知育とは?意味や必要性、教育との違い、年齢別の知育方法をわかりやすく解説
子どもの知的能力を伸ばす「知育」。
脳が柔軟な幼少期に取り入れることで、子どもの能力を大きく伸ばせると注目されています。
親御さんの中には、知育について耳にしたことはあっても、
「どんな教育なのかわからない・・・」
「遊びと何が違うのかわからない・・・」
という方もいるかもしれません。
本記事では、知育について、教育や遊びとの違いや幼児教育に取り入れる重要性など詳しく解説します。
代表的な知育方法や、年齢別に知育を取り入れるポイントもご紹介するので、「お子様の教育に知育を取り入れたい」、「知育について理解を深めたい」という方はぜひ参考にしてみてください。
知育とは?
「知育」とは、思考力や考察力、判断力など、知能・知力を伸ばすことを目的とした教育です。成長が著しい幼児期に知育を取り入れることで、子どもが自発的に考える力を身につけられると考えられています。
また、知育は、幼児教育の基本とされる考え方、「三育(さんいく)」の中のひとつです。
そもそも三育とは?
そもそも三育とは、人間教育の全体を表現するものとして使われている概念です。
イギリスの学者である、ハーバード・スペンサーによって提唱された考え方で、教育の基本は以下の「三育」によって成り立っていると考えられています。
知育:知能・知力を伸ばす教育のこと
体育:運動によって健康的な身体を作る教育のこと
徳育:道徳心を養う教育のこと
人間の脳は、成長する上で3歳までが重要であると考えられています。
なぜなら、3歳までに成人の約9割まで発達するため、それまでに知育を取り入れることで、子どもの脳の成長によい影響を与えることができるからです。
参考:J‐STAGE|ハーバート・スペンサーの体育論についての考察
文部科学省|体育の目的の具体的な内容-すべての子どもたちが身に付けるべきもの-
J‐STAGE|社会脳の成長と発達
知育と教育の違い
知育は教育の中の一つですが、それぞれの意味は異なります。
教育基本法の中では、教育とは教え育てると定義されています。人間を望ましい状態に成長させるために、意図的に働きかけることを意味しています。
一方で知育は、知能や知力を伸ばし、子どもが自発的に考える力を身につけることを目的としています。そのため、意図的に働きかける「教育」と、自ら考える力を身につける「知育」では意味合いは大きく変わります。
知育は、単純に知識を増やすことではなく、子どもが本来持つ能力や知能を引き出していくイメージです。
参考:文部科学省|第1条(教育の目的)
知育と遊びの違い
遊びとは、子どもにとって楽しい活動であり、自らやってみたいと思う活動です。
一方、知育も自主的に「考えること」、「学ぶこと」を重視しているため、遊びとの違いがわからない方も少なくありません。
しかし知育では、子どもの「やってみたい」という気持ちを大切にしながら、年齢や発達に応じた課題にチャレンジしていき、「できた」という成功体験を積み重ねていくことを大切にしています。
一方、遊びは明確な目的をもたない場合が多いです。また、「考える力」を養う目的があるかないかも、知育と遊びの大きな違いといえるでしょう。
幼児教育における知育の重要性
幼児教育に知育を取り入れることは、子どもの成長によい影響をもたらします。幼児教育において知育が重要な理由は、主に下記の2つです。
子どもの将来の可能性が広がる
子どもの能力アップが期待できる
それぞれの理由について詳しく解説していきます。
子どもの将来の可能性が広がる
幼児期に知育を取り入れると、将来の可能性が広がります。
知育を取り入れることで思考力や考察力、判断力などの能力を養えると、さまざまな情報の中から正しい選択肢をして、自ら考えて行動できるようになります。
文部科学省の「学習指導要領」では、変化の激しい社会の中で柔軟に対応していくためには、自ら学んで考え、判断し行動する力が必要であると記されています。
つまり、知育を取り入れて自分で考えて行動できるようになれば、急速に変化する社会情勢の中でも、自分の置かれている状況を見極めて、臨機応変に行動できるようになるのです。すなわち幼児期に「生きる力」が身につきます。
