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「スクリーンの中の私」 女性に響くCinema

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登場人物や監督、原作者など映画に関わるさまざまな女性の姿。あなたとどこか重なる部分や、違うからこその気づきがあるはず。名古屋の映画館がおすすめする、女性に注目したい映画をご紹介し… もっと読む
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心に残る、忘れられない映画と出会いませんか。

ドラマやドキュメンタリー、アニメーションなどさまざまなジャンルの映画を気軽に楽しむことができる現代。 独自の文化や歴史が色濃く感じられる、世界各国の作品にふれられる機会も少なくありません。 ストーリーがもたらす感動や高揚感、出演者の巧みな演技、好奇心を満たす映像体験など、1本の映画にはさまざまな魅力が詰まっています。      たくさんの映画の中には、楽しめる、感動するといったシンプルな娯楽作品だけでなく、作品に描かれた出来事や人物から何かを感じたり、自分に置き換えて考え

思い切った行動を起こすことで人間関係を再構築し、夢も取り戻す女性の物語

とんでもない失敗をしてしまった時や、あれこれが積もり積もって「もう限界!」と感じた時、どこか遠くへ行ってしまいたい…なんて思うことがありますよね。 そう思っても実現するのはなかなか難しいものですが、実行に移して、しかも極地まで行ってしまう女性がいたらどうでしょう。 その破天荒な行動に、物語の中の人物とはいえ驚くかもしれませんが、私も行動してみよう!と元気をもらうきっかけになりそうです。   ■『バーナデット ママは行方不明』ベストセラー小説を映画ならではの表現で シアト

いま向き合いたい問題をファンタジーも交えて描いた短編映画

小説やマンガなどを原作とした映画やドラマは昔から数多く作られています。原作に非常に忠実だったり、元のイメージとはかけ離れていたりして、時には原作を愛するファンの反響で炎上してしまうこともありますよね。 観る人によって求めるものは違いますが、映像など違ったジャンルだからこそできる表現を生かして、新たな作品として創造するのが理想的なのかもしれません。 ■ 『炎上する君』西加奈子の傑作短編小説を映画化 二人の女性、梨田と浜中は唯一無二の親友。銭湯で湯に浸かりながら、炎上が相次

ショートストーリーで紡ぐ、国を超えて共感が広がる女性たちの声

世界のさまざまな国や地域で、悩んだり迷ったりしながらも前向きに生きる女性たち。その姿を見つめると、置かれている環境の違いに驚きながらも、同じような悩みを抱えていると気づくことがあります。 物語や映画の登場人物であっても、リアルに描かれていればいるほど、その姿に共感して勇気をもらえたり刺激を受けて自分を見つめ直したりすることが多くなりそうです。   ■『私たちの声』巧みな構成も楽しめるオムニバス形式 女性のエンパワーメントやジェンダーの多様性が叫ばれ、寛容な心が求められる

日本を代表する美術館に密着!施設の裏側や、働く人の思いを伝える

工場見学やバックヤードツアーなどは、普段見られない場所を垣間見られるとして人気の企画。身近な施設や商品の背景を知ることができる、違った側面から理解を深められると、興味をそそられることでしょう。 古今東西の多様な美にふれられる文化施設、美術館の裏側はどうなっているのか、気になったことはありますか? その疑問に一つの例として答えをくれる、日本を代表する美術館に密着したドキュメンタリー映画が公開されます。    『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』美術に疎

夢と声を奪われた少女が、仲間と踊るダンスを通じて生きる力を取り戻す

身体を使ってさまざまな思いを表現するダンス。 神への祈りや願いとして用いられ、世界各地で多様な民族舞踊や芸術に発展、現代では音楽にあわせて楽しむエンターテインメントとしても、多くの人に親しまれています。 言葉の壁を超える自己表現であるダンスは、言葉が通じない外国の人や、聴覚や言語に障がいのある人とも心を通わせることができるツールとして、力を発揮してくれそうです。    ■『裸足になって』アルジェリア出身の監督が描く女性の姿 北アフリカのイスラム国家、アルジェリアで、バレ

観る者の感情を揺さぶる、人間の内面を見事に捉えたリアルな人物描写

出資者に内容を問われることなく制作者が本当に作りたいものを描く、インディペンデント映画。いわゆる自主制作映画とは異なり、プロフェッショナルな仕事として完成された作品には、時代を超えて観客を引き付ける魅力や熱量があります。 今月、名古屋市内のミニシアターで公開される作品から、〝インディペンデント映画の父〟と称されるジョン・カサヴェテス監督の特集上映企画をご紹介します。   また後半では、7月28日で閉館される名古屋シネマテークさんに、長年大切にされてきたことや、映画館で映画を

