歌うから幸せ!?
あんなに勉強したのに、試験ダメだった。
面接がうまくいかず、悲しくなった。
明日の試合のことを思うと、緊張で眠れない。
みなさんもきっと、こんな経験をしたことがあるでしょう。
そんなときは、腰に手を当て、足を肩幅に開いて、大きく胸を張ってみましょう。
2分間、そのポーズをとるだけで力がみなぎってきます。
そう提唱するのは、アメリカの社会心理学者エイミー・カディ。
カディが2012年に行ったTEDスピーチ『ボディランゲージが人を作る』は、
“無力を感じている人が元気になる技術不要の人生術”として人気を博し、
動画の再生回数は6,500万回以上。
いまもTED史上2位の人気を誇っています。
2分間、力強いポーズをとるだけで、
自信が生まれてくる。
TEDスピーチの中で、カディはこんなことを言っています。
スポーツで勝利したとき、多くの人は両手をVの字に突き上げ、顔をやや上に向けます。
一方、無力だと感じるときはちょうど逆のことをします。
縮こまり、身体を丸め、小さくなる。
では、無力を感じている人が、力強いポーズをとって元気なフリをしたら、実際に元気になるだろうか?
そう考えたカディは研究室に人を集めて、それぞれに「力強いポーズ」と「無力なポーズ」を2分間してもらった後、お金を賭けるゲームに挑戦するかを調べる実験をしました。
その結果、力強いポーズをとった人は実験前に比べて自信を高めるホルモンの量が増えただけでなく、無力なポーズをとった人よりも賭けに挑戦する人が多かったそうです。
でも、それってフリをしているだけで、本当の自分じゃないのでは?
そう思う人もいるかもしれません。
カディは自身の体験もふまえて、こういいます。
幸せだから歌う? 歌うから幸せ?
ここで、カディの研究に大きな影響を与えたと思われるひとつの言葉をご紹介しましょう。
アメリカの哲学者であり、アメリカ心理学の父といわれる
ウィリアム・ジェームズ(1842~1910年)の名言としてよく知られる言葉で、カディの著書『<パワーポーズ>が最高の自分を創る』にも引用されています。
ふつう、私たちは幸せだから歌う、悲しいから泣く、と考えています。
しかしジェームズは、そうではない、と主張します。
人は歌うから幸せになる、泣くから悲しい。
身体的な経験が感情を生むのであって、その逆ではない、と。
試しに、口角を上げ、ニコッと笑顔をつくってみましょう。
なんだか楽しくなって、気持ちも晴れやかになってきませんか。
さらに、その笑顔でまわりの人も幸せな気分になる、
そんな好循環が生まれるかもしれません。
勇気がもてない、自分を信じられない。
そんなときこそ、前を向き、胸を大きく張ってみて
内なる可能性を引き出しましょう。
カディのスピーチからも、ジェームズの言葉からも
そんなメッセージが伝わります。
「ボディランゲージが人を作る」
カディ・エイミーのTEDスピーチは誰でも無料で視聴できます。
興味がある方は、ぜひ視聴してください。
特にトークの終盤、カディが自身の体験を通して伝えるメッセージには説得力があり、心に響きます。
心の仕組みを知り、より良い生き方を考える。
それが 人間科学部 多元心理学科
2017年9月掲載 『車内の金城学院大学 102限目』 はこちら