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#4 中年期危機の原因?? 家族における変化

前回の記事

前回の記事で、中年期危機の原因として”身体の変化”と”職業における変化”について解説しました。

その中で、3つ目の原因としてあげたのが”家族における変化”です。

今回のコラムでは、中年期における家族の変化とその変化が女性のこころに与える影響について解説します。

まず、親の喪失です。

中年期になると、自身の親や配偶者の親の身体状況が悪化したり、認知症を発症したりするという状況が生まれます(認知症については、後日のコラムで詳説します)。

家族の介護をすることは身体的負荷も大きいのですが、それと共に心理的にも大きな負荷がかかります。

それは、”親”という存在の「喪失」です。例えば、これまでは何か困ったことがあれば頼ることのできる存在だった親が弱っていくことは、頼れる存在の親を喪失することです。

他にも、元気で健康な親(イメージも含む)の喪失、社会的地位を持っていた親の喪失など、様々な喪失を体験します。

最終的に親が他界した時にも、もちろん親の喪失を体験します。

このように、親の喪失を体験することは、大きなストレスとなります。

次に、子どもがいる場合は子育てが一段落し、子どもが巣立っていき、家族に変化が訪れます。

この時期に中年期の女性は一つの危機を経験することがあります。

エネルギーを費やしてきた子育てが一段落すると、そのエネルギーや時間をどこに向けて良いのかわからなくなることがあります。

また、自分の人生はなんだったのか、自分の人生に意味はあったのか自分の人生はこれでよかったのか、という問いが生まれる場合もあります。

このような状態を「空の巣症候群」と呼びます。

これは、母親役割の喪失による不安定感がもたらすとされています。

また、夫婦関係も変化が求められます。

父親や母親としての役割を卒業して、これまで子ども中心であった生活から、子どものいない生活へシフトしていく必要があります。

そして新しい夫婦の役割や関係を築いていく必要が出てきます。

子どもがいないカップルの場合も、中年期を迎えると、お互いの心身の衰えや変化を感じるようになり、老年期に向けて今後どのような関係を形作っていくのが良いのか、新たな関係を模索していくことになります。

もちろん、カップルでない場合も、自分の健康状態の変化や経済的な状況、就労状況などから、老年期についてプランを再度見直したり、現状に合わせて新しいプランを立てる必要が出てきます。

このように、中年期は、喪失を経験しながら、どのような人生設計をするのかが再度問われることになり、アイデンティティを再確立する必要が出てくるのです。

この時に、再確立がなされないと中年期危機を迎える場合があります。

参考文献:無藤隆,子安増生編:発達心理学Ⅱ. 東京大学出版会,東京,2013

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