自分の生き方に目覚める女性が主人公! 時代を超えた普遍的な物語『山女』

岩手県遠野に伝わる逸話や伝承を記録した柳田國男の『遠野物語』。 日本の民俗学の発展に大きな役割を果たし、後の文学者たちにも影響を与えた説話集です。座敷童や河童など昔ばなしのように思える物語だけでなく、日本人が抱いてきた神や自然への畏怖や死生観など現代に通じるテーマも。 時代を超えて読み継がれる名著から、新たな物語が誕生しました。   ■ 『山女』過酷な運命を乗り越えてたくましく生きる女性 「遠野物語」に着想を得た『山女』の舞台は、大飢饉に襲われた18世紀末の東北の寒村。

それぞれの国の歴史や文化が見える、学びの場や児童書の誕生ストーリー

世界各国で制作される映画には、舞台となった国や制作者のバックグラウンドを色濃く感じさせるものが少なくありません。 作品の中にさまざまな形で投影される歴史や文化などが見る人の好奇心をかきたて、より深く知りたいと思わせることも多いでしょう。 今月、名古屋市内のミニシアターで公開される作品から、ヨーロッパを舞台にした2本の作品をご紹介します。   ■ 『ぼくたちの哲学教室』生き方や考え方、新しい価値観を学ぶ 『ぼくたちの哲学教室』は、北アイルランド・ベルファストにあるカトリッ

母と娘をつなぐ強い絆と、多くの人を魅了する書の魅力に迫る

一番身近な同性である母と娘。 血のつながった密接な関係の二人だからこそ、強く共感したり反発したり、そのつながりは多種多様で時に複雑です。 真実ならではの強い力があり、見る人の心に迫るドキュメンタリー映画で、強い絆で苦難を乗り越えてきた母娘の軌跡を見つめてみませんか。   ■『共に生きる 書家金澤翔子』母の書道教室から始まった書の道 世界的に活躍する書家の金澤翔子さん。 生まれてすぐにダウン症と診断された彼女が才能を開花させるまでには、母・泰子さんと共に重ねてきた努力や挑

生きづらさを感じている女性を救うものとは

家族や友人などたくさんの人と関わっていても、孤独を感じてしまう時があるかもしれません。 そんな思いを乗り越えて前に進むことができるのか、悩みを抱えて心を閉ざしてしまうのか。生きづらさを感じたさまざまな女性の姿を知ることで、その違いを探る手がかりが見つかりそうです。 今月、名古屋市内のミニシアターで公開される作品の中から、女性を主人公にした2本の作品をご紹介します。    ■『私、オルガ・ヘプナロヴァー』追い詰められていく女性を客観的に見つめる 1975年、22歳の若さで

モノクロの映像が映し出す、自然と人が密接な江戸の暮らしと青春の輝き

映画やテレビドラマを通じて、かつての日本の暮らしや文化に触れることができる時代劇。私たちが経験していない出来事にもどこか懐かしさを感じたり、時代が違っても変わらない営みや人の思いにしみじみと感じ入ったりという楽しみがあります。 江戸時代を舞台に前向きに生きる若者たちを描いた作品で、その魅力を味わってみませんか。    ■『せかいのおきく』思わず引き込まれるモノクロの世界 武家育ちでありながら、今は長屋で父と質素な生活を送るおきく。古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事に就

困難を乗り越えようとする若い世代のリアルな姿

4月から新しい環境での生活がスタートした人も多いですよね。思ったようにいかなくて戸惑ったり、悩んでしまったりすることもあるでしょう。そんな時、社会情勢や病気によって困難な状況に置かれながらも、前を向いて進んでいく若い世代の姿に力をもらえるかもしれません。今月、名古屋市内のミニシアターで公開される作品の中から、おすすめの2本をご紹介します。    ■『少年たちの時代革命』今のリアルな香港を切り取った青春群像劇 2019年の香港の民主化デモに参加した若者たちが、抗議自殺しよう

主人公とともにパリの街をめぐりながら女性の生き方に思いをはせる

長い人生でさまざまな経験を重ねた人の言葉には、想像を超える奥深さがあります。人生の先輩との交流は、気持ちや考え方に大きな影響を与えてくれるかもしれません。意外なめぐりあわせが繰り広げる展開に驚きながら、その時々の時代を映す女性の生き方についても考えたくなる映画がフランスから届きました。    ■『パリタクシー』女性の過去を通して自分を見つめ直す パリのタクシー運転手シャルルは免停寸前で、お金も休みも足りないという散々な状態。そんな彼はある時、パリの反対側まで行きたいという