情操教育とは?自宅でできること8選や重要性・実施時の注意点を解説
情操教育とは相手を思いやる気持ちや命の大切さ、知的好奇心などを育む教育です。
私たちが生きていく中で、誰一人としてまったく同じ考え方や生き方をしていく人はいません。それぞれに考え方や価値観、感じ方が異なります。そうした中でまわりとコミュニケーションをとり、自身の納得いく満たされた人生を送るためには、情操教育はとても大切です。
情操教育とは何なのか、具体的にどのようなことをすればいいのか、取り入れる時の注意点などを紹介します。
情操教育を行いながら、大人自身も学びになることもあるため、親子で一緒に楽しみながら学ぶといいでしょう。
■ 情操教育とは
情操とは、美しいものや、すぐれたものに接したときに生じる感情を意味します。例えば、美術館で素晴らしい絵画を見て感動する、音楽を聴いて涙が出るなど、感受性が豊かな状態です。
豊かな感受性を持って物事を捉えることで、自分で考える力・相手に共感し思いやる心など人間力を育むことにつながります。
こうした心や人間力を育てるための教育を情操教育といいます。
情操は道徳や芸術など、さまざま価値観が混ざり合って、感情として現れます。そのため情操教育は以下の4つの領域に分かれており、それぞれバランスよく育むことが大切です。
■ 情操教育の重要性
情操教育は、心の豊かさ・人間力など、1人ひとりの生き方や考え方に直接影響するものです。
人生は毎日が選択の連続であり、自分で感じ考え、自身にとっても周りの人にとっても最善の道を選ぶことができれば、人生は豊かなものになっていくでしょう。
知的好奇心を満たす経験を積む事で、学びが楽しいものであると思えるようになります。学校では教わらない内容や時代の変化に合わせて新しいことを積極的に学ぶ姿勢は、子どもだけでなく大人になってからも非常に重要です。
また協調性や思いやりの心・感受性を高めることで、学校生活や社会生活での人間関係を築きやすくなるでしょう。
このように情操教育とは、人生に彩りを与えるだけでなく、あらゆる境遇に直面しても生き抜く力を養えるのです。
とくに、現代は時代の変化が早く、予想外の出来事が起こる可能性もあります。またソーシャルメディアの普及によって情報が溢れている状態です。
こうした中でも、自身で考え、納得のいく生き方ができれば、充実した人生になるでしょう。
■ 情操教育の開始に適した年齢
情操教育の開始に適した年齢は幼児期にあたる1~6歳ごろからだといわれています。
この年齢になると、ある程度の言葉を理解できるようになることや、脳が急成長する時期なのでさまざまなことを学びから吸収できるためです。
実際、教育方針として情操教育を掲げている幼稚園や保育園も多く、カリキュラムに工作や音楽遊び、絵本の読み聞かせなどを積極的に取り入れています。
幼児期を過ぎてからでは遅いということはありません。年齢にとらわれず、子どもの成長や興味を持つものを観察しながら、タイミングをみて開始するとよいでしょう。
■ 自宅でできる情操教育の具体例8選
幼稚園や保育園、学校で行われている情操教育ですが、教育機関だけでなく自宅でも行うことができます。
ここでは自宅でも行える情操教育の一例を紹介しますので、家庭でも積極的に取り入れるといいでしょう。
自然と触れ合う
自然と触れ合うことで、命の大切さや愛着、季節の移り変わりなどを知ることができます。
例えば、土遊びでは指先に触れる土の温度や感触、湿り具合など、場所や季節によってもさまざまです。公園での葉っぱ拾い、どんぐり拾いなどでは季節の変化を感じることができます。
自然と触れ合い、五感をフルに働かせることで知的好奇心が満たされるでしょう。
絵本を読み聞かせる
情操教育の基本といえば、絵本の読み聞かせでしょう。
読み聞かせをすることで、登場人物の気持ちを考えることで、相手を思い遣ったり共感できるようになります。
子どもが小さいうちは絵本の読み聞かせをしていたが、文字が読めるようになる小学生ごろから読み聞かせをやめてしまうケースが多いです。
小学生になっても、読み聞かせの方が場面を想像しやすく物語に入り込みやすいため、読み聞かせは継続することをおすすめします。
