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図書館職員と本好き女子大生が本気で提案する「女子高生に読んでもらいたい、オススメの1冊」

SNSや動画コンテンツは楽しいですが、昔から人気のエンターテインメントといえば、読書。せっかくなら女子高生に、もっと本の魅力を感じてほしい! 新しい本に出会ってほしい! という思いで今回立ち上がったのが、本選びのプロである図書館職員と、本好きが集まった大学図書館でボランティアをしている女子大学生3人。「女子高生に読んでもらいたい、オススメの本」がある、ということで、“独断と偏見で選んだ、女子高生へのオススメ本”を1人1冊ご紹介します。興味を持てる本は、見つかるでしょうか!?



本好きな人って、なぜ本が好きになったの?

☆物心がつく前から?の人もいれば、後から好きになった人も


記者:今回は、女子高生にオススメしたい本がある!という思いを持った本好きの4人に集まっていただきました。それでは早速どのような本かという前に、まずはそもそも皆さん、いつから本が好きなのでしょうか?
 
ゆり:これはもう記憶のかなたですが、子どもの頃親に読み聞かせをしてもらっていたことをなんとなく覚えていて、小学校低学年くらいには、親を待たずに自分1人で読むようになったように思います。
 
めい:私も同じです! 親が読み聞かせてくれるのが、とても嬉しかった記憶があります。それで小学生になって、休み時間には学校の図書館に通って、好きな本を探してずっと読んでいました。
 
記者:なんだか本好きエリートみたいなお2人ですね。中学生とか高校生とか、大きくなってから好きになるってことはないものでしょうか。
 
ひさの:私はもともと小説のような、文字ばかりの本は好きではなかったんです。漫画が大好きで、とくに月間漫画雑誌の『ちゃお』がどうしても欲しくて。でも『ちゃお』を買うかわりに小説を数冊読むこと、という親との約束があって。最初は漫画のために小説を読んでいたのですが、そのうち文字だけの小説も、自分で絵を空想できるから意外と面白いな、と思うようになったんです。
 
図書館職員エム(以下、エム):後から好きになるパターンもあれば、もともと好きで、でも一度離れて、また何か1冊をきっかけに本を読み出す、なんてこともありますよね。実際は、図書館職員といっても、全員が本好きという訳ではないんですが…。私は大好きです。物心がついた頃から本ばかり読んでいて、外で遊ぶ間も惜しんで、という感じでした。小さい頃に『おさるのジョージ』にハマったことがきっかけだと思います。


女子高生にオススメしたい本をご紹介①

☆主人公に自分を投影できる!女の子が主役の2冊

記者:それでは、お待たせしました。今回のテーマである、「独断と偏見で選んだ、女子高生へのオススメ本」を教えてください!
 
めい:『また、同じ夢を見ていた』という、住野よるさんの1冊です。主人公である小学生の女の子が、国語の授業で“幸せとは何か”について考えて発表する、という宿題を出されたところから物語が始まります。色々な登場人物がいるんですけど、その人達と関わって、助言を得るなかで、“自分にとっての幸せ”を考えていくストーリーです。“自分にとっての幸せ”を読み進めながら考えていくことができて、言葉一つひとつがすごく温かく、生きていく上でのヒントになる言葉にたくさん出会える本です。
 
ひさの:登場人物が魅力的な小説って、いいですよね。印象に残っている人物やシーンが知りたいです!
 
めい:登場人物は、同級生の男の子、女子高生、大人のお姉さん、おばあちゃん、といった人達です。素直に言えなかったり、挫折を経験したり、思い出を大切にしていたり、それぞれの“自分にとっての幸せ”が違うのも、またいいんですよね。極め付きは、ラストのシーンですね。ネタバレになっちゃうので詳しくは言えませんが、主人公の女の子が、自分にとっての幸せを見つけて、授業で発表するところ。主人公の成長にも心を動かされました


記者:これは話が尽きない予感がします。もっと聞きたいところですが、まずは皆さんのオススメをお聞きしたいので、続いてひさのさんのオススメを教えてもらえますか。
 
ひさの:私が選んだのは『早朝始発の殺風景』という青崎有吾さんの作品で、漫画も出ていますが、私は小説を読みました。これは短編集で、1話がとても短くて、10分くらいで読めちゃいます。でも、物足りなさはなくて、ちゃんと話の中に伏線があって、最後にそれが回収されていくんです。それぞれの謎が分かるとスカッとしますよ。あまり本を読んだことのない方も読みやすいですし、ミステリー小説の入り口というか、すらすら読めるのに、読んだ後の満足感が高いので選びました。
 
ゆり:短編集って、好みが分かれますよね。でも、気軽に読めるという意味では、ちょっとした隙間に楽しめるから、いいですよね! とくに好きな話はありますか?
 
