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「推し活」女子のホンネ座談会―楽しく推すための極意とは?

アイドルやアニメ、マンガ、2.5次元俳優などなど、誰でも自分の中に一つは「推し」と呼べる存在がいるのでは?そんな推し達を応援するための活動、通称「推し活」をする人が急増しているのだとか!でも、推し活を始めたい、または始めたばかりでどうすればいいか分からないと悩んでいる子もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、人間科学部 多元心理学科の安藤玲子教授と、安藤ゼミに所属する推し活の先輩4名で「推し活座談会」を開催!どんなふうに推し活を楽しんでいるのか、そもそも推しとはどんな存在なのかなど、盛り上がった座談会の様子をお届けします。

人間科学部 多元心理学科 安藤玲子教授
(左)人間科学部 多元心理学科 4年生 カノンさん
(右)人間科学部 多元心理学科 4年生 アヤナさん
(左)人間科学部 多元心理学科 4年生 ナナエさん
(右)人間科学部 多元心理学科 4年生 カホさん

私達のリアルな「推し活」事情

☆私達はこうやって活動しています!!

記者:今日はよろしくお願いします!推し活初心者の私も色々教えていただけると思いワクワクしています。推し活とは、基本的にどのようなことをするのでしょうか?
 
カノン: 私の推しはアイドルなので、グッズを購入したり、ライブやイベントなどに参加したりすることが多いですね。
 
アヤナ:私も一緒かな。推しは声優なのですが、この前、デビュー周年記念ツアーがあって各地の公演に参加したら、チケット代だけで6万円超えちゃいました(笑)。
 
安藤:それはすごいね。交通費やグッズ購入費を含めたらもっと?
 
アヤナ:推しの記念ツアーだし、会いたい気持ちが強くて…。でも推しのためにアルバイトを頑張っているから、お金を使うことにあまり葛藤はしていないです。推しの活動資金になっているなら、むしろ嬉しい。
 
カホ:その気持ち分かる!私の場合は、推しているアイドルのCDに封入されているグッズをメンバー全員分揃えるため30枚も購入しました。でも無事に全員分を集めることができたから、買ったことに後悔はありませんでした。
 
安藤:私は他の学生から、特典のために何枚も買ったからとCDをもらったことがあります(笑)。その子はCDを配ることで推しを周りの人に拡散させることにもなる!と言っていましたね。
 
記者:そのような考えもあるんですね。ナナエさんはどのような推し活をしていますか?
 
ナナエ:私の推しは、動画配信サービスで活動している歌い手なので、インターネット上を主な活動場所としています。だから推し活も動画を何回も再生したり、生配信を楽しんだりなどインターネット上のものが多いです。あとはSNSで推しの情報を集めることもよくします。
 
記者:3次元のアイドルとはまた違う方法ですね。 SNSは1日に何時間くらい見るんですか?
 
ナナエ:少しでも空いた時間があれば、すかさずチェックしてしまいますね。
 
カノン:それぞれやり方は違うけど、推しに対して何か行動する、というのはどのジャンルも同じですね。

☆オタク=コミュニケーション能力が高い!?

安藤:様々なスタイルの推し活があるんですね。例えば、推し活仲間とつながったり、仲間達と一緒に活動したりとかはするの?
 
カノン:推し活仲間でお金を出し合って、駅に推しの「応援広告」を出している人もいます。また、動画の再生回数で配布される特典が変わる場合は、残りの再生回数を計算する人や、再生を呼び掛ける人など、ファンみんなで力を合わせることも多いです。頑張った分ちゃんと見返りがあるから団結できます。
 
カホ:へえ、ジャンルによって活動方法は違うかも。私には2次元の推しもいるのですが、CDを買ったり動画を見たりなど、それぞれ個人で活動している人が多い印象です。
 
記者:2次元は3次元に比べると、みんなで何かするというのは少ないのでしょうか。
 
カホ:一概にそうとはいえないかも。2次元の推しでも活動が何年か滞ってしまった時に、ファンが一丸となって新しいCDの販売に向けて行動したことがありました。
 
アヤナ:2次元や3次元に関わらず、一人や少人数で活動する人もいれば、推し活仲間とのコミュニケーションを楽しんでいる人もいますね。SNS でたくさんの推し仲間とつながっている子も少なくありません。
 
安藤:確かに最近のオタクと自称する学生と話すと、これまでのイメージと違い、人とのコミュニケーションが好きという子が増えたように感じますね。推し活が広まり、同じ人やものが好きな誰かと気持ちを共有するようになって、人とのコミュニケーションも活発になったのかな。
 
カノン:そうだと思います。私は、ゼミで推し活が人にどんな影響を与えるか研究しているのですが、その中で同担(同じ人を推している意味)と仲が良い人ほど共感性が高いことが分かりました。同担と一緒に推し活をして共感性を育むことによって、推し活仲間以外の人とのコミュニケーションも円滑に進むようになったのかもしれないですね。
 
アヤナ:コミュニケーションを積極的に取る人の場合、海外の推し仲間とつながっていることも多いよね。字幕付きの動画を作って一緒に推し活を楽しんだりとか。
 
記者:推しの存在は国境を越えるんですね!

