フルートは金属でできているのに木管楽器?
旧石器時代から始まったフルートの歴史。
明るく澄んだ音色と、優美な佇まいが魅力のフルート。
その歴史は管楽器の中でも最も古く、旧石器時代に動物の骨を使って作られた横笛が起源といわれています。
現在のフルートの原型が現れ、広く使われはじめたのは16世紀のルネッサンス時代からになります。
もともとフルートといえばリコーダー(縦笛)のことを指し、バッハの時代 (バロック音楽の時代)まで、現在のフルートの前身である横笛は、「横に構える」という意味で「フラウト・トラヴェルソ」と呼ばれていました。
この時代のフラウト・トラヴェルソの多くは木で作られ、キィはひとつだけという非常にシンプルな形でした。
現代のフルートを形づくった「ベーム式フルート」は、ドイツの金細工職人でフルート奏者でもあるテオバルト・ベームの手によるもので、1847年に発表した管が金属製で、キィがたくさんついた楽器は、「音程が不安定」、「音量が小さい」といった、それまでのフルートの欠点を飛躍的に改善。
誕生から170年以上経った今も、その姿をほとんど変えていません。
木管楽器と金管楽器の違いって?
管楽器には木管楽器と金管楽器の2種類があることは、皆さんご存知のことと思います。
では、フルートは木管、金管のどちらでしょう?
金属でできているから金管楽器、と思う方もいらっしゃるでしょう。
でも、実はフルートは木管楽器なのです。
現代のフルートは主に銀、金、プラチナ、洋銀などで作られています。
もともとは木で作られていたから木管楽器と呼ばれる、という説も間違いではないものの、これに当てはまらない楽器もあります。
たとえばサクソフォンは誕生したときから金属(真ちゅう)で作られていますが、フルートと同様、木管楽器に分類されています。
さらに言えば、貝で作られたほら貝は金管楽器、陶器やプラスチックで作られるオカリナは木管楽器です。
木管楽器と金管楽器の違いは、金属や木などの材質によるものではなく、「音を出す仕組み」にあるのです。
金管楽器以外は、すべて木管楽器である。
サクソフォンやオーボエ、クラリネットなど、木管楽器の多くは植物の葦を薄く削った「リード」を楽器に取り付け、それを息の吹き込みで振動させて音を出します。
フルートはリードを使いませんが、「エアリード」と言って、自分で出した空気(息)を歌口の向こう側にあるエッジに当てることで管内に空気の渦を作り、発音させます。
空き瓶に「ホー」と息を吹いて遊んだ経験のある方もいらっしゃると思いますが、あれと同じ原理です。
対して、トランペットやトロンボーン、ホルンなどの金管楽器は金属製のラッパを起源とし、マウスピースに当てた唇を振動させて音を出します。
簡潔に言うと、唇の振動で音を出す管楽器を金管楽器と呼び、それ以外の管楽器はすべて木管楽器に分類されるのです。
さまざまな楽器の成り立ちや音の出る仕組みを知ることは、楽器を演奏する方はもちろん、楽器を演奏しない人にとっても新しい発見があり、音楽を聴く楽しみがきっと広がります。
楽器の多様性を学び、豊かな感性を育む。
それが文学部 音楽芸術学科
2014年4月掲載 『車内の金城学院大学 61限目』 はこちら