ひさの:私は、本の名前にもなっている『早朝始発の殺風景』というタイトルの話が好きです。高校生の男女が偶然、始発電車で一緒になるんですけど、お互い「相手がなぜ始発に乗っているのか?」と疑問に思って。それを探っていくのですが…このままだと最後まで話してしまいそうです。え、そうなの?という謎解きストーリーですので、ぜひ読んでみてください!


女子高生にオススメしたい本をご紹介②

☆続いては、大人気シリーズと、世界が舞台の物語

記者:それぞれオススメのポイントは違いますが、どちらも魅力的な本というのが伝わってきます! ゆりさんの、オススメ本も教えてください!
 
ゆり:私はシリーズ系の本で、『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズを選びました。主人公が、“本を読めない体質の男の子”なんです。古書店の店長と出会ってからミステリーになっていくんですけど、古書を通して人が関わりあったり、謎を解き明かしていったり。あまり本を読まない方は、“本を読めない体質”の子になりきって、読み進めてほしいなと思います。
 
エム:シリーズだと、一度ハマると、ずっと楽しめる!という良さがありますよね。ゆりさんは、シリーズ系が好きなのですか?
 
ゆり:私はシリーズになっている本にハマる傾向にあります!本の読み方というか、楽しみ方って人それぞれだと思いますけど、私は登場人物が好きになって、それを追いかけるように、その人物が出てくる本を読む感じです。だいたい1冊につき1人は好きな登場人物が見つかって、その人目線で感情移入しながら読むこともあります。
 
ひさの:分かります! 逆に、主人公や登場人物が私とは違うなって思う時は、自分とは違う生き方をする人物をエンタメとして楽しみながら読んでいます。感情移入できるできない関係なく、ハマれる本に出会うと、幸せな気持ちになりますよね。
 
ゆり:本との出会い方って、色々ありますけど、このシリーズは、一つひとつの話が、過去の名著が題材になっていて、一部抜粋で内容が出てくるんです。原作だとどんな話なんだろう?と興味がわいていきました。例えば誰もが知っている夏目漱石。私はこのシリーズに出てきた漱石の本が気になって読んでみると、これが面白くて!


記者:人それぞれというか、同じ人でも、本によって読み方も楽しみ方も変わるんですね! それでは、エムさん、オススメをお願いします。
 
学生3人:エムさんが、どんな本を選んだか、すごく気になります!
 
エム:本の入り口として楽しく読んでほしいと 思い、昔読んだ本を振り返ったり、色々な書評を見たりして、悩みに悩んで選んだのが原田マハさんの『翼をください』です。この本をオススメした理由は3つあります。一つ目は、時代背景というか舞台です。アメリカ、ヨーロッパ、アジアと舞台がダイナミックに展開し、1930年代が中心の話で時代の空気感が今と違う。今、日本で生きていては体験できないことを知ることができる、という点がこの本の魅力でもあると思います。二つ目は想像を交えながらも、実在する人物をモデルに描かれた作品であること。事実が下敷きにあるから説得力がある内容になっている、ということも魅力だと思います。
 
めい:あ~、もう読みたくなってきました! 三つ目のオススメ理由は何ですか。
 
エム:名古屋が舞台に出てくるところです!特に愛知県に住んでいる人にとっては身近に感じられる点がオススメです。世界初となる飛行機での世界一周を目指す物語に、名古屋が関わっている。アメリカ人女性と日本人男性が主人公なんですけど、遠く離れた2人が、話が進むにつれて関わることになって…。あとは読んでのお楽しみとさせてください。上下巻なので長いように思うかもしれませんが、お休みの日なら1日で一気に読み切れる文章量だと思います!私は電子書籍版で、昼休憩の時間を活用して読みました。
 

本の魅力とは?合いそうな本は、どう探せば良い?

