見出し画像

今日の絵本はなに?絵本の選び方ってどうすればいいの?

子どもたちが大好きな絵本。
多種多様なテーマやストーリーがあって、絵のタッチや本のサイズもさまざま。子どもが好きな本と親が読ませたい本、どちらを選んだらいいのか、など迷ってしまいますよね。

「大人に読んでほしい絵本もある」と話すのは、金城学院KIDSセンターのスタッフで、絵本が好きな土方浩子さん。絵本の魅力や楽しみ方、子どもの年齢別におすすめの絵本などを聞いてみました。


親子で一緒に楽しむことが一番の魅力

― 子どもにとっての絵本とは、どんなものだと思いますか。

土方:読み聞かせで文章や絵にふれて、語彙力が増えたり、想像力を養ったり、絵本が子どもに与える影響力は無限だと思います。でも、一番の魅力はお母さんやお父さんと一緒に読めることだと思います。言葉がわからない赤ちゃんでも、抱っこして読んでもらっていると安心感に包まれる。子どもにとって、自分を守ってくれる人の声って、すごく安心感を味わえるんですよね。
 
― どんな時に絵本を読むといいでしょうか。

土方:私は寝る前やおやつの前など、リラックスしたいときに絵本を開くようにしていました。ほかには、電車や車で移動するときもいいですね。一緒に指差ししたりしながら、移動時間を楽しく過ごせますよ。
 

好みが定まらないうちは親が選んであげて

― 絵本を選ぶポイントはあるでしょうか。

土方:すぐに買わずに図書館や支援センターなどで、まずはいろいろな本に触れてみて、その中で親子でお気に入りのものを見つけて、選んでみては。小さいうちは親御さんの感覚で選んでいいと思います。2~3歳ぐらいになってくると、好きなものが決まってくるので、それがわかってから、子どもの好みを尊重してあげてはどうでしょうか。 

0歳児向け

― 年齢別に、おすすめの絵本を紹介してもらえますか。

土方:0歳児は文字は少なくて、絵の形がすごくはっきりわかるもの、色は鮮やかな方がいいですね。『ばいばい』は、ストーリーのない繰り返しで、このページの厚みもいいんですよね。赤ちゃんって本をなめてしまったりするので、硬めの絵本はいいと思います。赤ちゃんでもめくりやすいですし。
『いない いない ばあ』も昔から人気がありますよ。文字が大きくて、絵もやさしいタッチ。お母さんやお父さんが”いないいないばあ”って、一緒にやってあげると喜びますね。

1歳児向け

― もう少し成長すると、どうでしょうか。

土方:1歳ぐらいになると、食べ物や動物、乗り物など身近なものに興味が湧いてきます。言葉のリズムを感じ取れるようになるので、一緒に動いて楽しめる『だるまさんが』はどうでしょうか。KIDSセンターのイベントでも、子どもたちが体を動かしてだるまさんの真似をしますよ。絵本に出てくる動物の親子のように、お子さんを”ぎゅっ”と抱きしめてあげたくなる、『ぎゅっ』も親子で楽しめると思います。
  

成長にあわせてじっくり読む本や眺めの物語も

2~3歳児向け

― 少し自分で読めるようになったお子さんたちへのおすすめは?

土方:2~3歳になると、少しずつストーリーもわかってくるので、絵本をじっくり読めるようになりそうです。『かみさまからのおくりもの』は、40年ぐらい前から愛されている絵本で、私の息子も好きでした。天使が赤ちゃんにそれぞれ特別な贈り物を運んでくるという、子どもにも愛が伝わる素敵なストーリーです。

私が好きな五味太郎さんの仕掛け絵本『きいろいのはちょうちょ』もいいですよ。ちょうちょを探していて、見つけたかと思うと違う、という展開の繰り返しですが、切り抜かれたちょうちょの部分の裏側のアイデアもおもしろいですし、色合いや絵のタッチもおしゃれです。
  

4~5歳児向け

― 4歳以上はどうですか。

土方:4~5歳になると長めのお話もいいですね。ユーモアもわかるようになりますし、絵本の世界に入り込んで感情移入することもありそうです。少し怖いおばけの本や、『かいじゅうたちのいるところ』の怪獣たちとも、絵本の世界で一緒に楽しめるようになるかもしれません。
自分の身の回りのこともできるようになってきたり、自分の主張もはっきりしてくる年齢なので、『おかあさんだいすきだよ』は、母子の日常の“あるある”を実感でき、親子でお互いの「大好き」を再確認できそうです。
 

絵本は大人が自分のために読んでもいい

― 大人に向けて紹介したい絵本もあるそうですね。

土方:私は学生時代、絵本は子どもに読んであげるものと思いこんでいましたが、大人になってから、自分のために読んでもいいんだって気が付きました。私が絵本に興味を持つきっかけになったのが、『たいせつなこと』という絵本です。70年ほど前に書かれた本で、翻訳を内田也哉子さんが担当しています。日常の中のものがそのままであることが大切だと詩的に綴っていて、人にとって一番大切なことを短い文章で伝えていることに感動しました。
 
― 大人が自分のために選ぶ絵本もあるということですね。

土方:そうですね。KIDSセンターでは“大人の本棚”というコーナーを設けていますし、KIDSセンターCafeでも大人の方におすすめの絵本も紹介しています。絵本ってとても自由で幅広い。だから、お母さんやお父さん自身が興味を持って選ぶのもいいと思います。絵本作家さんにはとてもユニークな方も多いので、作家さんに注目して選んでみる、というのはどうでしょうか。
 
― 最後に伝えたいことはありますか。

土方:個人的には、子どもに絵本の感想を聞かなくてもいいかなと思っています。思っていたのと違う答えが返ってきたら、親は“なんで?”と思ってしまいそう。言葉にしなくても、きっと子どもは何かを受け取っているはずです。絵本を読んでいるときのキラキラと輝く目や反応を見守っていたら、子どもが何を見ているのか、何に魅かれているのかを親は知ることができると思います。
「絵本を読んであげなくちゃ」と難しく考えずに、親子で自然に楽しんでみてはいかがでしょうか。

・・・

金城学院大学 KIDSセンター

名古屋市守山区にある金城学院大学 KIDSセンターは、キリスト教精神に基づき、一人ひとりがその子どもらしくすくすくと育つことを願い、豊かな環境を整え、地域の皆さまの子育てをサポートします。親子ですごす時間は子どもたちの心や体の発達を促し、孤立しがちな子育て期の保護者を専門家が見守りサポートいたします。

多元心理学科加藤研究室との連携企画として、KIDSセンターCafeの中で子育てトピックをお届けしています。こちらもぜひ読んでみてください!

・・・