どのような場面でも柔軟に行動できる人は、大人になって社会に出てからも活躍の場が広がるでしょう。
参考:文部科学省|「生きる力」と資質・能力について」
子どもの能力アップが期待できる
幼児期に知育を取り入れることで、大きな能力アップができます。
なぜなら、0歳~3歳の教育は、大脳生理学の発達に重要であると考えられているからです。そのため、さまざまな情報や知識をスポンジのように吸収し、考え方も柔軟な幼児期に知育を取り入れることで、子どもが持っている能力を高められます。
また、知育はIQの向上にもつながるといわれています。
IQとは知能指数のことで、単に学力レベルや学習で覚えた知識ではなく、さまざまな状況や環境にスムーズに対処していくための能力を数値化したものを指します。
知育は、自ら考える力を育てることに重きを置いているため、IQを伸ばすのに最適な手段といえるでしょう。脳の発達が活発な幼児期に、知育を取り入れてIQが向上すれば、頭の回転が速くなります。そのため社会に出たときに、自分の能力を活かして、自分の適性に合った道を選択できるようになります。
参考:厚生労働省|知能指数 / IQ(ちのうしすう)
代表的な知育方法
ここまで、知育の内容や、幼児教育に取り入れる重要性など詳しく解説しました。つぎに、代表的な知育の方法を4つご紹介します。
知育玩具
知育教材
知育アプリ
暮らしの中での体験
それぞれの特徴について詳しくみていきましょう。
知育玩具
知育玩具とは、子どもの知能の発達を促すおもちゃのこと。一般的なおもちゃと違って、子どもの能力や感性を育むことを目的として作られています。
前述したとおり、知育は子どもが自分で考える力を育むことを目的としています。そのため、知育玩具は、子どもの好奇心や知能、五感を刺激するさまざまな仕掛けが取り入れられています。
知育玩具は、次のような種類があります。
積み木
粘土
ブロック
パズル
音が出るおもちゃ
|知育玩具を選ぶポイント
さまざまな知育玩具がありますが、選ぶ場合は下記のポイントを意識するとよいでしょう。
子どもの年齢や発達に合っているもの
伸ばしたい能力に合っているもの
子どもの性格に合ったもの(興味のあるもの)
たとえば、思考力や発想力、創造力などを伸ばしたい場合は、積み木や粘土などの知育玩具が効果的です。ほかにも、リズム感や音感を育みたい場合は、音が出る知育玩具が合っているでしょう。
伸ばしたい能力の知育玩具を選ぶのも大切ですが、子どもが興味を持ちながら自ら「遊びたい」と思える知育玩具を選ぶのが重要です。
知育教材
知育教材とは、理解力や読解力などを育むために作られた教材のこと。
絵本やワーク、カードなどの教材が多く、遊びや日常生活と結びつけながら物事を整理して考える「論理的思考力」や、生活する上で必要な知識を身につけていきます。
子どもが自主的に取り組めるように工夫されている教材も多く、楽しみながら集中力や想像力、表現力を発揮できるようにもなっています。
知育教材と一言でいっても、さまざまな企業や団体が出版・販売しているため、教材によって目的や目標、特徴も異なります。知育玩具と同様に、子どもの年齢や発達、性格に合ったものを選んで、親子でコミュニケーションをとりながら楽しく進められるものを取り入れるのがおすすめです。
知育アプリ
知育アプリとは、スマホやタブレットなどで学習できるアプリケーションのこと。子どもの年齢や発達段階に応じたゲームや遊びを通して、子どもの思考力や好奇心を育てます。
ゲーム感覚で楽しめて、外出先でも手軽に取り組めるのも魅力です。子どもだけでなく、大人も一緒に楽しめるものが多いため、親子のコミュニケーションを促進するのにも役立つでしょう。
一方で、モバイル端末に頼りすぎてしまうと、視力低下につながるリスクもあります。使用時間はもちろん、画面の位置や周囲の明るさなどに注意して適切に活用するのがよいでしょう。
選ぶ際は、対象年齢を確認して、子どもの好みに合わせて選ぶのがポイントです。子どもが好きな動物や乗り物、キャラクターなどが登場するアプリだと、子どもが興味を持ちやすいでしょう。
暮らしの中での体験
知育と聞くと、おもちゃや教材などが浮かぶ方もいると思いますが、普段の暮らしの中でも知育や学びにつながる体験ができます。
たとえば、次のとおりです。
