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【Kinjo Spirit】 金城学院高校 黒澤 満 教諭

 この記事は、2022年度金城学院報with Dignity vol.40に掲載された記事です。

黒澤 満 教諭
金城学院高等学校
担当教科 地歴・公民
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立正大学文学部地理学科卒業後、国分寺市国分寺遺跡調査会発掘作業員として働く。その後海城学園中学・高等学校で社会科の非常勤講師を務める傍ら、立教大学ラテン・アメリカ研究所ラテン・アメリカ講座で4年間学ぶ。
1987年金城学院高等学校専任教諭として赴任。6年間高校在籍後、中学校に4年間、さらに高校へ異動し、現在に至る。

軽音楽部の顧問を務め、総勢60名の部員を率いること通算15年。

オフには旅や街ぶらを楽しみ、スワローズを熱く応援する。
中南米音楽に近づきたいと始めたラテン・アメリカ研究はいまも継続中。
教師としての仕事はもちろん、部活も趣味も本気で取り組む黒澤満先生。

その底知れぬエネルギーの源は「ORDEM E PROGRESSO(秩序と進歩)」の精神。それはいつの間にか周囲も巻き込み、共に何かを成し遂げる力になっています。


地理学への出発点はミステリー探究。

笑われるかもしれませんが、謎の遺跡やUFO問題などのミステリー探究が高じて、最初は考古学が充実している大学への進学を考えていました。

でも就職のことも考えて、もっと多様な分野と接点がある地理学を学ぼうと思うようになりました。
小学校5、6年生の頃から地図を広げて目的地へのルートを確認して自転車で遠出をするのが好きでした。あの頃自宅には分野別の百科事典が並んでいて、まず手に取るのは歴史や地理の巻。

偶然にも地理の巻の執筆陣には立正大学の先生が多く、自然地理、人文地理、地誌、応用地理と総合的に講座数が充実していることがわかり立正大への進学を決めました。

立正大は教養部のキャンパスが埼玉県熊谷市にあり、自然環境の豊かさから最初の2年間は地形、地質、地下水、気候、図学、農工業中心の学び。

そして野外実習としての巡検。遠くは航空便がなく、ブラジルに着くほど時間がかかった遠い父島(小笠原諸島)での巡検も忘れ難い思い出です。

大学で地理全般を学べたことは満足で感謝だったのですが、中高の頃から中南米音楽を聴くようになり、その世界(+ミステリーな遺跡も多く)にもっと近づきたいと考えていました。

そんな折、海城学園から声がかかり、経済的安定が増したので立教大学ラテン・アメリカ研究所の門をたたき、ラテン・アメリカ講座に4年間通いました。

語学(ポルトガル・スペイン語)や地域文化、政治経済など学びは多岐にわたり、立教生・社会人合一の単位制の講座で修了単位には複数年かかるユニークなものでした。

因果応報で究めていく。それが地理学の醍醐味。

地理は場所の学問なので、「なぜその場所に特有の存在があるのか、現象がでるのか」を探って、その理由が分かった時は爽快です。

「点⇆線⇆面⇆空」と対照範囲は自由自在。
自らの感性で範囲を定め、「因果応報」で究めていく面白さがあります。

また、地図の読図から思わぬことに気づかされることがあります。地図は面的に表現された中でも一番整合よく表現し、一番多量に情報が詰まっています。活用の成果は読み手次第です。

歴史もまた、大きな時の流れ、しかも遡ることができないその時々に起きた事柄、出来事、単独で成立していた世界がやがて相互につながり一体化していくことが面白い。

また、人類の悲劇の一つとしてあるのが「戦争」ですが、これだけ繰り返されるのも、当事者の者たちが過去の歴史を本当の意味で大切にしていないからだと思います。まさに「温故知新」です。
 

「ORDEM E PROGRESSO」の姿勢でこれからも。

授業で心がけているのは、地理でも歴史でも本校や、本校の行事などと関わる地域や時代の出来事があれば、できるだけ教材の一つにすること。

たとえば本校の修学旅行先は長崎・雲仙・嬉野方面なので、その地域にまつわる授業や課題を出したりしています。

また、電子地図の活用など、授業ではパソコンやiPadも使いますが、課題研究ではあえて手書きのものを求めたりしています。

その方が一人ひとりの個性がよく出て、発展性があります。先端のものと、変わらず大切なものとの掛け合わせのバランスが肝心かと思います。

私が大切にしている言葉に「ORDEM E PROGRESSO」という言葉があります。ブラジル国旗の青い天球の中にある白帯に描かれているもので、日本では「秩序と進歩」と訳されています。

「秩序」と聞くと整然と序列ができているようなイメージですが、ここでいう秩序は個々が上下関係なく混然とつながりあい、個々も一つの総体として力を発揮します。

生徒たちのさらなる成長を願い、授業、部活、諸行事等の学校生活において、今後も変わらずこの姿勢で励みたいと思っています。

Q. 黒澤 満先生ってどんな人?

 地理の授業、最高に面白かった!

地理は暗記科目と思われがちですが、黒澤先生の地理は「今の世界を知る」科目としてすごく役に立ちました。特に先生が定期的に配ってくれる手書きのプリントには「愛」がこもっていて、毎回楽しみでした。

 これからも軽音楽部をよろしくお願いします!

音楽の好みは私たちの世代とちょっと違うけど(笑)、いつも真剣に私たちと向き合ってくれ、感謝です。

 植木先生vs黒澤先生 プロ野球の応援合戦を盛り上げました!

黒澤先生は副校長の植木隆伸先生と仲良しで、それぞれタイガースとスワローズの大ファン。私たちもグッズやイラストで2人のファン心理を煽りました。

【教えて先生!My Favorite】

2016年のリオ・デ・ジャネイロ五輪の時に再訪・観戦。

華やかなスポーツの祭典の陰でファベーラ(貧民街)は1993年に訪れた時と変わらない姿があり、複雑な思いが残りました。

音楽鑑賞に野球観戦、ミステリー探究、旅、街ぶらと実に多趣味で、しかも熱い!音楽はプログレッシブ・ロックに始まって、ボサ・ノバ、サンバ、タンゴ、レゲエなどの中南米音楽、ジャズ、クラシックまで幅広く楽しんでいます。


■ 金城学院報 with Dignity vol.40 はこちら

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