☆「共感」「ドキドキ」「別世界」など、魅力はたくさん!

ゆり:本の魅力としては、好きな登場人物に出会えるところが一つあると思います。「分かる分かる」とか「次、どうするの?」とか「あ、あぶない!逃げて!」とか。感情移入しながら読み進めると、あっという間に本の世界に引き込まれていきます。好きな登場人物が1人見つかると、シリーズ化された本なら、たくさん楽しめます。
 
ひさの:「共感」というのも、楽しさの一つですよね! 太宰治が1939年に発表した『女生徒』という作品があるのですが、作者は男性ですし、書かれたのは80年以上前なんですけど、主人公の14歳の女の子に、とても共感できて。作者すごいなぁ、と思いました。昔の作品なのにすごく楽しくて、これは大きな発見でした。
 
めい:私はけっこう“表紙”がポイントです。書店や図書館で、キレイというか、ピンとくる表紙の本を見つけて、裏表紙にある内容紹介を読んで、「これ読もう」って決めています。タイトルも同じで、たくさん眺めていると、「これ面白そう!」と感じるものに出会えるんですよね。
 
ゆり:自分の知らない世界を知ることができる、現実には起こらないことを体験できるのもいいですよね。私が最近、面白かったのが、宇宙を旅していく物語。これ自分ではできないですが、本の中で宇宙を旅しました!
 
エム:私も今ハマっているのは、日本人冒険家の話です。ご自身の冒険の記録を本にしていて、これは現実なのですが、私にとっては非現実というか。なんだか冒険したくなりました。あ、読んでいる間だけ、もちろん現実は別ですが。そんな気持ちになれるのが、本の魅力です。

☆ドラマ・映画の原作もいい。書店や図書館には偶然の出会いが!

めい:ドラマとか映画化された本の原作を読むのも面白いですよね。けっこう終わり方が違って、好きな話を二度楽しめるお得感があります。
 
ゆり:小説だけじゃなくて、漫画でもいいと思いますし、イラストや写真が多めの本とか、図鑑や写真集もいいですよね。たまたまCGで作られたキャラクター展に行って、CGって面白そうだと思って、最近CG入門みたいな本を読み始めました!
 
エム:そうそう。図書館に来る学生さんで、自分で読書のハードルをあげているように思う方がいます。「大学生だからこういう本を読むべきだ」なんて、気にしなくていいと私は思います。主人公がこのシーンで何を思っているか、ということに正解はありません。とにかく自由に読めばいいんです! そして、つまらないと思ったら、途中でやめてもいい
 
ひさの:本を読まなくたって楽しい毎日が過ごせると思いますが、自分の知らないことを知って、そこに共感したり、気づきがあったり、頑張ろうって思えたり。生活のスパイスというか、楽しみが一つ増える、くらいの感覚でいいですよね。

エム:皆さんは、金城学院大学の図書館の学生ボランティアグループ『LiLian』として、大学生にもオススメ本を紹介したりして、色々な目線から本の魅力を紹介してくれていますもんね。
 
めい:LiLianに任せてもらえる本棚もあって、毎回、選ぶのも楽しいです。図書館のウェブサイト内にあるLiLianのコーナーでも、私達のオススメ本を紹介していますから、興味を持っていただけたら、ぜひそちらも見てほしいです!
 
ゆり:ウェブサイトでは、金城学院大学の先生方のオススメ本も紹介しています。専門分野を簡単に分かりやすく解説してくれる本だったり、専門分野とはまったく関係ない先生がお好きな本だったりしますが、先生の人となりを知ることができるのもあって、学生には人気のコーナーなんですよ!
 
ひさの:SNSやYouTubeなどにも本を紹介する動画がたくさんありますから、色々なところで“面白そう”と思える本に出会ってほしいですね。
 
エム:図書館は、無料で本が借りられる場所です。気になる本を見つけたら、最寄りの図書館で読んだり借りたりしてみてください。もちろん特定の本がなくても、図書館や書店に行くと、きっと気になる本に出会えるはず。ぜひ、本を通して新しい楽しみを見つけてください!
 

取材日:2023年11月8日
編集者:鈴木
記者:広瀬
カメラマン:高木

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