☆服、文房具、雑貨など、推しカラーに染まる日々…

記者:みなさんの日常に、推しはどのように影響していますか?
 
カホ:身に着けるものには影響しているかも。私はゼミで推しとファッションの関連性を研究したのですが、推し活をしている人は、推しカラーのものを選ぶ傾向にあることが分かったんです。
 
ナナエ: 言われてみると、無意識に推しカラーを選んでいます!持っている文房具もそうだし、今日も推しカラーの緑の服を着ているし…。推しカラーを身に着けると嬉しい気持ちになれるんですよね。
 
カホ:色だけではなく、マフラーやタオルなど普段使っているものを推しグッズとすることで、満足感を得られるという人もいました。推しのアイテムや色を身に着けているだけで幸せになれる気持ちは確かに共感できます。

楽しさのウラに潜む闇…「推し活疲れ」に負けるな!

☆推しのことは応援したいけれど、なぜかモヤモヤ…


アヤナ:実は私、同担拒否なんです。
 
記者:同担拒否というのは?
 
アヤナ:同じ推しのファンとつながらないようにしていて…。
 
安藤:ええっ!それはなんでなの?
 
アヤナ:SNSやイベントでファン同士がマウントを取り合っているのを見ると、1人で推していた方がトラブルに巻き込まれず幸せなんじゃないかなと感じてしまって。
 
カホ:私は推し活疲れになったことがあります。高校生の頃に2.5次元俳優を推していた時、よく舞台やイベントに行っていたのですが、社会人とかの年上の同担のファンがグッズをたくさん買っていたり、出演する舞台全てに通っていたりするSNSを見ると、自分と比べてつらくなってしまって…。次第に、どんどん押し寄せる情報を追うのにも疲れてしまいました。
 
安藤:それはとても大変でしたね。今はどうしてるの?
 
カホ:今は情報をシャットアウトしています。そうしたら他のファンのことが気にならなくなっていったんです。人と比べて情緒が不安定になってしまうなら、自分のリズムで推し活ができている今の方がラクですね。
 
安藤:それはとても良い方法です。他の人と比べたり、情報を追うのに疲れたりした時には、いったん全て見ないようにすることが一番だといえます。時間がたって、気持ちが落ち着いたら、自分のペースで推し活を進めることができるでしょう。
また、気分転換に外で体を動かしたり、友人とコミュニケーションを取るのも良い方法。今の子達は同世代にも気を遣うことが多いため、なかなか悩みを打ち明けられないこともあります。でも、みんな同じようなことで悩んでいるから、思い切って誰かに相談してみてください。気を遣わなくても良い場所が一つあるだけでもとても気分が楽になりますよ。

☆ポイントは、「推し」と私の最適距離!

カノン:推しがいることで、本来気にしなくてもいいことまで気になってしまう、というのも推し活疲れかも。推しのスキャンダルが出ると、今後の活動にどう影響するのか勝手に気を遣って疲れてしまって…。
 
安藤:推しの行動にヒヤヒヤしてしまうこともあるんだね。
 
アヤナ:意外とありますよ。推しがファンの地雷を踏むことも多いですし、私も推しの行動に違和感を持って、推し活をやめたことがあります。それに、プロならプライベートはできる限りファンに隠してほしい気持ちもありますね。
 
カノン:私も理想と違う推しの行動に悩んだことがあるけれど、最近は人間だし仕方ないのかも、と思えるようになりました。また、あまり深入りしないでおこう!と意識するようになり、肩の力を抜いて応援できるようになったと感じています。
 
記者:推しへの気持ちは、近すぎない方が余裕を持って楽しく応援できるのかもしれませんね。逆に、推しに迷惑をかけないようファン側で心がけていることはありますか?
 
