子どもも大人も一緒に楽しむ、わらべうたとは?
子どもの頃に遊んだ記憶がある、わらべうた。
今も子どもたちに歌い継がれていますが、歌詞が少し変わったり、親子で一緒に楽しめる歌や遊びが注目されてきたり、時代を経て少しずつ変化もしているようです。子どもが喜ぶだけでなく、親子のスキンシップにもつながるなどさまざまな効果があるわらべうた。
ご自身もわらべうたが大好きだという、金城学院KIDSセンターのスタッフ服部昭子さんに、その魅力や楽しみ方を聞きました。
遊びのなかから生まれたわらべうた
― わらべうたとはどんなものでしょうか。
服部:作詞家や作曲家が作った童謡とは違って、子どもたちが遊びのなかから創り出してきたものだそうです。遊びとともに歌い継がれ、時代を超えて受け継がれてきたものですね。
― 昔から親しまれている歌が多いのでしょうか。
服部:そうですね。そのまま歌い継がれているものもあれば、時代の流れと共に変化しているものもあるようです。
例えば「おてらのおしょうさん」は、私が子どもの頃は、最後「花が咲いたらじゃんけんぽん!」でした。でも娘は、「花が咲いて枯れちゃって、東京タワーにぶつかって、ミラクル、ミラクル、じゃんけんぽん!」と歌っていたので驚きました。子供の遊びの中で誰かが付け足して、それが面白かったら採用されていくのかもしれませんね。
歌いやすくて親子の信頼関係も強まる
― わらべうたの特徴や魅力を教えてください。
服部:わらべうたは、使われている音域が狭いのが特徴。だから、どんな方でも歌いやすくて、発達が未熟な段階の子どもの声帯にとってもやさしいそうなんです。私はあまり高い声が出せなくて、子どもに歌を歌ってあげるのが苦手だと感じていたのですが、わらべうたは歌いやすくて、「これなら歌える」ってうれしくなりました。
― ほかにはどんな特徴がありますか。
服部:日本語のリズムや言葉の繰り返しなどが子どもは好きで、心地よく感じるようです。親子で遊びながら楽しむとスキンシップになって、子どもは親に大切にされている、愛されていると感じますし、親は子どもを愛おしく感じ、信頼関係が強まると言われています。また、わらべうたは、あそびが伴っているため、動くことで体の発達にも繋がるとも言われています。
慌ただしい毎日を過ごしているお母さんやお父さんにとって、ゆったりした世界観のわらべうたを楽しむことは、やさしい気持ちになってリラックスもできるのではないでしょうか。
スキンシップがいっぱいの”遊ばせ遊び”
― KIDSセンターではどんなふうに楽しんでいますか。
服部:時間を決めて行っているわけではなくて、ごろごろしている子に人形を近づけてみたり、布を使って”いないいないばぁ”をしてみたり。そうしていると自然に子どもたちが集まってきてくれます。
KIDSセンターを利用しているお子さんは基本的に2歳児までの未就園児なので、わらべうたのなかでも、”遊ばせ遊び”といわれている、親子で楽しむものが中心です。
― ”遊ばせ遊び”のなかから、子どもの年齢別におすすめを紹介してもらえますか。
服部:ねんねの時期の子から楽しめるものだと、『おでこさんまいて』がいいかもしれません。顔遊びといって、歌いながらお子さんのおでこ、目や鼻をさわっていきます。『だいこんいっぽん』という歌では、寝転んでいるお子さんを大根に見立てて体をさわり、最後にこちょこちょとくすぐると、よく笑ってくれますよ。知らない人にさわられると泣いてしまうお子さんもいるので、信頼関係がある親御さんならではの遊びですね。
― もう少し大きくなると、どうでしょうか。
服部:おすわりができるようになったら、『いもむしごろごろ』はどうでしょう。ひざ乗せ遊びといって、長座の姿勢でひざの上にお子さんを乗せてゆらゆらと揺らします。お子さんはバランス感覚が養われて、親御さんは長座で前後に動くので骨盤のゆがみが整うともいわれていますよ。
同じ歌でも成長していろいろな動きができるようになると、遊び方が変わってくるので、それぞれの時期で楽しめると思います。
親子で楽しむわらべうたは幸せなひととき
― 服部さんは人形や布を使われていますね。
服部:人形を歌いながら動かすと興味を持ってくれますね。布はリトミックスカーフといって、薄くて透けているので、”いないいないばぁ”に使っても隠れ過ぎないので安心です。こういった小物を使わず、手遊びだけでも十分楽しめますよ。
― 歌を選ぶポイントはありますか。
服部:季節にあった歌を選ぶようにはしています。秋ならどんぐりが出てくるもの、冬には雪やお餅が出てくるもの、などでしょうか。また、お子さんの目に映ったものを歌うのもいいですね。
雨がふっていたら雨のうた。たんぽぽを見つけたら、たんぽぽのうた。
石ころを見つけたら、石ころのうたなど、実物を見ながらそれに合わせて口ずさむのは楽しいですね。
― そのほか何かアドバイスがありますか。
服部:親御さんの膝の上でわらべうた遊びをしているとき、子どもにとってはお母さんやお父さんの声がシャワーのように降り注ぐ最高に幸せなひとときなんですって。だから、大好きな人の安心できる声で歌ってもらうことが何より大切。声や歌い方など気にせずに、自信を持って歌ってあげてくださいね。
月齢の低い子どもには、激しく揺らし過ぎないように気を付けて。少し大きくなってきたら、変化を付けてみてもいいですね。顔遊びでは、子どもの表情や反応を見ながら、喜ぶタイミングやタッチの仕方を加減してみましょう。
忙しい日常のなかで、「わらべうたをしてあげなくちゃ」と思うと、プレッシャーを感じてしまいますよね。気持ちに余裕のある時に、で大丈夫ですよ。おうちで遊ぶのが難しかったら、KIDSセンターで一緒に楽しんでみるのはどうですか。ここで一緒にわらべうたをして、お子さんが笑うとお母さんやお父さんも笑顔になるはず。ここにいる間は、親子でゆっくり過ごしてもらえたらと思います。
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金城学院大学 KIDSセンター
名古屋市守山区にある金城学院大学 KIDSセンターは、キリスト教精神に基づき、一人ひとりがその子どもらしくすくすくと育つことを願い、豊かな環境を整え、地域の皆さまの子育てをサポートします。親子ですごす時間は子どもたちの心や体の発達を促し、孤立しがちな子育て期の保護者を専門家が見守りサポートいたします。
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