指先を使う体験:
スカーフ遊び、折り紙、シール貼り(はがし)、ビーズ遊び
言葉を使う体験:
ままごと(ごっこ遊び)、読み聞かせ、お話づくり、しりとり
音楽やリズムに触れる体験:
わらべうた、踊る、体操、歌をうたう
暮らしの中でひと工夫するだけで、子どもの成長によい影響を与えられる可能性があります。
ポイントは、親子で一緒に楽しみながらおこなうことです。スキンシップやコミュニケーションをとりながら、知育を意識した活動や遊びを取り入れてみましょう。
【年齢別】おすすめの知育方法
知育は、ただやみくもに取り入れればよいわけではありません。子どもの年齢や成長に合わせて、適切な知育を取り入れるのが大切です。
ここでは、年齢別におすすめの知育方法についてご紹介していきます。
0〜2歳
0~1歳児は、物を握ったり、つかんだりする能力が発達し始めます。また、声や音がする方に振り向いて反応するようになると、「ダ」、「マ」などの1語から、「パパ」、「ママ」などの2語を話すようになります。
一方、2歳頃になると、積み木を6個程度積めるようになったり、「ワンワン いる」など2語文を話し始めたりします。
そのため、0~2歳は「見る」、「聞く」、「触る」などの感覚を刺激するような知育を取り入れるのがおすすめです。
たとえば、絵本の読み聞かせや語りかけをおこなったり、手指を使って遊べる積み木や音の鳴る知育玩具を選んだりするとよいでしょう。
また、この時期はたくさん話しかけてあげることで言葉が育つ時期です。「上手にできたね」「ワンワンいたね」など、たくさん言葉をかけてあげましょう。
参考:厚生労働省|「記⼊のめやすと⼀覧表」
3〜4歳
3~4歳児は、線や丸、四角を模範して書けるようになります。また、前後上下が理解できるようになり、5まで数えられるようになります。
手先が器用になり遊べる幅も広がるため、手先を使って遊べるパズルやシール遊び、ビーズ遊びなどの知育がおすすめです。発想力や創造力、色彩感覚が育つ、粘土やお絵かきなども積極的に取り入れるとよいでしょう。
3歳頃になると言葉の数が増え始めて、周りとコミュニケーションをとるのが楽しいと思える時期なので、ままごとやごっこ遊びもおすすめです。ままごとやごっこ遊びは、創造力や発想力も養えます。
また、この時期は、「自分でやりたい」という気持ちが育つ年齢なので、子どもの好奇心に合わせた知育玩具や教材を選ぶとよいでしょう。
参考:厚生労働省|「記⼊のめやすと⼀覧表」
5〜6歳
5~6歳児は、人物画を描いたり、単語を定義したりができるようになります。文字や数字に興味を持つ子どもも多く、言葉やルールを理解して、ゲーム性のある遊びを楽しめるようになる年齢です。
また、5~6歳は小学校入学を意識して、遊びながら基礎学力をつけていきたい時期です。
そのため、文字や数字を使った知育を積極的に取り入れて、文字や数字に楽しく触れる機会を作るのがおすすめです。文字や数字を覚えるのが楽しいと認識できれば、小学校の勉強も楽しくスタートできるでしょう。
さらに、友達と一緒にルールのある遊びを経験することで、思考力や社会性を身につけられます。友達と協力して遊ぶ楽しさや喜び、達成感を味わうことで、心身の成長に大切な経験ができるでしょう。
参考:厚生労働省|「記⼊のめやすと⼀覧表」
まとめ
脳の発達が盛んな幼児期に知育を取り入れることで、子どもの能力アップが期待できます。
知育により、思考力や考察力、判断力などの能力が育つと、さまざまな情報の中から正しい選択肢をして、自ら考えて行動できるようになります。成長が著しい幼児期に考える力を育てることは、子どもの将来の可能性を広げることにもつながるでしょう。
今回ご紹介したように、知育と一言でいってもさまざまな方法があるため、何を選べばいいのかわからない方もいるかもしれません。大切なのは、子どもの年齢や発達、好みに合わせて無理なく取り組める方法を選ぶことです。
知育は能力を育てるもので、学校の学習とは異なります。やらせるのではなく、子どもの「やりたい」という気持ちを大切にしながら、楽しみながら取り組めるものがよいでしょう。
親子で楽しくコミュニケーションをとりながら知育をおこない、お子様が持っている無限の可能性を引き出してあげましょう。
・・・