ナナエ:私の推しは、ファンにしてほしくないことをあらかじめ言ってくれます。ストレートで裏表や理想とのギャップがないから、安心して推し活ができているのかもしれません。
 
アヤナ:今は、推し本人や所属事務所からアナウンスされている禁止事項はしないよう気をつけて行動しているファンがほとんど。推しに迷惑がかかるような出待ちなどはせず、推しと自分の距離を適切に守って推し活をしている人が多いですね。
 
記者:あまり近づきすぎると、どちらも疲れてしまい安心して推し活ができなくなってしまう…。だからこそ「推し」と「自分」との距離を保つことが大切なんですね。
 
安藤:まるで、「ヤマアラシのジレンマ」のようですね。ヤマアラシって体に針がいっぱいある動物なんだけど、ヤマアラシのカップルが恋に落ち、お互いに近づきたいけど近づきすぎると相手を傷付けてしまうので葛藤するという対人葛藤のお話。色々と試行錯誤をした結果、お互いの針がギリギリで相手の肌に当たらない、そして相手の温かさを感じられる距離を見つけるというのが解決策になるんだよね。

そもそも推しって?推し活って?

☆推しは私達の「神」!

安藤:推しへの気持ちは「恋愛感情」とはまた違うのかな?
 
カノン:それも人それぞれですね。「リア恋」と言って、推しにリアルに恋をしているファンもいる一方で、私のように応援や尊敬で推している人も多いです。そこもやはり、推し方の違いになってくるのかなと思いますね。
 
安藤:推し活の形は本当に様々なんですね。たしかアヤナさんは小学生から推し活を始めたんでしたよね?
 
アヤナ:そうです!好きなアニメキャラクターの声を推しが演じていたのがきっかけで。中学生くらいからグッズ集めを本格的に始めました。あの頃はインターネットでの販売も少なかったから、グッズを買うため、ライブ会場に朝早くから並んだりしましたね…。
 
ナナエ:すごい!私は大学1年から本格的に始めて、まだ推し活歴は短め。でも、高校生の時の自分がどうやって生きていたのか思い出せないくらい、今は推しの存在が大きいです。
 
安藤:推しの存在で、ナナエさん自身も何か変わりましたか?
 
ナナエ:これまでは、友人との会話も相手に合わせてばかりでしたが、推しと出会ってからは自分の「好き」を人にはっきりと話せるようになりました。
 
記者:推しが自分を変えるきっかけになったんですね!とても素敵です。カノンさんは推しの存在で気持ちの変化はありましたか?
 
カノン:推しの言葉や歌詞のおかげで、つらい時も前向きな気持ちでいられるようになったと思います。また、同年代の推しが頑張っている姿を見ると、自分も頑張ろうと思いますね。
 
カホ:勇気をもらえるのはとても分かるな。私も昔、すごく頑張って夢を追いかけている推しを見て、自分も将来の夢に向かって一緒に努力しようって思いました。
 
アヤナ:私は推しがいなかったら人生が全然楽しくなかったと思うから、「神」のような存在かも。特にコロナ禍は友人にも推しにも会えなくてすごくつらかったのですが、推しが発信する言葉一つひとつがすごく胸に響いて、とても救われた気持ちになったんです。
 
安藤:推しはとても大きな存在なんですね。今まではコンサートに行くだけ、曲を聴くだけだったのが、現代はSNSやイベントなどで推しについてより深く知ることができるようになったから、ロールモデルとして一緒に頑張ろうという意識が芽生えやすくなったのかもしれません。また、握手や特典など、推し活に費やした見返りが得られるようになったのも推し活が普及した理由と考えられます。自分のお金で推しを成長させているような、自分が育てている感覚というのもあるのかもしれませんね。

☆推し活女子が考える「推し活」の定義とは?

安藤:みんなの話を聞くと、推し活は趣味に近いのかなと感じますが、趣味とは違うんですか?
 
アヤナ推し活と趣味の違いはあると思います。私はフィギュアスケート観戦が趣味なのですが、スケーターが好きというより、芸術点や技術点、昨年と比べてどのくらいレベルアップしたかなどに注目するので、推し活の感覚とはちょっと違いますね。
 
ナナエ:私はカラオケが趣味ですが、推し活かと聞かれるとちょっと違う感じがします。他にもマンガや小説をよく読みますが、ただ好きだから読んでいるという感覚かな。
 
安藤:じゃあやっぱり推し活とは違うんだ?
 
ナナエ:そうですね…。趣味は、推し活ほど時間やお金を使わないから違う感覚なのかも。推し活は、推しという「常にそのことを考えてしまう」存在がいることが条件なのかもしれません。
 
安藤:たしかにその条件だと、趣味とは違いがありそうですね。心理学で趣味と推し活の境界を詳しく分析するのも面白そう。推し活は人のいろんな心理と関わっていますからね。推し活している時に、自分の内面に目を向けてみると、心理学の学びに一歩近づけるかもしれません。

取材日:2022年12月21日
編集者:鈴木
記者:広瀬
カメラマン:高木

☆人間科学部 多元心理学科

☆金城学院大学公式サイト


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