聞デジタル|子どもの7%がゲーム依存症? 調査した長崎大「目安は休日3時間」
ゲームが子どもに与える良い影響
ゲームには悪影響だけでなく、適度にプレイすれば良い影響もあります。以下、ゲームが子どもに与える良い影響について説明します。
思考力・判断力の向上
ゲームでは、様々な状況で素早く判断し、問題を解決する能力が求められます。戦略ゲームやパズルゲームなどは、論理的思考力や問題解決能力の向上に役立つ可能性があります。
想像力・表現力の向上
RPGやシミュレーションゲームなどでは、プレイヤーが物語の主人公となり、様々な冒険を体験します。これにより、想像力が刺激され、自己表現力も向上する可能性があります。
協調性・コミュニケーション能力の向上
オンラインゲームやマルチプレイヤーゲームでは、他のプレイヤーと協力してゴールを目指すことが多くあります。これにより、チームワークやコミュニケーション能力が育成される可能性があります。
重要なのは、ゲームの良い面・悪い面を理解した上で、子どもにとって適切な付き合い方を見つけることです。ゲームを完全に禁止するのではなく、適度に楽しむことで、子どもの成長にプラスの影響を与えることができるでしょう。
子どもがゲームに熱中する理由
子どものゲームのやりすぎを防ぐには、まず子どもがゲームに熱中する理由を知っておく必要があります。以下、主な理由を説明します。
達成感・爽快感を得るため
ゲームでは、目標を達成したり敵を倒したりすることで、即時的な達成感や爽快感を得ることができます。この経験が脳内でドーパミンを分泌し、快感をもたらすため、子どもはゲームにのめり込みやすくなります。
友だちとの繋がりを持つため
オンラインゲームやソーシャルゲームは、友だちとのコミュニケーションツールとしても機能します。ゲームを通じて友だちと繋がることで、所属感や承認欲求が満たされ、ゲームへの依存度が高まる可能性があります。
現実逃避のため
現実世界でストレスや不安を感じている子どもは、ゲームの仮想世界に逃避することがあります。ゲームの中では自分の思い通りにコントロールできる感覚が得られるため、現実世界の問題から一時的に解放されます。
子どもがゲームをやりすぎていると感じたら、子どもの気持ちを理解し、頭ごなしに叱るのではなく対話を通して解決策を探っていくことが大切です。子どもがゲームに求めているものを理解し、それを別の形で満たす方法を一緒に考えることが効果的でしょう。
子どものゲームやりすぎ問題への対処法
子どものゲームのやりすぎを防ぐには、親子のコミュニケーションが非常に重要です。単に禁止するのではなく、子どもの気持ちを理解しながら適切な対応をすることが大切です。ゲームと上手に付き合っていくためには、具体的なルール作り、ゲーム以外の楽しみの提供、そして親子の対話が欠かせません。
以下では、これらの対処法について詳しく見ていきます。
プレイ時間や頻度のルールを決める
子どものゲームのやりすぎを防ぐには、ゲームをする時間や頻度などについて、あらかじめルールを決めることが重要です。具体的なポイントとして、以下の事項が挙げられます。
ゲームをする時間帯を決める
ゲームをする時間の上限を決める
守れなかった場合のペナルティを決める
例えば、「平日は宿題が終わってから1時間まで」「休日は午後2時から4時まで」といった具合にゲームをする時間帯と時間の上限を決めます。また、ルールを守れなかった場合は「翌日はゲーム禁止」などのペナルティを設けることも効果的です。
ただし、これらのルールは子どもと話し合いながら決めることが大切です。一方的に押し付けるのではなく、子どもの意見も聞きながら、納得できるルールを作ることで、子ども自身がルールを守ろうという意識を持つようになります。
ゲーム以外の楽しい選択肢を増やす
子どものゲームのやりすぎを防ぐには、ゲーム以外の楽しい遊びや活動を提供することが重要です。具体的な選択肢の例として、以下の事項が挙げられます。
家族で外遊び
ボードゲーム
読書
例えば、週末に家族で公園に行ってサッカーをしたり、自転車で近所を探索したりするのも良いでしょう。室内では、トランプやUNOなどのカードゲーム、人生ゲームやモノポリーなどのボードゲームを家族で楽しむのもおすすめです。
また、子どもの興味に合わせた本を一緒に選んで読書習慣をつけるのも効果的です。これらの活動を通じて、ゲーム以外にも楽しいことがたくさんあることを子どもに気づかせることが大切です。
さらに、スポーツや音楽、絵画などの習い事を始めるのも、子どもの興味を広げる良い機会となるでしょう。
親子のコミュニケーションを大切にする
子どものゲームのやりすぎを防ぐには、親が子どもの話をよく聞き、気持ちを理解することが大切です。親と子のコミュニケーションの例として、以下の事項が挙げられます。
どんなゲームが好きか・なぜゲームが好きかを聞く
ゲーム以外のことを一緒に楽しむ
まず、子どもがどんなゲームを好んでいるのか、なぜそのゲームが楽しいと感じているのかを聞いてみましょう。子どもの話を否定せずに聴くことで、子どもの気持ちを理解し、信頼関係を築くことができます。
また、ゲーム以外の活動を一緒に楽しむことも重要です。例えば、一緒に料理をしたり、DIYに挑戦したり、映画を見たりするなど、共通の体験を通じて親子の絆を深めることができます。
このような活動を通じて、ゲーム以外にも楽しい時間を過ごせることを子どもに実感させることが大切です。
深刻な場合は専門機関に相談を
ゲームのやりすぎが原因で、日常生活に支障が出ている場合は、専門機関に相談することをお勧めします。ゲームのやりすぎについて相談できる機関には、以下のようなものがあります。
小児科・精神科などの医療機関
地域の精神保健福祉センター
ネット依存外来がある病院
子ども・若者総合相談センター
まず、お子さんの様子が気になる場合は、かかりつけの小児科医に相談するのが良いでしょう。必要に応じて、ゲーム依存症の専門医や精神科医を紹介してもらえます。また、各都道府県や政令指定都市に設置されている精神保健福祉センターでは、ゲーム依存を含むインターネット依存に関する相談を受け付けています。
近年では、ネット依存外来を設けている病院も増えてきました。例えば、国立病院機構久里浜医療センターでは、ネット依存治療の専門外来を開設しています。さらに、各自治体が設置している子ども・若者総合相談センターでも、ゲーム依存を含む様々な問題について相談することができます。
専門機関に相談することで、適切な診断や治療方針を立てることができます。また、家族向けのサポートプログラムなども用意されていることがあるため、保護者の方も支援を受けることができます。
ゲームのやりすぎが深刻な問題になる前に、早めに専門家のアドバイスを求めることが大切です。
まとめ
子どものゲームとの付き合い方は、現代の親子にとって大きな課題です。ゲームのやりすぎは、子どもの健康、精神、学習、社会性に悪影響を及ぼす可能性がある一方で、適度なプレイには思考力や創造性を育む良い面もあります。
ポイントは、子どもとよく話し合うこと。ゲームの時間やルールを一緒に決めたり、ゲーム以外の楽しい活動を見つけたりしてみましょう。のめり込みすぎていないか気をつけて見守り、心配なことがあれば早めに対応することも大切です。
親子で対話を重ね、お互いを理解しながら、少しずつバランスの良い関係を築いていけば、きっとゲームも楽しみつつ、健やかな毎日を送れるはずです。一緒に楽しく、賢くゲームと付き合っていきましょう。
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