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イギリスがラグビーワールドカップに4チームが出場できるのはなぜ?

132限目 政治学
『オリンピックとW杯で国名が変わる?』
国際情報学部 国際情報学科 グローバルスタディーズコース 

2020年3月掲載「車内の金城学院大学」

イギリス連合王国は4つの国で成り立っている。

南アフリカの2連覇で幕を閉じた「ラグビーワールドカップ2023フランス大会」。
 
日本代表は強豪国相手に善戦したものの、残念ながら決勝トーナメント進出はなりませんでした。
 
ところで、2023年のラグビーワールドカップに出場した20チームのうち、イギリスからは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド(アイルランド共和国と北アイルランド)の4チームが出場していることを不思議に思った方も多いのではないでしょうか。
 
イギリスは、首都ロンドンがあるイングランドと、それぞれに自治権を持つスコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国で成り立っている連合王国で、正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」です。
 
ラグビーワールドカップは地域の協会単位で出場できるため、それぞれにラグビー協会を有するイングランド、スコットランド、ウェールズは、それぞれのチームでワールドカップに出場できます。
 
ただし、アイルランド代表については、アイルランドが南北に分離される前に設立されたアイルランドラグビー協会が、今もアイルランド共和国と北アイルランドの2国を統括しているため、2国の統一チームでワールドカップに出場しています。
 
このように、イギリスから複数チームが参加できる背景には、イギリスはラグビーの発祥地であり、ワールドカップを主催する国際組織ができるより前に、英国の各地域のラグビー協会が設立され、長い歴史を持っていること。
 
4つの代表チームと他国との実力差も大きく、4協会の協力がないと国際大会の実現は難しかったという事情もありました。
 

オリンピックとワールドカップでは出場チームが変わる。

一方、オリンピックのラグビー競技は7人制ラグビーで、イギリスは4カ国合同の「イギリス代表チーム」を組んで出場しています。これはなぜでしょうか。
 
オリンピックを主催しているのは国際オリンピック委員会(IOC)で、オリンピックの出場条件を、「各国のオリンピック委員会(NOC)単位での出場」と決めています。
 
イギリスは連合王国全体でひとつのオリンピック委員会を作ってIOCに加入しているため、オリンピックのラグビー競技では、4協会それぞれで出場することはできないのです。
 
ちなみに、オリンピックのサッカー競技(男子)に関しては、イギリスは代表チームを送らない方針をとっています。
 
4カ国それぞれの協会はワールドカップ予選などで戦い続けている宿敵同士で、一つのチームになることは難しいというのが、その理由。
 
ただ、2012年のロンドン大会は自国開催であったことから「イギリス代表」を結成したものの、その後の2大会は不参加となっています。
 

選手もファンも、ひとつになろう!
アイルランド代表アンセムに込めた思い。

オリンピックやワールドカップのような国際的なスポーツ大会では、参加国の国旗が掲げられ、試合前には国歌やアンセム(賛歌)が演奏されます。
 
ラグビーワールドカップでは、イングランド、スコットランド、ウェールズの3カ国はそれぞれ自国の国旗を掲揚。
 
試合前の国歌斉唱では、イングランドは「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」、 スコットランドは「スコットランドの花」、 ウェールズは「わが父祖の土地」と、それぞれの国歌を歌うのが通例となっています。
 

アイルランドラグビー協会の旗

アイルランド代表はアイルランド共和国と北アイルランドの統一チームであるため、試合会場に掲げる国旗は、アイルランドの伝統的な紋章を組み合わせたアイルランドラグビー協会の旗を採用。
 
試合前には、国歌ではなく、ラグビーアイルランド代表チームのために作られたアンセム「アイルランズ・コール(アイルランドの叫び)」を歌います。

アイルランド アイルランド

ともに立ち上がれ 誇り高く
肩と肩を組み合って
アイルランドの叫びに応えよう

Ireland's Call(日本語訳)

2国の選手たちが肩を組み、観衆も一体となってこのアンセムを熱唱する姿は、国籍や紛争、宗教の違いを乗り越えて、ずっとひとつであり続けた結束の象徴。
 
その姿に感動し、涙するファンも多いそうです。
 
国旗や国歌、アンセムなど、ワールドカップを違った視点で見ることで、その国の歴史や文化、チームの在り方が浮かび上がり、ラグビー観戦の楽しみ方が広がります。

 
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