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リアルなドキュメンタリーと異母姉妹のドラマに引き込まれる

何かと慌ただしい年末を過ごし、少しゆっくりした気持ちでスタートしたい新年。映画館へ足を運んで、じっくりと映画の世界に浸ってみるのはいかがでしょうか。
2023年1月に名古屋市内のミニシアターで公開される作品の中から、おすすめの3本をご紹介します。


■『チョコレートな人々』

 テレビ局の報道部によるドキュメンタリー

『チョコレートな人々』(C)東海テレビ放送

最初の作品は東海テレビが手がけたドキュメンタリー『チョコレートな人々』。愛知県豊橋市に本店を構えるチョコレートショップ「久遠チョコレート」で働く多様な人たちと、それぞれに合った働き方を試行錯誤しながら構築するプロセスをとらえています。

作品を上映する名古屋シネマテークの支配人、永吉さんに見どころを伺いました。

― 東海テレビ制作のドキュメンタリーを映画館で公開するのですね。
 

永吉:テレビで放送された内容を再編集した劇場版です。東海テレビはこれまでにも多くのドキュメンタリー作品を制作していて、劇場版としてはこれが14本目。元々はニュース取材から始まり、深掘りしたいテーマが出てきたときに報道部の方が現場からいったん離れて、そのテーマを追いかける形で制作されているそうです。
 

 チョコレート作りに誰もが関われる仕組みを模索

『チョコレートな人々』(C)東海テレビ放送

― 久遠チョコレートは心や体に障がいがある人、シングルペアレントや不登校経験者、セクシュアルマイノリティなど多様な人たちを雇用されているとか。
 

永吉:比較的通常の条件に近い形で雇用し、誰もがチョコレート作りに関わることができる仕組みを、長い時間をかけて模索しながら作っているというのが大きな特徴だと思います。
 
― 長い間取材されたようですね。

永吉:代表の夏目浩次さんが2003年にパン屋さんを始めた際のエピソードも含まれているので、約19年間でしょうか。制作スタッフとの信頼関係があってこそ、という場面もいくつか見られます。

『チョコレートな人々』は名古屋シネマテークにて、2023年1月2日~27日まで上映予定(延長の可能性あり)。

 『チョコレートな人々』の予告編はこちら

 


■『グレイ・ガーデンズ』

 個性的な母娘の生活に迫った70年代のドキュメンタリー

『グレイ・ガーデンズ』

2本目の作品は、1970年代にアメリカで制作されたドキュメンタリー『グレイ・ガーデンズ』。ケネディ大統領の妻ジャクリーヌの叔母といとこである、ビッグ&リトルイディ親子の個性的な日常や二人の関係性を間近でとらえています。
 
― 二人はもともと有名な人物だったのですか?
 

永吉:この映画をきっかけに注目されるようになったとか。娘のリトルイディのファッションが非常に奇抜で、著名なデザイナーなどに影響を与えたそうです。アメリカではずっと人気がある作品だと聞いています。

― 個性の強い母娘の関係も気になりますね。

永吉:仲が悪いわけではないのですが、とにかくずっと言い合いをしている。自由でありながら、相互に依存もしている。強く自由な意志をもって生きている母と娘の関係は、70年代よりも今の方が理解しやすいかもしれませんね。

『グレイ・ガーデンズ』は名古屋シネマテークにて、2023年1月7日~20日まで上映予定。

 『グレイ・ガーデンズ』の詳細はこちら


名古屋シネマテーク劇場情報

名古屋シネマテーク
1982年に設立された、名古屋・今池のミニシアター。邦・洋画を問わず、ロードショー公開から監督特集などの企画ものまでバラエティーに富んだラインナップで、シネコンでは出会えない良質の作品を多く上映する。


■『とおいらいめい』

 終末が迫るなか、再生を図る三姉妹の姿

『とおいらいめい(C)ルネシネマ

最後の作品は、『とおいらいめい』。彗星の衝突により人類の滅亡が数ヶ月後に迫った2020年を舞台に、腹違いの2人の姉と初めて一緒に暮らす三女の三姉妹が家族になっていく姿を描いています。

作品を上映する、シネマスコーレの坪井さんに見どころを伺いました。

『とおいらいめい』(C)ルネシネマ

- 姉妹の物語と終末に向かう世界という設定が斬新ですね。

坪井:ぎこちなさが漂う異母姉妹が本当の家族になれるかに注目していると、徐々に世界が終わりに近づく気配も漂ってくる。それをセリフなどで感じさせてくるのが秀逸です。コロナ禍が終息しない現在、こういう作品が上映されることにも何か意味があるように感じます。

- 三姉妹の誰もが主役なんですね。

坪井:3人それぞれの個性や背景があって、その見せ場を俳優さんが上手に演じています。インディーズ映画から飛躍するであろう、今後に注目したい方たちですね。

- 2004年に上演された舞台の映画化だとか。
 

坪井:監督や俳優から成る自主映画製作ユニットによる作品です。2時間30分の上映時間を長く感じさせない、自主映画の域を超えた見ごたえのある作品に仕上がっていますよ。
 

『とおいらいめい』はシネマスコーレにて、2023年1月中旬上映予定。

 『とおいらいめい』の予告編はこちら


シネマスコーレ劇場情報

シネマスコーレ
映画監督の若松孝二氏が1983年に立ち上げた、名古屋駅西口にあるミニシアター。アジア映画、日本映画、インディーズ作品などを中心とした多彩なプログラムに加えて、作品を盛り上げるイベントにも力を入れている。

  
気になる作品は見つかりましたか。ぜひ作品を鑑賞して、みなさんの心にふれる何かを感じとってくださいね。


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