読み終わった後に親子で絵本の感想を伝えあうことで、新たな視点の発見にもつながりますよ。
絵を描く
子どものお絵かきは、大胆な色合いと自由な発想が特徴的です。
絵を書くことで、自己表現の方法や観察力、想像力を学ぶことができます。
子どもたちは自分の頭の中にあるアイデアやイメージを実際の紙やキャンバスに表現することで、新しい考え方や解決策を見つける練習にもなるでしょう。
筆や色鉛筆だけに限定せずに、指など身体を使ったお絵描きもいい刺激になります。
スポーツを習わせる
スポーツを習うことは、達成感を得たり、成功体験を積み重ねたりできます。
チームで行うスポーツの場合は、一つの目標に向かって協力・励まし合うといったコミュニケーション力も身に付きます。毎日の練習や練習の成果などから忍耐力や継続の大切さを知ることもできるでしょう。
スポーツとなると熱くなりがちですが、勝敗や結果よりも頑張った過程に注目するとよいでしょう。
音楽を聴く
音楽の美しさに触れることで、美的感覚や、表現力・情緒を養うことができます。幼児期に音楽に触れることが脳の発達にとても良い影響を与え、言語能力や運動能力の向上にもつながるため、おすすめの情操教育のひとつです。
自宅で音楽を鑑賞するときはただ受け身で聴くだけではなく、音を楽しむ姿勢を持つことが大切です。子どもを対象にしたコンサートや音楽会も開催されているため、こうしたイベントを利用してみると楽しみながら学ぶことができるでしょう。
ペットを飼う
ペットを飼う・生き物を育てるということは、命と向き合うことでもあります。
毎日のお世話を行うことで、命を扱うことの重大さと責任を学ぶことができます。どれだけ大切に育てても、病気になってしまうこともあれば、短い命で終わってしまうこともあるでしょう。楽しいばかりではなく、悲しい場面に直面することもあります。
命の尊さを知ることで、相手を思いやる気持ちが培われたり、自身の人生の大切さを理解したりできるでしょう。
家庭菜園を行う
家庭菜園を行う事で、毎日の食卓に並ぶ食材が、誰がどのようにして、どの程度の時間を使って育て上げたものなのかを理解できるようになります。
私たちは1日に3度食事をし、野菜を食べます。日常の生活習慣は当たり前のこととして捉えがちですが、何気ない毎日の中で、ふと立ち止まって考える時間はとても重要です。深く知り考えることで、感謝の気持ちを培うことができるでしょう。
一緒に料理をする
料理をするということは、さまざまな食材に触れ、味や匂いを感じる、彩りよく盛り付けるなど五感をフル動員させて行います。
正しい味覚を育てることや、創造性や集中力を育みます。
また、子どもの情緒が安定することもわかっています。
また料理は作るだけではありません。栄養バランスを考慮ながらメニューを立て、買い物をするところから始まります。親子でどのような栄養があるのかなど、会話を交えながら行うとより効果的でしょう。
自宅で情操教育を行う際の注意点
情操教育はメリットが多く、デメリットは特にありません。どの家庭でもぜひ取り入れてほしい教育です。とはいえ、取り入れ方を間違えると逆効果になりかねないため、自宅で情操教育を行うときには注意点があります。
子どもの自主性を尊重して認めること
上手にできたらおもいきりほめる
親自身が一緒に楽しむこと
ルールに縛られず子どもの自由な発想を大切にする
親の気持ちを押し付けない
素晴らしい体験や機会があっても、子どもが嫌な気持ちになってしまうのであれば意味がありません。子どもの感情を無視することや、親の希望通りに行動させることは情操教育にはなりません。
怪我につながるような行動でないのであれば、服が汚れる、画用紙をはみ出しているなどには口出ししないようにしましょう。子どもが集中している時は、そっと見守ってあげてください。
まとめ
情操教育は言葉を理解でき、脳の発達が著しい1~6歳の幼少期に始めるのがおすすめです。
無理に特別なことをしなくても、日常生活の中で少し意識を向けるだけでも実践することができます。大人が子どもと一緒になって発見したり、感動したり、楽しむ姿勢を見せてあげることで、子どもは自然と学んでいくでしょう。
まずは親子で一緒に楽しむ時間を作ることから始めてみてはいかがでしょうか。