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AIには得意なことと、苦手なことがある!?

111限目 人工知能の能力
『人工知能同士を戦わせ続けた結果…?』
国際情報学部 国際情報学科 メディアスタディーズコース

2018年6月掲載「車内の金城学院大学」

AI(人工知能)が囲碁で人間に勝利!

「AIの囲碁プログラムAlphaGo(アルファ碁)が、当時世界最強と言われていたプロ棋士との勝負に勝った」というニュースが衝撃をもって迎えられたのは2016年のこと。
 
それまでの囲碁AIは、ランダムな手を終局までシミュレーションし、勝率の高い局面を作るための最善な手を探るものでした。
 
しかし、囲碁は広い盤面を使った複雑な陣取り合戦であり、AIではトップ棋士の作り出すさまざまな局面を読みきれなかったのです。
 
そこで囲碁AIの開発者たちは、まず膨大なプロ棋士の対局データを読み込ませ、プロが打つ手をある程度予測できるAIを作り、さらにそのAI同士を戦わせるという方法を試みました。
 
すると、AIは不眠不休で1日に何万回も対局を繰り返し、囲碁の局面を認識した上で、最適な一手を見いだせるようになったのです。
 
このAlphaGoはその後も改良が重ねられ、現在はチェスや将棋にも対応するAlphaZeroへと進化し、チェス、将棋、囲碁のそれぞれの世界最強クラスのAIを打ち負かしています。
  

広がる AIの可能性。

最新のAIは人間の脳とよく似た構造を持っており、学習によって能力を高めることができます。その学習スピードは人間をはるかに超えるため、適切な学習法の開発により、驚くべき能力を持たせることができます。
 
たとえば、クルマの自動運転は特定の条件下であれば自動走行できるところまで来ていますし、医療現場では画像診断や遺伝子情報の解析などにAIが活用され、医師の診断や治療を支援しています。
 
人間だけの領域と考えられていた文化・芸術の創作活動においても、すでに絵画や音楽を創作するAIが登場。その能力は年々進化しています。
 
また、2022年秋には対話型AI「ChatGPT」が公開され、人と話すような自然な対話ができるだけでなく、詩や小説の創作、アイデアの提案などさまざまなことに使えるとあって、世界中の注目を集めています。
  

利便性が高まる一方で、社会的・倫理的リスクも。

AIの導入が社会に大きなメリットをもたらす一方で、倫理的な問題や社会的課題など、負の側面も危惧されています。
 
たとえば、フェイクニュースやフェイク動画の悪用、ヘイトスピーチやプライバシーの漏洩。学習データの偏りにより、AIが人種や性別、年齢などによって誤った判断をすることがあるという報告もあります。AIが創作した文章や芸術の著作権は誰に帰属するのか、という課題も残されたままです。
 
こうしたリスクを低減するためには、企業や組織が責任を持って、AIの設計・開発・展開に取り組まなければなりません。また、AI技術によって生じる新たな課題に対しては議論を重ね、法律やルールを整備することも必要です。
 

人とAIが共存する未来へ。

冒頭でご紹介したAI囲碁もそうですが、特定の領域においてAIは人間の能力をはるかに超える能力を持っており、今後も速いスピードで進化していくことが予想されています。
 
AIによって仕事が奪われてしまうのでは?と懸念する声もありますが、その一方で、AIを活用した新しい仕事が必ず生まれてきます。AIと人間がそれぞれの強みを活かし合うことで、新たな価値が生まれる可能性もあります。
 
重要なのは、人間とAIが協働して、人間がより良く生きていくための社会を築いていくこと。そのためには、AIを脅威として捉えるのではなく、AIにできることはAIに任せ、人間は、創造力や感性、倫理的思考力など、人間にしかない能力を高め、発揮すること。また、AIの特性を理解し、上手く使いこなすための知識とスキルを身につけることも大切です。
 
情報社会を多角的に見つめ、豊かな社会を描く。
それが国際情報学部 国際情報学科 メディアスタディーズコース
 
 


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